「切羽詰まる」… 忙しい毎日を送る皆さんなら、一度は口にしたことがありますよね。 この「切羽」とは、どんな意味を持つ言葉なのでしょうか? 今回は私たちが日常で使う表現から、英語表現まで、「切羽」の意味と使い方をわかりやすく紹介します。
追い詰められた状況を表す言葉、「切羽」
「切羽」は、読み方で意味が変わります。読み方を確認しながら、その意味と用いられる場面を確認します。
「切羽」の読み方と意味
「切羽」と聞くと多くの人が「切羽詰まる」という表現を思い浮かべると思います。この場合の「切羽」は「せっぱ」と読み、辞書で次のように解説されています。
せっ‐ぱ【切羽】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 刀の鍔(つば)の表裏が、それぞれ柄(つか)と鞘(さや)に接する部分に添える薄い金具。
2 差し迫っていること。また、その場面。急場。どたん場。
「切羽」とは、もともとは刀の鍔(つば)の前後にはめて、各金具の間を固定するための金具のことです。この切羽が詰まると抜き差しならなくなることから、差し迫った状況を「切羽詰まる」と表現するようになりました。
対して「切羽」を「きりは」と読む場合は、鉱山などで採掘作業が行われる場所をいいます。古くから使われている鉱山用語の一つです。
参考:『世界大百科事典』(小学館)
「切羽詰まる」の意味と言い換え表現、使い方を解説
ここからは、「切羽詰まる」についてさらに深掘りします。言い換え表現や具体的な例文もあわせて見ていきましょう。
「切羽詰まる」のはどんなとき?
あらためて「切羽詰まる」の意味を辞書で確認しましょう。
せっぱ‐つま・る【切羽詰(ま)る】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[動ラ五(四)]ある事態などが間近に迫ってどうにもならなくなる。身動きがとれなくなる。「―・って上司に泣きつく」
「切羽詰まる」とは、身動きが取れなくなる状態を指すことがわかりました。ギリギリの状況を表す比喩として使われ、緊張感が伝わる言い回しです。
例えば、締め切りが目の前に迫っているのに原稿が仕上がっていないときや、トラブル続きでどうにも対処しきれないときなど、どたん場を表すのにぴったりの言い回しですね。

「切羽詰まる」の言い換え表現とは?
「切羽詰まる」を他の言葉で言い換えるなら、「窮地に立つ」、「追い込まれる」、「行き詰まる」などが挙げられます。どれも進退に窮する場面を表します。
いずれも「切羽詰まる」と同様に、差し迫った状況を表現するのに適しています。
「切羽詰まる」の具体的な例文を紹介
「切羽詰まる」は、差し迫った状況を描写するのに適した表現です。特にビジネスシーンでは、追い込まれた心理状態をリアルに伝えることができます。以下に例文を紹介しましょう。

会議直前に資料に誤りが見つかり、担当者は切羽詰まった表情で修正に追われた。
突発的なトラブルへの対応に追われる緊張感を表しています。
いつもはのんびりしている彼が、切羽詰まった様子で部屋を出て行った。
いつもとのギャップが、「ただごとではない」雰囲気を際立たせます。
「切羽詰まる」の英語表現は?
ここでは、差し迫った状況を伝える英語表現を2つ紹介します。
“urgent”
“urgent”は「緊急の」「差し迫った」を意味し、時間的な猶予がまったくない状況に使います。ビジネスメールの件名や日常会話でも頻繁に登場します。
“This matter is urgent and requires immediate attention.”
(この件は緊急で、ただちに対応が必要です。)
メールの件名に「URGENT」と入れるだけで、相手に緊急度が伝わります。

“pressing”
“pressing”は「緊急の」、「差し迫った」という意味を持ちます。
“There’s a pressing need to address this issue.”
(この問題に対処する緊急性があります。)
参考:『プログレッシブ英和中辞典』、『ビジネス技術実用英語大辞典V6』(小学館)
最後に
「切羽」の読み方や語源を知ると、言葉の引き出しがぐっと増えるように感じますね。日常会話からビジネス文書まで、場面に合わせて使ってみてください。
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