大同団結とは?
大同団結は、「だいどうだんけつ」と読みます。ここでは、大同団結の意味や、言葉の由来となった大同団結運動について解説します。
言葉の意味
大同団結とは、複数の団体や政党が共通の目的の達成に向かい、細かい意見の違いを乗り越えて1つにまとまることを指します。「大同」とは「だいたい同じである」という意味で、「わずかな違い」という意味の「小異」の対義語です。
目的達成のためにはわずかな意見の相違は見過ごし、大勢の支持する意見に従ってまとまることを意味する言葉です。
だいどう‐だんけつ【大同団結】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[名](スル)複数の党派や団体が、ある目的のために、主張などの少しの違いは問題としないで力を合わせること。「—して要求を勝ち取る」
大同団結運動で有名
大同団結という言葉は、明治時代に起こった大同団結運動で有名といえるでしょう。大同団結運動とは、1890年(明治23年)の 帝国議会開設を前に、旧民権派が党派の枠を超えて結集して政府に対抗、選挙対策や政党結成などを目指した運動のことです。
運動のきっかけ
大同団結運動は、明治中期における自由民権運動の一局面として、1886年から1889年にかけて展開された運動です。自由民権運動は、明治政府に反発して政府を去った板垣退助などが起こした運動で、自由党と立憲改進党が中心となりました。
しかし、大同団結運動が起こる直前、自由党は1884年(明治17年)に解散し、立憲改進党も無力化するという状態に。
帝国議会開設を間近にして民権運動の再興を目指すため、1886年(明治19年)10月、自由民権派の全国有志大懇親会において、星亨らが大同団結を呼びかけたことが大同団結運動のきっかけとされています。
中心人物や運動の経緯
大同団結運動の中心となったといわれるのは、星亨や後藤象二郎です。彼らは1886年の全国有志大懇親会において「小異を捨てて大同につく」というスローガンを唱えました。
運動は全国的に拡大したものの、1989年2月に帝国憲法が発布された直後、後藤象二郎が黒田内閣に入閣したことで挫折。大同団結運動は中心的存在を失ったことにより、終焉を迎えました。
だいどうだんけつ‐うんどう【大同団結運動】
出典:小学館 デジタル大辞泉
明治19〜22年(1886〜89)民権派による反政府運動。後藤象二郎が民権各派の大同団結を唱えて中心的指導者となったが、後藤の黒田内閣入閣で挫折。
大同団結の使い方・例文
大同団結の使い方について、例文を見ながら確認しましょう。
・議会では政府が出した予算案に対し、野党が大同団結して反対の声を上げた
・社内の運動会では部署を超えたチームが結成され、それぞれのチームが大同団結のもとに競技を行った
・会社の不正疑惑に対し、社員は大同団結して真相を解明するよう役員に申し入れた
大同団結の類義語・言い換え表現
大同団結には、団結が「同じ方向を向いている」という意味と「集団が力を合わせる」という2つの意味合いがあり、それぞれの意味に類義語や言い換え表現があります。
同じ方向を向いているという意味
集団がまとまって同じ方向を向いているという意味の類義語には、次の言葉が挙げられます。
一体感(いったいかん)
その場にいる人が同じ気持ちを抱き、ひとつにまとまること。
例文:集まった仲間は皆同じ目標を持っていたため、一体感を感じることができた
合同(ごうどう)
独立していた二つ以上のものが一つにまとまること。
例文:社内運動会では異なる部署が合同でチームを組み、競技を競い合った
一丸(いちがん)
1つの目標に向かって団結して取り組むこと。
例文:プロジェクトに成功するためには、メンバーが一丸となって取り組む必要がある
一枚岩(いちまいいわ)
組織などがしっかりとまとまっていること。
例文:チームはさまざまな障害を乗り越え、一枚岩の結束を持つようになった
どの言葉も、「複数の人や事柄が同じ目的のもと、ひとつにまとまる」という大同団結と似た意味合いの言葉です。
集団が力を合わせるという意味
集団が力を合わせるという意味合いで使う場合、類義語や言い換え表現は次のとおりです。
一致協力(いっちきょうりょく)
心を一つにして力を合わせて努力すること。
例文:全員が一致協力すれば、規格を成功させることができるだろう
一致団結(いっちだんけつ)
多くの人の心が一つにまとまり、協力し合うこと。
例文:苦境を乗り越えるには、社員が一致団結して問題に取り組まなければならない
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協調(きょうちょう)
互いに力を合わせて助け合うこと。
例文:その部署は社員が強調しあって業務に取り組んでいる
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連帯(れんたい)
二人以上の者が共同する行為または結果に対して責任を負うこと。
例文:困難を乗り越えたチームメンバーは、お互いに強い連帯感を持つようになった
これらの言葉は、複数の人がまとまり、力を合わせるという意味合いがあり、大同団結とにている言葉です。
大同団結の対義語
ひとつにまとまるという意味の大同団結に対する対義語は、「烏合の衆(うごうのしゅう)」が挙げられます。
烏合の衆とは、規律も統制もなく、ただ寄り集まっているだけの集団という意味です。「烏合」の「烏」はカラスのことで、「衆」とは大勢の人を指します。カラスは気ままに行動する鳥であり、無秩序に集まる様子をたとえにしています。
統制がとれないため、数が多いだけで役に立たない集団を指して使われる言葉です。
〈例文〉
・敵の軍隊は数が多いものの統制がとれておらず、烏合の衆なので負けることはないと誰もが考えていた
・政党を結成したものの、メンバーの思想や考え方に違いがあり、烏合の衆と化している
・どんなに優れた人材が集まっても、リーダーとなる存在がいなければ烏合の衆になってしまうだろう
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大同団結の意味を正しく覚えよう
大同団結は意見の相違を超え、共通の目的のもとに力を合わせることを指します。明治時代に起こった、大同団結運動で有名な言葉です。似たような意味を持つ類義語や言い換え表現が多数あるため、文脈に応じて使い分けるとよいでしょう。
ひとつの目的のもとに結束するという意味の大同団結に対する対義語には、「烏合の衆」が挙げられます。類義語や対義語も一緒に覚えながら、大同団結の意味を正しく理解しましょう。
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