「和毛」とは? 言葉の基礎知識をまとめて解説
「和毛」は「鳥獣や人の柔らかい毛」を表す言葉です。なじみの深い2つの漢字が使われていますが、読み方や意味は漢字を見てもイメージしにくいかもしれません。
それでは、まず言葉の読み方や意味を確認しておきましょう。さらに、和毛が使われた短歌の例も紹介します。
和毛の読み方
和毛の読み方は「にこげ」です。簡単に読めそうな漢字が用いられている割には、自信を持って正しい読みを答えるのは意外と難しいのではないでしょうか。
正しい読み方を知らない場合に読み間違えてしまいやすいのは「わけ」「わげ」「わもう」あたりかもしれません。
あらためて、和毛の正しい読み方は「にこげ」です。この機会に和毛の読み方を正しく覚えておきましょう。

和毛の意味
和毛の意味は「鳥獣の柔らかい毛」「人の柔らかい毛」「産毛(うぶげ)」です。「わたげ」を表す場合もあります。
鳥獣や人の毛でも、太くて硬いようなものは和毛とは表現しません。和毛という表現が用いられるのは、鳥獣や人の毛のうち、柔らかいものだけです。また、柔らかいだけでなく、さらに「細く短い毛」を指す場合もあります。
にこ‐げ【▽和毛/×毳】
出典:小学館 デジタル大辞泉
鳥獣の柔らかい毛。また、人の柔らかい毛。うぶげ。
和毛が使われた短歌の例
1901年に与謝野晶子が発表した「みだれ髪」で、実際に和毛という表現が使われています。和毛が使われた短歌は、以下のとおりです。
「夕ぐれを 花にかくるる 小狐の にこ毛にひびく 北嵯峨の鐘」
なお、実際に和毛を用いるものの例には、鳥や動物のふわふわの毛や赤ちゃんの髪、または大人の産毛などが挙げられます。たとえば、子猫に対して「この子の和毛は触り心地がとてもいいわ。なでているだけでもすごくリラックスできる」などと表現します。
和毛に関連する言葉もチェック!
あわせて、和毛に関連する言葉の理解も深めましょう。
ここでは、以下の表現を解説します。
・「和」自体の読み方や意味
・「和」に送り仮名を付けた言葉
・和毛と同じく「和」を「にこ」と読む言葉
・和毛と似た意味を持つ類語・言い換え表現
和毛に関連する表現にどのようなものがあり、どういった意味を持つのか、それぞれ確認していきましょう。

「和」の読み方や意味
「和」には、「わ」「お」「か」「にこ」「にき」「のど」などの複数の読み方があります。これらのなかでも、特に多く用いられている読み方は「わ」でしょう。
読み方が異なると「和」が表す意味も変わります。しかし「わ」という同じ読み方でも、さまざまな意味があります。
たとえば、平和や和解の和は「争わず穏やかにまとまること」です。温和や穏和であれば「ゆったりとして角が立たないこと」「やわらいださま」を表します。
中和や調和のように「性質の違うものがいっしょにとけ合うこと」を表したり、和韻や唱和のように「声や調子を一つに合わせること」を意味したりする場合もあります。
さらに「2つ以上の数や式を合わせたもの」や「日本」「日本語」、また「大和(やまと)国」も、「和」という漢字が持っている意味です。
「和」に送り仮名を付けた言葉
「和」に送り仮名を付けた言葉には「和らぐ」「和らげる」「和む」「和やか」「和える」「和ぐ」などがあります。
「和らぐ」と「和らげる」の読み方は、それぞれ「やわらぐ」「やわらげる」です。「和む」は「なごむ」、「和やか」は「なごやか」と読みます。また「和える」は「あえる」、「和ぐ」は「なぐ」です。
「和ぐ」は「和らぐ」と混同して「やわらぐ」と読み間違えやすい言葉です。送り仮名に「ら」があるかどうかで読み方が変わるため、特に注意が必要です。
なお「なぐ」には「和ぐ」のほかに「凪(な)ぐ」もあります。「凪ぐ」は「風がやんで波がおさまること」、「和ぐ」は「気持ちが落ち着き穏やかになること」「なごむこと」を意味します。
「凪ぐ」は海など自然の状態を、「和ぐ」は人の心情を表すものとして押さえておくとよいでしょう。
和毛と同じく「和」を「にこ」と読む言葉
同様の読み方をする言葉は、和毛以外にも「和草(にこぐさ)」「和手(にこで)」などがあります。和草の意味は「葉や茎のやわらかい草」、和手の意味は「やわらかな手」です。
このように「にこ」と読む場合、「和」には「やわらかい」という意味が込められているといえます。
なお「和に送り仮名を付けた言葉」の見出しで先述した「和やか」は、「なごやか」のほかに「にこやか」と読む場合も。これも「和」を「にこ」と読む言葉です。
和毛の類語・言い換え表現
和毛と言い換えが可能な類語表現は「産毛(うぶげ)」です。和毛の意味の説明文にもこの言葉が出てきたとおり、和毛と産毛はとても似た意味で使われます。
産毛の意味は「生まれたときから赤ちゃんに生えている毛」や「人の顔や首筋などに生えているごく柔らかい薄毛」です。「この赤ちゃんは産毛が少なめだ」などと用いられます。
和毛がかわいい日本猫・和猫
最後に、和毛にちなんで、かわいい日本猫・和猫を紹介します。

日本猫の特徴は「尾の長さと形」「丈夫な体を持つこと」「毛色の種類が多いこと」などです。日本猫の尾の長さはごく短く、くるんと丸まった猫が多くいます。また、日本猫の全体の8割ほどが、尾の先だけが曲がる「かぎしっぽ」という特徴的な形をしているといわれています。
なお、日本猫と呼ばれているのは、厳密にいえば「日本猫の血を受け継いだ雑種の猫」です。これは、完全室内飼いが普及しないまま洋猫が大量に日本に来て、多くの猫が洋猫との混血となったことが理由だといわれています。
和毛を理解しよう!
「鳥獣や人の柔らかい毛」を表す「和毛(にこげ)」は、ペットや赤ちゃんの毛を話題にしたいときなどに用いられます。漢字自体は難しくないものの、読みにくい言葉のひとつです。間違えずに読めるように、しっかりと確認しておきましょう。
「和」自体やそれに送り仮名を付けた言葉も、わかりにくい読み方や意味のものがあります。この記事を参考に、和毛や関連表現への理解を深めましょう。
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