「長い目で見る」の意味とは?
「長い目で見る」は、新人の成長を見守るとき、将来の頑張りが予想されるときなどに使う言葉です。
ここでは、「長い目で見る」の意味や、使うシーンを解説します。
時間をかけて見守ること
「長い目で見る」とは、現状だけ見るとよくないように見えても、将来は変化する可能性があり、気長に見守るという意味です。
「長い」は時間的な長さを表し、「将来の長い間にわたって」という意味があります。「見る」は物理的なものを見るという意味ではなく、「将来を見通す」「予測する」ということを表します。
人の成長を見守るときや、何かを行うときにも使われる言葉です。行動の結果をすぐに求めるのではなく、長期的な視点で考えるというニュアンスがあります。物事を行う際は結果に目が向きがちですが、焦って結論を求めることなく、視点を広く持つことの大切さを教える言葉といえるでしょう。
長い目で見る
出典:小学館 デジタル大辞泉
現状だけで判断を下さず、気長に将来を見守る。「新人の成長を—◦見る」
使うシーン
「長い目で見る」は、「子どもの成長を見守るとき」や「新入社員が仕事を始めるとき」「上司が部下の成長を期待するとき」などに使います。
それぞれのシーンでの使い方は、次のとおりです。

〈子どもの成長を見守るとき〉
学校のテストで望んだ結果が出なくても、もっと勉強すれば次はいい点数を取れる。すぐに子どもを叱るのではなく、長い目で見守ることが大切だ
〈新入社員が仕事を始めるとき〉
今回配属された新入社員のAさんは業務が未経験のため、長い目で見ながら指導する必要がある
〈上司が部下の成長を期待するとき〉
部下の成長を促すためには、自分で気づきを得るために長い目で見ることも大切だ
このほか、自分について、成長を見守ってほしいときに使うこともあります。その場合は、次のような使い方をします。
はじめてのプロジェクトで慣れない部分もありますが、どうか長い目で見守っていただけますと幸いです
「長い目で見る」の例文
「長い目で見る」を理解するため、例文をさらに見ていきましょう。
- 現在は苦しい日々が続いても、長い目で見ればいい経験だったと思える日がくるだろう
- 目先の結果だけを求めるのではなく、長い目で見ることも大切だ
- 彼は入社したばかりのころはミスばかりだったが、上司が長い目で見てきた甲斐があり、現在は職場でトップの成績をおさめている
- 現状だけを見れば課題だらけで心配になるが、長い目で見るとこれもよい結果を出すためのプロセスに過ぎないと考えられる
- 彼は子どもを叱ってばかりいるが、長い目で見てあげることも大切だ
- マイホームは高い買い物だったが、長い目で見れば購入してよかったと思うに違いない
「長い目で見る」の言い換え表現
「長い目で見る」は、次の言葉に言い換えることもできます。
- 長期的にとらえる
- 目先にとらわれない
それぞれの意味を見ていきましょう。

長期的にとらえる
「長期的にとらえる」は、現在のことにとらわれず、長期的な視点で考えるという意味です。「長い目で見る」とほぼ同じ意味ですが、ビジネスシーンでよく使われる表現といえるでしょう。
物事を行うときは、どうしても現実的に見える部分を重視し、長期的な視点を忘れがち。目の前の利益も大切ですが、全体を見据え、将来はどうなるかを考えていかなければなりません。
〈例文〉
- 今回のトラブルを長期的にとらえれば、早めにシステムの脆弱性に気づけ、将来の大きなアクシデントを防止できたと考えられる
- 長期的にとらえてコストを抑える戦略をとってきた結果、事業を大きく成長させられた
目先にとらわれない
「目先にとらわれない」とは、目の前の成果にとらわれず、将来を見据える様子を指します。「目先」とは「すぐ目の前にある物事」という意味です。「現状だけで判断しない」という点では、「長い目で見る」とほぼ同じ意味といえるでしょう。
〈例文〉
- 目先の利益にとらわれず、長期的な視点で考えないと、結局損をすることになりかねない
- 彼は目先にとらわれないで努力をした結果、現在の高い地位を得られた
「長い目で見る」の対義語
「長い目で見る」の対象表現には、次のような言葉が挙げられます。
- せっかち
- 目先のことしか考えない
ここでは、対義語の意味を解説します。

せっかち
「せっかち」とは、先を急いで慌ただしくしている様子や性質を表します。周囲から見ると、「いつも急いでいる」「焦っている」という印象を与えるでしょう。
主に人の行動や性質を指して使われる言葉です。「目先のことにとらわれ、慌てている」という点で、「長い目で見る」とは反対の言葉といえるでしょう。
〈例文〉
- 彼はせっかちな性格なので、何をするにも慌ただしく行動してしまい、些細なミスを起こしやすい
- せっかちは行動力があると言い換えられるが、なんでもあまり考えずに行動してしまうため、判断を誤ることも多い
目先のことしか考えない
「目先のことしか考えない」は、目の前にあることにとらわれている状態のこと。物事の全体像をつかめず、視野が狭くなっているといえるでしょう。
将来を見据えた計画ができず、その場しのぎで行動するため、判断ミスをすることもあるかもしれません。
〈例文〉
- 彼女は目先のことしか考えないため、将来のプランをほとんど描いていないらしい
- 目先のことしか考えないで将来に向けた準備をしていない人は、いざというときに困ることになる
「長い目で見る」を正しく覚えよう
「長い目で見る」は人の成長を見守ったり、自分の計画を長期的な視点で見たりするときに使う言葉です。現状を見ればよくない状態でも、長いスパンで考えればよい結果になると予想されるときに使う傾向にあります。
言い換え表現には「長期的にとらえる」「目先にとらわれない」など、対象表現には「せっかち」「目先のことしか考えない」が挙げられます。状況に応じて使い分けると良いでしょう。
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