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「安眠」とは?
安眠、文字通り「安らかにぐっすりと眠ること」―。さらに掘り下げると、悩みや不安などがなく落ち着いて眠ること=安眠だと言われるケースが多いようです。
しかし、夜というのは一日の反省点や心配事がもやもやと頭に浮かんできて落ち込んだり、反対にいらいらとした興奮状態がなかなか静まらなかったりする時間帯でもあります。安心して穏やかに眠るのは、簡単ではありません。
そこで意識したいのが、心と体の緊張をほぐしてあげること。
副交感神経を優位にして、休息モードを深める
リラックスした状態で安眠するには、副交感神経を優位にしてあげるのが効果的。交感神経と副交感神経からなる自律神経ですが、後者の副交感神経は血圧や心拍数を下げて、心と体を休息モードへと誘うことから眠りとの関係が大きいのです。
では、どうやって副交感神経が優位な状態へと切り替えていくのか―。
副交感神経を優位にするには、夕食を軽めに済ませる(寝る直前にたくさん食べない)、好きな音楽を聴く・好きな香りをかぐなどしてリラックスした時間を作る、ストレスを感じたら深呼吸をするほかに、寝る前の軽めのストレッチもおすすめです。
ここからは、寝る前のちょっとした時間を使って簡単にできる安眠ストレッチと、リラクゼーション効果を高める頭のマッサージ&ツボ押しの方法をご紹介していきます。
【座りながら前屈】自律神経の通り道・背骨周辺のストレッチ
まずは、自律神経の通り道ともいわれる背骨周辺の筋肉の緊張をほぐしていきます。
STEP 1:正座の姿勢からスタート。
▲足は重ねず、かかとを自然に開いて座ります。背筋をスッと伸ばし、手はひざの上に添えましょう。
STEP 2:両手を床につく。
▲手のひらをしっかりと床について、上体を軽く前に倒します。
STEP 3:【息を吐きながら】背中を丸める。
▲背骨をひとつずつ動かすようなイメージで背中を丸めたら、筋肉の大きな広がりを感じましょう。額の生え際を床につけたら、目線はヘソへ。手の位置は、居心地のいいところに伸ばします。〈回数:5~10呼吸〉
【寝ながら】ねじって背中に効かせるヨガ「ワニのポーズ」
ヨガ「ワニのポーズ」もまた、背骨や背中の筋肉を緩めるのに効果的なポーズです。
STEP 1:仰向けになる。
▲腰が反りすぎないように、骨盤を軽く後傾させてヘソを内側に引き入れるとgood! あごを引いて、首のうしろを長くします。
STEP 2:【息を吸いながら】右ひざを曲げ、胸に引き寄せる。
▲右ひざを曲げたら両手で抱え、無理のない範囲で胸に引き寄せます。
STEP 3:右腕を横に伸ばす。
▲左手で右ひざを持ちます。右腕は、肩の高さで横に伸ばしましょう。
STEP 4:【息を吐きながら】右ひざを内側に倒す。
▲両方の肩が床から浮かないところまで、右ひざを内側に倒していきます。右ひざは床につかなくてもOK! 目線は右手指先に向けましょう。反対側も同様におこないます。〈回数:左右各5呼吸〉
【寝ながら】ひざをパカッ! 体の大きな筋肉をほぐすストレッチ:1
大きな筋肉をほぐすことで、体の緊張や力みが緩みやすくなります。ここからは、股関節のまわりや太もも、お尻、腰のあたりに心地良い伸びを感じられるリラックス効果の高いストレッチをおこなっていきましょう。
ベッドの上でおこなってもOK!
STEP 1:仰向けになり、ひざを立てる。
▲脚は揃え、かかとの上にひざがくるように姿勢を整えます。恥骨を軽く突き上げて骨盤を後傾させ、腰が反りすぎないように姿勢に注意しましょう。
STEP 2:【息を吐きながら】ひざを外に倒す。
▲足の裏同士はつけたまま、ひざを外に倒してひし形にします。手を太ももに乗せ、無理のない範囲でひざを床に近づけましょう。
STEP 3:【息を吸いながら】両腕を頭の先に伸ばす。
▲ばんざいをして、両腕を頭の先に伸ばします。手のひらは天井に向けましょう。肩や背中にも心地良い伸びを感じながら、呼吸を繰り返します。〈回数:5呼吸〉
【寝ながら】ひざ倒し! 体の大きな筋肉をほぐすストレッチ:2
STEP 1:仰向けになり、ひざを立てる。
▲前のストレッチと同様に、腰が反りすぎないように恥骨を軽く突き上げて骨盤を後傾させます。
STEP 2:【息を吐きながら】両脚を右に倒す。
▲ひざを揃えたまま両脚を右に倒して、右脚側面を床に近づけます。肩は床につけたまま、姿勢がつらくない場合は顔を左に向けましょう。
反対側も同様におこないます。〈回数:左右各5呼吸〉
頭皮の癒しが安眠の近道!マッサージ&ツボ押しのやり方
ストレスや脳疲労によって硬くなりがちな頭皮の下の筋肉。マッサージやツボ押しをすることで、ストレスの軽減、肩こりの緩和、視界のクリア感のほかにリラクゼーション効果も期待できるので、安眠方法のひとつとしてもおすすめです。
STEP 1:額の生え際にこぶしをあててほぐす。
▲手をグーの形に握ったら、前頭部・額の生え際中央にあてます。指の第二関節を使って、揺するようにほぐしましょう。〈回数:5~20回〉
STEP 2:こぶしを中央から右側へずらしてほぐす。
▲こぶしの位置を前髪の生え際に沿って、中央から少しずつ右へずらしていきます。ここでもこぶしを揺するようにして、グリグリと優しい力加減でほぐしていきましょう。耳の横あたりまできたら、反対側も同様におこないます。〈回数:5~20回〉
STEP 3:手のひらを頭頂部にあて、「よしよし」となでる。
▲手のひらを頭頂部にあてます。頭頂部は特にデリケートなので、力はほとんど入れずに手のひらで「よしよし」と頭をなでるように優しくほぐしましょう。〈回数:5~10回〉
ストレスが多かったり頭をよく使ったりして疲れている場合や、ほぐし足りない場合は、こぶしを使ってもOK。
STEP 4:親指の腹を使って「百会」をプッシュ。
▲親指の腹を、耳と耳を結んだ頭のてっぺんに位置するツボ「百会(ひゃくえ)」にあててプッシュ! 力加減は中くらいで、息を吐きながら5秒押す~離すを繰り返します。〈回数:5~10回〉
「百会」は、生命エネルギーのポイントとなるツボ。頭痛や目の疲れ、肩こり、疲労回復のほかに自律神経のバランスを整えてリラックスする効果も期待できるでしょう。
寝る前に注意したいこと
せっかくのストレッチも、頑張りすぎて強度が上がる(痛くなるまで伸ばす、反動を使う、時間が長いなど)と逆効果。ほかにも、熱すぎる湯船に浸かる、スマートフォンを見るなどの行為は入眠の妨げになるので控えましょう。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。