「当意即妙」ってどういう意味?
「当意即妙な人」と聞いて、皆さんはどのような人を思い浮かべますか?
「当意即妙」は、その場の流れや雰囲気に合わせて的確な言動を選択できること、という意味があります。自分の意見や手法に固執せず、置かれた状況・与えられた課題に応じて最善の解決策を瞬時にひねり出せる人やその行動を表す言葉として用いられます。
「当意即妙」の読み方
「当意即妙」の正しい読み方は「とういそくみょう」。由来は、仏教用語の「当位即妙」です。
「当位即妙」とは、すべてのものは生まれ落ちたその瞬間からあるべき姿のままで存在している、という意味で、仏教の中核をなす考え方として伝えられてきました。
やがて、仏教が暮らしに浸透する中で「当意即妙」と変化し、その場に求められた言葉や行動をスピーディに見せられる、という意味で使われるようになったそう。
また、ドイツ哲学が由来で、本来なすべきこと・あるべき状態、という意味の「当為即妙」という言葉もあります。
1.当意即妙
2.当為即妙
3.当位即妙
上記の3つはいずれも同じ読み方ですが、意味や使い方が異なるため注意が必要です。
「当意即妙」の正しい使い方。「臨機応変」との違い
「当意即妙」の正しい使い方を知ることで言葉の誤用を防ぐことができます。ここでは「臨機応変」との違いを含め、「当意即妙」の正しい使い方を解説します。
正しい使い方
「当意即妙」は本来、与えられた課題や状況に対し、最善の解決策を瞬時に導き出す様子を表す言葉です。
たとえば、上司から複雑なトラブルの改善策を求められ、その場で瞬時に誰もが納得するアイディアを提案した場合に「当意即妙なアイディア」、または「当意即妙な人」と表すことができます。
「当意即妙」の例文3つ
1.競争の激しい芸能界で生き残るには、常人ばなれしたトークの技術と当意即妙なユーモアが不可欠だ。
2.行動や考えの軸がコロコロ変わるようでは当意即妙とは言えない。
3.営業担当の「当意即妙」なユーモアのおかげで現場の空気がやわらぎ、新規案件獲得に結びついた
「臨機応変」との違い
「臨機応変」は、「当意即妙」と似ている意味を持つ言葉ですが、厳密に言えば意味や使い方が少し異なります。
「臨機応変」は、その場の流れを読んで適切な行動をとることという意味で、移り変わる状況に合わせて柔軟に態度や対応を変えていく、というニュアンスが含まれます。
「当意即妙」が基本的に一問一答のやり取りであるのに対し、「臨機応変」は”変化に対応する“というニュアンスが強く、長い時系列に沿ってその都度適した行動を取る様子を表しています。
「当意即妙」の類義語は?
「当意即妙」の類語としては、「才気煥発」、「打てば響く」などが挙げられます。いずれも瞬時の対応力が優れていることを表します。それぞれの意味をご紹介します。
才気煥発
才気煥発は「さいきかんぱつ」と読み、「頭脳の働きがすばらしく優れている様子」を表す言葉です。頭の回転が速くあらゆる面で才能に恵まれており、その結果として瞬時の対応力にも秀でている、というニュアンスが含まれています。
打てば響く
「働きかけるとすぐに反応が返ってくる」という意味の慣用句で、対応の早さを表す言葉として用いられます。
「当意即妙」の対義語は?
「当意即妙」の対義語には「杓子定規」、「四角四面」があります。どちらも融通が利かない様子を表す言葉です。
杓子定規
「杓子定規」とは「規則に忠実すぎるあまり融通が利かなくなっている人・その様子」を表す言葉です。物差しできっちり測ったかのようにそれ以外の対応を一切認めない人をネガティブに言い表す言葉としても使われています。
四角四面
「四角四面」とは、真面目すぎてゆとりがなく、冗談やユーモアが通じない人やその様子を表す四字熟語です。
まとめ
その場の流れや雰囲気に合わせて的確な言動を選択できること、またはその様子を表す「当意即妙」という言葉。カジュアルな言葉ではないものの、仏教由来の言葉でもあり、知識として知っていれば何かと役に立ちそうな言葉ですね。
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コマツマヨ
WEBサイトライティングをメインに、インタビュー、コラムニスト、WEBディレクション、都内広報誌編集、文章セミナー講師など幅広く活動。