「紳士淑女」という言葉は、主にスピーチなどで聞くことが多いでしょう。しかし、日常の中で使うにはやや距離を感じる人もいるかもしれません。
そこで、この記事では、「紳士淑女」という言葉の意味や使い方を丁寧に紹介します。
「紳士淑女」とは? 意味を紹介
まずは、「紳士淑女」という言葉の基本的な意味や成り立ちについて確認していきます。

「紳士淑女」とはどんな意味?
「紳士淑女」とは、礼儀や節度を大切にし、品格のある男性と女性を指します。式典などフォーマルな場で使われることの多い言葉でしょう。
それぞれの言葉の意味を辞書で確認します。
しん‐し【紳士】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《搢紳(しんしん)の士の意》
1 上流社会の人。
「有名―の商議場たるが如く」〈織田訳・花柳春話〉
2 上品で礼儀正しく、教養の高いりっぱな男性。ジェントルマン。「―淑女」
3 成人の男性。「―服」
「紳士」は、上品で教養のある立派な男性を指すことがわかります。
しゅく‐じょ〔‐ヂヨ〕【淑女】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
しとやかで上品な女性。品格の高い女性。レディー。「紳士―」
「淑女」は、落ち着きや品のある振る舞いを大切にする女性を指します。
「紳士淑女」の英語表現は?
ここでは、「紳士淑女」の英語表現を紹介します。

ladies and gentlemen
“ladies and gentlemen”は、演説などの呼びかけでよく使われる表現です。女性のみの聴衆に対しては“Ladies!”、男性のみの聴衆に対しては“Gentlemen!”といわれますよ。
参考:『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)
紳士淑女の言い換え表現や類語を紹介
「紳士淑女」という言葉が少しかしこまりすぎていると感じる場面では、別の表現を使いたくなるでしょう。ここでは、似た意味を持つ言葉を2つ紹介します。
皆様
「皆様」は、その場にいる人々や関係のある人全体に対して、敬意をもって呼びかけるときに使われる言葉です。性別や立場を問わず使えるため、日常の中でも比較的よく用いられています。
諸氏(しょし)
「諸氏」は、多くの人々を敬意を込めて呼びかける際に使われる語です。「諸君」よりも改まった言い方になります。
「紳士淑女」の使い方を例文で確認しよう
「紳士淑女」という言葉が、実際にどのような文脈で使われているかを知っておくと、より自然な使い方につながります。ここでは、具体的な例文とともに使い方を紹介しましょう。

「満場の紳士淑女諸君、ようこそお越しくださいました」
この例文は、開会のあいさつなどが想定されます。「諸君」は、対等な立場かややくだけた語調で多数の相手に向けて用いられる言葉です。「紳士淑女」とあわせて使うことで、改まった中にも親しみを込めた呼びかけとなっています。
「あの場にふさわしいのは、紳士淑女たる振る舞いでした」
この例文では、ある出来事や場面をふり返りながら、落ち着きや節度を重んじる振る舞いが求められたことを表しています。「紳士淑女たる」という言い回しからは、肩書きではなく、品格を求めていたことが伝わってきます。
最後に
「紳士淑女」という言葉は、ただ礼儀正しい人物を指すだけではなく、その人のふるまいや心の持ち方にも関わってくるようです。落ち着きや思いやりのある態度を大切にしたいとき、こうした表現にふれることで、自分のふるまいを見直すきっかけになることもあるかもしれません。
TOP画像/(c) Adobe Stock