「合従連衡(がっしょうれんこう)」という言葉を聞いたことはありますか? 現代ではビジネスや国際政治の場面でも使われることがありますが、詳しい意味を答えられる人はなかなかいないのではないでしょうか。
本記事では、「合従連衡」の意味や歴史的な背景、ビジネスでの活用例、英語表現まで詳しく解説します。この言葉を正しく理解し、ビジネスや日常の会話で生かしてみませんか?
「合従連衡」とは? 意味と由来を解説
まずは「合従連衡」の意味から、確認していきましょう。
「合従連衡」の意味
「合従連衡」は、「がっしょうれんこう」と読みます。意味を辞書で確認しましょう。
がっしょう‐れんこう〔‐レンカウ〕【合従連衡】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《「合従」は、秦に対抗するために他の6国が連合すること、「連衡」は、秦が他の6国とそれぞれ同盟を結ぶこと》合従の策と連衡の策。転じて、その時々の状況に応じていくつかの勢力が結び合うこと。また、そのかけひき。
「合従連衡」は、外交や政治における駆け引きを巧みに用いた戦略のことを指します。国と国との同盟形成だけでなく、企業の提携や業界団体の協力関係を表す際にも用いられることがありますよ。

「合従連衡」の由来
「合従連衡」は、中国の戦国時代に生まれた外交戦略で、二つの対照的な同盟政策を指します。
「合従(がっしょう)」 は、戦国時代の戦略家・蘇秦(そしん)が唱えた政策です。蘇秦は、南北に連なる楚(そ)、韓(かん)、魏(ぎ)、斉(せい)、趙(ちょう)、燕(えん)の六国を連合させ、西方の強国・秦(しん)に対抗させようとしました。しかし、蘇秦が殺され「合従」の政策は敗れてしまいます。
その後、張儀(ちょうぎ)が東方の六国を秦に仕えさせて、東西の連合を図る「連衡」を提唱しました。
このように縦の国々を合わせたり、横の国々を連ねたりすることから転じて、「はかりごとを巧みにめぐらした外交政策」を指すようになったのです。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
「合従連衡」を使った具体的な例文を紹介
「合従連衡」という言葉は、歴史的な外交戦略を指すだけでなく、現代のビジネスや国際関係などさまざまな場面で使われます。具体的な例文を見ながら、適切な使い方を理解しましょう。
企業同士の競争が激化する中、業界内での合従連衡が進み、大手企業の提携や買収が相次いでいる。
この例では、企業間の競争が激しくなる中で、同業他社同士が連携を強めたり、大手企業が競争力を確保するために買収を進めたりする状況を表しています。
業界内での合従連衡は、互いの利益を最大化するための戦略として行われることが多く、特にテクノロジー業界や金融業界などでよく見られる動きです。

国際関係において、地域経済圏の強化を目的とした合従連衡が進み、複数の国が共同で貿易協定を結んだ。
国際関係において、「合従連衡」は、各国が経済的な利益を求めて連携する場面でよく用いられます。例えば、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を結ぶことで、特定の地域内での貿易を活発化させる動きが見られるでしょう。このように、国際的な経済圏の形成は、合従連衡の戦略の一例といえます。
ライバル関係にある二つの企業が新たな市場開拓のために手を結び、合従連衡の戦略を用いて競争優位性を確立した。
通常、競争関係にある企業同士が対立するのではなく、互いに協力し合うことで新たな市場を開拓するという戦略を示しています。
例えば、自動車業界やIT業界では、ライバル企業が技術や資源を共有し、新しい分野に進出するために提携することがあります。これは、競争相手との協力関係を築くことで、より大きな市場を獲得しようとする「合従連衡」の考え方を反映しています。
「合従連衡」の類語・言い換え表現
「合従連衡」に近い意味を持つ言葉を知っておくことで、状況に応じた適切な表現を選ぶことができます。ここでは3つ紹介しましょう。

駆け引き(かけひき)
状況に応じて相手と交渉し、有利な立場を築くことを指します。特に、交渉ごとや戦略的な提携を行う際に使われます。
例:「企業間の競争が激化する中、駆け引きによって有利な提携条件を引き出した」
離合集散(りごうしゅうさん)
人々が一時的に結集し、状況の変化によってまた分裂することを指します。合従連衡と同様に、必要に応じて協力関係が変化する場面で使われます。
例:「業界再編の波の中で、企業同士の離合集散が続いている」
外交戦略(がいこうせんりゃく)
国家が有利な立場を築くために行う外交政策のことを指します。「合従連衡」は歴史的な外交手法の一つであり、現代の国際関係においても外交戦略の一環として考えられます。
例:「各国が自国の利益を最大化するために、巧みな外交戦略を展開している」
最後に
「合従連衡」は、戦国時代の中国で生まれた外交戦略ですが、現代のビジネスや国際政治においても活用されています。
この言葉の背景を理解することで、歴史的な視点だけでなく、ビジネスや社会の動向を考える際のヒントにもなるでしょう。「合従連衡」という考え方を応用し、より効果的な交渉や戦略を考えてみてはいかがでしょうか。
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