そもそも「暑気払い」とは?
「暑気払い」という言葉を聞いたことはありますか? なかなか目にしたことはないかもしれません。読み方も「あつき」「あつげ」など様々な読み方が考えられますね。本記事では、この暑気払いについて詳しく見ていきましょう。
暑気払いの意味や時期、暑気払いにぴったりの食べ物やあいさつなどを紹介します。
「暑気払い」の意味
「暑気払い」とは「しょきばらい」と読みます。暑さを振り払い、体の中に溜まった熱気を取り除くことを「暑気払い」と言うのです。
暑気払いの時期はいつ?
暑気払いの時期は、明確に決まっているものではありません。「暑さを振り払う」行為なので、暑ければいつでも構わないとされています。
目安となるのは古くから使われている「二十四節気」です。おおむね以下の期間は暑気払いに適していると言えるでしょう。
・夏至(げし):6月21日ごろ 夏の訪れ
・小暑(しょうしょ):7月7日ごろ 本格的な暑さが始まるころ
・大暑(たいしょ):7月23日ごろ 最も暑い季節
・立秋(りっしゅう):8月7日ごろ 秋の到来
・処暑(しょしょ):8月23日ごろ 暑さが和らぐころ
「暑気払い」に似た雰囲気の言葉に「納涼」がありますが、「暑気払い」と違って暑い最中にしか使いません。うだる暑さが続くころに暑さを避けて涼を取る会合を「納涼会」と言います。
暑気払いにぴったりの食べ物を紹介!
暑さを振り払い、気力を取り戻す暑気払いには、食材がよく用いられます。暑さに負けず、おいしい食事で元気になろうということですね。
1:瓜
旬の食べ物には、その季節に必要な効果・効能があると古くから考えられてきました。瓜系のキュウリやスイカなどは体内にこもった熱をとり、また利尿作用があるので余分な水分をスムーズに排出してくれます。
ゴーヤはビタミンCがとっても豊富。夏バテ予防にぴったりです。カボチャは栄養価が高く、また糖質も豊富。こちらも夏バテに効果がありそうです。
2:氷
暑い時に欲しくなるのが冷たい氷ですね。かの清少納言の書いた『枕草子』にも「あてなるもの」として「削り氷」が登場。「あてなるもの」とは「上品なもの」という意味で、清少納言は「削り氷にあまづら入れて、新しき金椀に入れたる」と書いています。あまづらは「甘葛」と書き、蔦の樹液を煎じた汁で、ハチミツのような甘さがあったようです。削った氷に甘い蜜をかけて、あたらしい金属製のお椀に入れたさまが上品でよい、ということでしょう。
今では簡単に手に入るかき氷ですが、清少納言のように見た目も一緒に味わえば、すてきな暑気払いになりそうです。
3:甘酒
暑気払いとして近年注目されているのが甘酒です。お米を発酵させて作るノンアルコールの甘酒は大人だけでなく、子どもにも適した暑気払い。ビタミン、ミネラル、アミノ酸などが豊富に含まれていることから「飲む点滴」などというキャッチフレーズもよく聞かれます。
甘酒は冬の飲み物と思っている人も多いのですが、俳句では夏の季語にもなっており、江戸時代には夏場に甘酒売りが天秤棒を担いで街を売り歩いたそう。甘酒を暑気払いに飲む習慣は古くからあるものなのですね。ぜひ、冷やして飲んでみてください。
4:うなぎ
暑気払いの代表格とも言える食品ですね。夏の土用の丑の日が近くなると、スーパーなどの店頭にもうなぎが並び始めます。
うなぎには、ビタミンAやB群、E、Dなどが豊富に含まれており、夏バテにいいと言われているのです。『万葉集』にも痩せている人に対して「うなぎでも食べたら」と勧めるくだりがあるので、「暑気払い」にうなぎを食すことは1000年以上の歴史があることがわかります。
参考:奈良県ホームページ
暑気払いで使えるあいさつとは?
暑い季節に「暑気払い」として職場などで会合を開くこともありますね。そんな時の文例を解説。幹事などになったら参考にしてくださいね!
おさえておきたい基本
幹事になったら最初のあいさつを任されることもあるかもしれません。そんな時には
・元気に
・手短に
・暑さについてふれる
という3つをおさえておきましょう。
「暑気払い」は暑さを乗り切るために開くものですから、元気なあいさつで参加者を盛り上げたいものです。また、暑い中、乾杯のグラスを持ったまま待つのは気分が萎えてしまいます。あいさつは手短にして、最後に「厳しい暑さを乗り切りましょう!」「猛暑を吹き飛ばしてがんばりましょう!」などの掛け声を添えれば完璧です!
開会のあいさつは?
初めて幹事を務める場合、どのようにするのがいいのか不安ですよね。そんな時の一般的な文例は次のとおりです。
――――
みなさま、暑い毎日が続きますね。本日はお忙しい中、お集まりくださいまして誠にありがとうございました。これより恒例の暑気払いを開始いたします。楽しいひとときを一緒に過ごして、これからの暑さを乗り切りましょう!
本日、司会進行を務めます、○○です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
――――
このようにあいさつをします。最後に自己紹介を添えておけば、参加者のみなさんにとっても親しみが湧くのではないでしょうか?
閉会のあいさつは?
ひと通り暑気払いが終わったら、幹事として、閉会を宣言しなければいけませんね。閉会のあいさつとしては以下のようなものが一般的です。
――――
みなさま、まだまだお楽しみの方が多いので心苦しいのですが、そろそろお開きの時間がきましたので閉会のあいさつをさせていただきます。
本日はお忙しい中、弊社の「暑気払い」にお集まりくださいましてありがとうございました。
今年の夏は酷暑となりそうです。まだまだ暑い日が続きますが、お体に気をつけて元気にお過ごしください。みんなで、この暑さを乗り切っていきましょう!
――――
閉会のあいさつも手短に。二次会がある場合にはその旨を伝えたり、また忘れ物がないか確認することをうながしたりできると、さらにいいですね!
最後に
「暑気払い」に向いている食べ物や、会合の際のあいさつについて紹介しました。近年の夏の暑さは本当に厳しいですね。古くからの習慣なども上手に使って、元気に夏を過ごしたいものです。
TOP画像/(c)Shutterstock.com