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2024.07.23

コアコンピタンスの意味や条件などを紹介! キャリアのコアコンピタンスも解説

「コアコンピタンス」は、核となる能力という意味を持ちます。ビジネスシーンで重視される能力ですが、個人のキャリア形成に関連して使うこともあります。今回は「コアコンピタンス」について一緒に見ていきましょう。

「コアコンピタンス」とは

ビジネスの世界では、他社との差別化が競争で優位に立つために重要です。そうした中で「コアコンピタンス」という概念は、経営戦略において大きな役割を果たしています。

「コアコンピタンス? 初めて聞いた」という方もいるかもしれませんね。「コアコンピタンス」は企業だけでなく、個人のキャリアにおいても重要な役割を果たします。コアコンピタンスを理解すれば、あなたの仕事に対する満足度が上がるかもしれません。一緒に理解を深めていきましょう。

(c) Adobe Stock

意味

「コアコンピタンス」の意味を辞書で確認してみました。

コア‐コンピタンス【core competence】
《核となる能力(competence)の意》自社の得意な競争分野。あるいはその分野に自社資源を集中する経営手法。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用


ビジネスシーンにおいて、コアコンピタンスは「他社を圧倒するほどの高い能力や強み」という意味で使われています。具体的には、他の企業が真似できない技術や、競合他社の追随を許さない独自の技術や能力を指すことが多いでしょう。

経営学者のC・K・プラハラードとゲイリー・ハメルが提唱した経営戦略の考え方です。

コアコンピタンスの3つの条件

プラハラードとゲイリー・ハメルは、企業が持つ「コアコンピタンス」を評価するための3つの条件を提唱しました。これらの条件は、企業の競争力の源泉として広く認識されています。それでは、この3つの条件を紹介しましょう。

【コアコンピタンスの条件】
1:顧客価値の提供(Customer Value、顧客に対して利益をもたらし、それが魅力的であること)
2:競争優位性の持続(Competitive Uniqueness、他社が模倣しにくいこと)
3:事業展開の多様性(Extendibility across Markets、異なる市場や製品分野に展開したとしても基盤となること)

「〇〇といえばあの企業!」と思ってもらえる技術や能力は、他社が模倣できないものばかりだといえます。反対に、簡単に模倣できてしまったら、武器にはなりません。特に競争の激しい分野では生き残れないでしょう。

また、その技術がたった一つの製品にしか使えないとしたら、短期間で廃れてしまう可能性が高くなります。汎用性があることもコアコンピタンスの重要な条件です。

コアコンピタンスを見極めるには?

コアコンピタンスを見極めるには、それがふさわしいかどうかを判断する基準が必要です。基準とされる5つの視点を紹介しましょう。

基準となるのは5つの視点

・模倣可能性(Imitability)
コアコンピタンスが他社にとって模倣しにくいものであるかどうかを見極める視点のことです。

・移動可能性(Transferability)
コアコンピタンスが他の技術や製品、サービス、分野などに応用できるかどうかを判断する視点のことです。

・代替可能性(Substitutability)
コアコンピタンスが他のものと代替できないかどうかを判断する視点のことです。代替困難であるほど、価値が高まります。

・希少性(Scarcity)
コアコンピタンスが希少であるかどうかを判断する視点のことです。

・耐久性(Durability)
コアコンピタンスが長期にわたって市場で優位に立つことができる技術や能力であるかを判断する視点のことです。

この5つの視点をクリアできるものが、コアコンピタンスであるといえます。コアコンピタンスは経営に大きく影響しますので、慎重に見極めなければなりません。

コアコンピタンスのある企業の強み

コアコンピタンスは他社に模倣されにくいものです。ということは、長期間にわたって競争優位性を維持できるため、市場でのリーダーシップを保つことができるということ。結果として、顧客に高い価値を提供し、顧客満足度やブランドへのロイヤリティーを高めることができます。

また、コアコンピタンスは多様な市場や事業分野に適用できるため、新しい市場への進出や新製品の開発も効果的に行うことができるでしょう。さらに、リソースを上手に活用すればコスト効率が高まり、収益性がアップします。独自の技術やノウハウを生かしてイノベーションを推進し、強力なブランド力を構築することも可能です。

これらの強みは、企業をさらなる高みへと導いてくれるでしょう。

キャリアのコアコンピタンス

コアコンピタンスは、キャリアの分野でも使われています。アメリカの心理学者であるシャイン氏(Schein, Edgar Henry)が提唱した「キャリアアンカー理論」の中にも登場し、職業選択やキャリアパスなどを決定する際に活用されています。

(c) Adobe Stock

キャリアアンカー理論とは?

キャリアアンカーの「アンカー(Anchor)」は、船の錨(いかり)を意味する言葉です。錨は、水上で船を一定の場所に固定するために使う鉄製の「おもり」のこと。船舶が水に流されることを防ぐために使います。

キャリアアンカーは、人生において自分の働き方の核となるものであり、具体的には、その人がキャリアを形成する上で譲ることのできない「価値観」「欲求」「コアコンピタンス(能力)」を指します。

この理論は、個人が自分自身のキャリアにおける最も重要な要素を理解し、それに基づいてキャリア選択やキャリア開発を行うことを促進してくれます。

3つの要素って?

キャリアアンカーの3つの要素である「価値観」「欲求」「コアコンピタンス」について紹介します。以下の3つの要素が相互に影響し合い、個人のキャリアアンカーを形成します。キャリアアンカーに基づいた仕事をすると、高い満足度を得ながら働くことができるとされています。

・価値観
ここでいう価値観とは、個人が自分のキャリアを通じて実現したい信念や理念のことです。価値観は、仕事に対する姿勢や行動の指針となります。

・欲求
ここでいう欲求とは、個人が仕事を選ぶ際に満たしたいニーズのことです。仕事を通じて得られる報酬や満足感、成長の機会などが含まれます。

・コアコンピタンス
ここでいうコアコンピタンスとは、個人が持つスキルや能力、専門知識のことです。仕事をする上での強みや得意なこと、有する資格などが該当します。

キャリアアンカーを知るメリット

キャリアアンカーを知ると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

(c) Adobe Stock

メリット

働く上で自分が何を大切にしたいと考えているのか、明確に把握できている人はあまりいないかもしれません。どちらかというと、働いて初めて「これは自分は望んでいないこと」「大切にしたいことは別にある」と気づくのではないでしょうか?

キャリアアンカーを知ると、自分が大切にしたいと考えている要素やコアコンピタンスが明らかになります。キャリア選択が明確になれば、自分にとって最適な仕事や職場環境を選びやすくなります。その結果、仕事に対する満足度が向上し、自己実現を感じやすくなるでしょう。

最後に

企業にとっては他社に真似できない独自の強みとして、個人にとってはキャリア形成の軸として、コアコンピタンスは機能します。コアコンピタンスを見極め、活用することで、より充実した人生を送ることができそうですね。これからのキャリアやビジネス戦略において、「コアコンピタンス」の知識をぜひ生かしてみてください。

TOP画像/(c)Adobe Stock

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