目次Contents
この記事のサマリー
・「温かい言葉」とは感謝や励まし、思いやりを伝える一言。
・「あたたかい」の漢字表記は、心や言葉に関する場合は「温かい」
・気温や体全体で感じる「あたたかい」は「暖かい」を使う。
「温かい言葉をありがとうございます」と言われたとき、じんわり心が和む経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか? 一方で、「温かい」と「暖かい」のどちらの漢字表記がいいのか、迷うこともあるでしょう。言葉選びは相手からの印象に直結するため、正しい知識と場面に応じた使い分けが欠かせません。
この記事では「温かい言葉」の意味や言い換え・英語表現を整理して解説します。日常会話やビジネスの場面でお役立てください。
「温かい言葉」とは? 意味と背景
まずは、「温かい言葉」とは何かを正しく理解していきましょう。
「温かい言葉」それとも「暖かい言葉」?
「あたたかい言葉」を漢字にするとき、「温かい言葉」とすべきか、それとも「暖かい言葉」なのか迷うことがありますよね。
心で感じるあたたかさを指すので、正解は「温かい言葉」となります。辞書では次のように説明されていますよ。
あたたか・い【暖かい/温かい】
[形][文]あたたか・し[ク]《形容動詞「あたたか」の形容詞化》
1 (暖かい)寒すぎもせず、暑すぎもせず、程よい気温である。あったかい。「―・い部屋」「―・い地方」《季 春》「―・きドアの出入となりにけり/万太郎」
2 (温かい)物が冷たくなく、また熱すぎもせず、程よい状態である。「―・い御飯」
3 (温かい)思いやりがある。いたわりの心がある。「―・くもてなす」⇔冷たい。
4 (暖かい)金銭が十分にある。「今日は懐が―・い」⇔寒い。
5 (暖かい)色感がやわらかく、冷たい感じがしない。「―・い色調の壁紙」
[補説]気温のようにからだ全体で感じるあたたかさに、「寒い」に対して「暖かい」、部分で感じたり心で感じたりするあたたかさに、「冷たい」に対して「温かい」と書くのが普通。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「温かい言葉」とはどんな言葉か?
「温かい言葉」とは、相手を気遣い、励ましや共感を伝えるフレーズの総称です。例えば「お疲れさまでした」「大丈夫ですよ」「応援しています」といった言葉は、相手の心を和ませ、人間関係を円滑にします。
筆者自身も、仕事で落ち込んでいたときに同僚から「あなたの提案が助けになったよ」と声をかけられ、気持ちが救われた経験があります。
「温かい言葉」には、「相手との距離を近づける力」が備わっているといえるでしょう。

温かい言葉を使うシーン
相手の心を和ませ、信頼を築く「温かい言葉」は場面に応じた使い分けが重要です。ここでは、代表的なシーンごとの実例を紹介します。
ビジネスシーンでの温かい言葉
取引先や上司に対しては、過度に親しげな表現ではなく、敬意を込めた言葉を選ぶことが大切です。
例えば「温かいご指導に感謝申し上げます」「温かいご支援を賜り、ありがとうございます」などは、ビジネスシーンに向いているフレーズだといえるでしょう。
日常会話での温かい言葉
家族や友人との間では、自然体で相手を気遣うフレーズが効果的です。例えば「気にかけてくれて嬉しい」「話を聞いてくれてありがとう」といった一言は、相手との距離を縮めるきっかけになります。
筆者も落ち込んでいた時期に友人から「あなたなら大丈夫」と声をかけられ、安心感を得た経験があります。日常のやり取りに「温かい言葉」を織り交ぜることは、信頼関係を深めるうえで大切な要素です。
SNSやメッセージでの一言例
SNSやチャットでは、短いけれど心に響く表現が求められます。「励ましてくれてありがとう」「あなたの言葉に救われました」「優しい気持ちをありがとう」など、シンプルな言葉が印象的に伝わります。
「温かい言葉」の類語・言い換え表現、英語表現
同じ「ありがとう」でも表現を変えることで、より丁寧に、あるいは柔らかく伝えられます。ここでは類語や言い換え表現を整理します。
ビジネスで使える言い換え表現
職場では「温かいお言葉をありがとうございます」だけでなく、より敬意を持たせたい場合があるでしょう。そういう場合は「ご厚情に深く感謝申し上げます」「ご配慮に御礼申し上げます」といった言い換えが適切です。
カジュアルに使える類語
親しい間柄では、堅苦しい敬語よりも自然なフレーズが心地よく響きます。「優しい言葉をありがとう」「思いやりが嬉しい」「気持ちが救われた」などがいい例です。
筆者も友人から「元気出してね」とLINEで送られたとき、その一言が何よりの励ましになりました。相手との関係性に応じた言葉選びが、温かさを伝えます。

温かい言葉の名言を紹介
最後に、心に響く「温かい言葉」の名言を紹介します。
日本の名言
日本の文学者や思想家の言葉には、人を励まし支える力が宿っています。ここでは、NHK連続テレビ小説『あんぱん』で注目を集める、やなせたかしさんの2つの言葉を紹介しましょう。やなせさんの言葉には、人を励ますやさしさが満ちています。
「人生はよろこばせごっこ」
相手を喜ばせること自体が人生の意味であり、温かい言葉の力を端的に表しています。
引用:『やなせたかし 明日をひらく言葉』(PHP文庫)
「一生懸命やっていると、中年を過ぎてから、花が咲くこともある」
努力を続ける人への温かなエールであり、年齢を重ねても挑戦を続ける勇気を与えてくれます。
引用:『わたしが正義について語るなら』(ポプラ新書)
海外の名言
海外の名言もまた、普遍的な励ましを与えてくれます。アメリカの詩人マヤ・アンジェロウは、言葉の痛みと、それを超えて立ち上がる強さを次の詩で表現しました。
“You may shoot me with your words,
You may cut me with your eyes,
You may kill me with your hatefulness,
But still, like air, I’ll rise.”
(あなたは言葉で私を撃ち抜くかもしれない、視線で私を切り裂くかもしれない、憎しみで私を殺そうとするかもしれない、それでも私は空気のように立ち上がる)
読む人に優しさや勇気を与え、SNSやスピーチの引用としても心に響く一節となります。
引用:『And Still I Rise』(Virago Press Ltd)

「温かい言葉」に関するFAQ
ここでは、「温かい言葉」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「温かい」と「暖かい」の使い分けは?
A.部分で感じたり心で感じたりするあたたかさは「温かい」。体全体で感じるあたたかさには「暖かい」です。
Q2. 「温かい言葉」の言い換えにはどんなものがありますか?
A. フォーマルな場面なら「ご厚情」「ご配慮」など、カジュアルなら「優しい言葉」「思いやりのある言葉」といった表現に置き換えることができます。
最後に
「温かい言葉」は、信頼関係を深めるための大切なコミュニケーションツールです。場面に合った表現を選ぶことで、相手に安心感や感謝の気持ちをスマートに伝えることができますよ。
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