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「およそ」と「おおよそ」の使いどころは?
まずは、おおまかに「およそ」と「おおよそ」の意味と使いどころをチェックしましょう。
♦︎「およそ」の意味と使いどころ
「およそ」は漢字で「凡そ」と書きます。「おおよそ」の音変化(出典:デジタル大辞泉/小学館)で、主に口語に適しているとされていて、物事のだいたいのところ、大要、あらましといった意味(同出典)をもちます。
数字だけでなく抽象的な話題にも使いやすいことから、ビジネス会話や日常のやり取りで幅広く用いられていますが明確な基準に基づいて使い分けされているわけではありません。
♦︎「おおよそ」の意味と使いどころ
「おおよそ」は、漢字で「大凡」と書きます。だいたいのところ、ひととおりであること、普通といった意味(同出典)があり、やや硬い文章でも用いやすいとされています。
ビジネスシーンでは数字や統計データと相性が良く、主に資料や説明文で数字やデータに結びつけて使われるケースが多くなっていますが、こちらも明確なルールに基づく使い分けではありません。
♦︎「およそ」「おおよそ」どちらを使っても間違いではない
つまり「およそ」「おおよそ」のどちらを使ったとしても、現代において間違いにはなりません。
どちらかが口語でどちらかが文書という決まり事もなく、慣習として使い分けがされている程度です。
【ビジネスシーン】「およそ」「おおよそ」で誤解を招いたエピソード

ビジネスシーンで「およそ」や「おおよそ」を使っていたら、相手に誤解を招いてしまったという人もチラホラ見受けられます。
筆者が見聞きした事例から、アラサーが遭遇しやすい“うっかりエピソード”を紹介しましょう。
♦︎誤解のもと:よそよそしさを与えてしまった
「およそ」も「おおよそ」も、“だいたい”といった意味ですが、使う相手やシチュエーションによってはよそよそしい印象を与えることもある様子。
20代後半のAさんは、親しい同僚にランチのお店までの距離を尋ねられたときに「およそ7分かな」と答えたところ「そのよそよそしい言い方はなに!? AIみたい(笑)」とツッコまれたそうです。
私的な会話ならば「だいたい7分」や「7分くらい」といった自然な言い方が好まれるかもしれません。
♦︎誤解のもと:曖昧な連絡だと受け取られがち
「およそ」「おおよそ」は、“だいたいのところ”といった幅のある言葉だけに、はっきりと決まっているものにつけてしまうと、かえって混乱を招きます。
30代前半のBさんは、納期まで10日間と決まっていたのにも関わらず取引先に「納品は、おおよそ2週間後を予定しています」と連絡を入れたところ「曖昧だと困るのですが…」と返事が来たそうです。
相手が明確な時期を知りたい事柄に対して曖昧な言葉を入れてしまうと、不用意なトラブルを招きがちです。
アラサー世代が「およそ」「おおよそ」を使うときに意識したいポイント

アラサー世代が「およそ」や「おおよそ」を使う際に意識しておきたいポイントを整理しました。
♦︎漢字ではなくひらがなで書く
およそは「凡そ」、おおよそは「大凡」と漢字もありますが、メールなどに記載するときには「およそ」「おおよそ」とひらがなで書いたほうがわかりやすいでしょう。
漢字にすると堅苦しいだけでなく古めかしい印象を与えてしまうこともあるため、読みやすさを優先しましょう。
♦︎「全く〜ない」と誤解されないように使う
「およそ」には“だいたい”という意味だけでなく、否定的なニュアンスを伴う「全く。全然」という意味(出典:デジタル大辞泉/小学館)もあります。
そのため文脈によっては「全く〜ない」という趣旨で用いていると受け取られる可能性も低くありません。
たとえば「その件については、およそ分かりません」と言えば「全く理解をしていません」と言っているように聞こえがちです。
無用な誤解を避けるべく、少しでも誤解を招きそうな文脈では使用しないほうが賢明でしょう。
♦︎「約」で言い換えられるなら「約」を使う
数字ならば「およそ」や「おおよそ」ではなく「約」を用いて“だいたい”という意味を表すことができます。
ビジネスメールやビジネス会話では相手に誤解を招かない言い回しが原則ですから、「約」で表すことができるときには「約」を優先して用いたほうがわかりやすいコミュニケーションに。
ただし「約」は数字以外には使いにくいことから、たとえば「約理解しました」とは言えないので、このような場合は「およそ理解しました」が適切です。
「およそ」「おおよそ」の言い換え語

「およそ」や「おおよそ」は次の言葉に言い換えても、同じような意味です。
誤解を招かないよう注意したいシーンや同じ言葉が続いてしまって冗長になりそうなときには、別の表現を組み合わせると良いでしょう。
言い換え語の例:「だいたい」「約」「ほぼ」「おおむね」
「およそ」「おおよそ」をスマートに使いこなして
「およそ」や「おおよそ」は、ビジネスパーソンがスマートに使いこなしたい言葉。
誤解を招くような使い方は避け、相手がすんなりと理解できる文脈を選んで用いるのが適切でしょう。
この言葉に限らず、ビジネスシーンでは場面に応じて相応しい言葉を使い分けられるようにしておきたいものですよね。
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並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。



