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「促す」の意味や間違えやすい言葉とは?
まずは、「促す」の意味から解説していきます。
「促す」の読み方と意味
「促す」の正しい読み方は<うながす>になります。音読みで<そくす>と読んでしまいがちですが、間違わないように注意しましょう。
「促す」とは、「物事を早くするようにせきたてる」、「ある行為をするように仕向ける」、「物事の進行をすみやかにさせる」という意味。物事が早く行われるように何かを急がせたり、また相手に対してそのように仕向ける場面で使われる言葉になります。また、物事を良い状態に持っていくために、「ある方向に駆り立てる」、「追い立てる」という意味合いもある言葉です。
【促す(うながす)】
[動サ五(四)]
(1)物事を早くするようにせきたてる。また、ある行為をするように仕向ける。催促する。「―・されてようやく席を立つ」「注意を―・す」
(2)物事の進行をすみやかにさせる。促進する。「新陳代謝を―・す」「町の発展を―・す」
<小学館デジタル大辞泉>
「促す」と催促の違い
似たような意味で「催促」という言葉があります。「催促」は、<さいそく>と読み、同じ「促」という漢字が使われていることからわかるように、「物事を早くするように促すこと」。お願いした事などを早く進めてもらえるように、再度依頼することです。
【催促(さいそく)】
[名](スル)物事を早くするようにうながすこと。督促。「矢の―」「返事を―する」
<小学館デジタル大辞泉>
1点、大きな違いは、「促す」には「成長を促す」や「理解を促す」など、物事を良い状態に動かすために追い立てるという意味もありますが、「催促」には、そのような意味は含まれません。あくまでも、何らかの行動を誰かに対して急がせたり、おし進める言葉ですので、注意して使ってください。
「促す」と喚起の違い
もう一つ似た言葉で、「喚起」があります。「喚起」は<かんき>と読み、「注意喚起」という言葉はもう一般的でしょう。「喚起」は、「呼び起こす、呼び覚ますこと」という意味。「喚起」の対象になるものは、主に注意や意識など、人のメンタル面です。個人や集団、世論などに対し、何かを訴えかけるときに多く使われます。
【喚起(かんき)】
[名](スル)呼び起こすこと。呼び覚ますこと。「注意を―する」「世論を―する」
<小学館デジタル大辞泉>
「促す」の使い方を例文でチェック
では、「促す」の使い方を具体的な例文を用いて紹介します。
「友人から税金の相談を受けたので、一度無料セミナーを受講するように促した」
上述したように「促す」には「ある行為をそのように仕向ける」という意味合いがありますが、決して強制的に何かをさせることではありません。相手が自ら行動したくなるように、勧めるというニュアンスになります。
「地域発展を促すため、クラウドファンディングで支援事業を立ち上げた」
「発展を促す」という表現は、ビジネスの場などでよく使われるので覚えておくといいでしょう。ある目的やゴールに向かって効率的に進めたい時に、用いられることの多い表現方法です。
「いろいろなことを体験させることは、子供の成長を促すいい方法である」
「成長を促す」もまた、頻繁に使われます。人や植物の成長、また能力やスキルの育成など、物事がいい方向に伸びていくように、おし進めるという意味合いです。
「促す」の類語や言い換え表現とは?
次に、「促す」の類語をご紹介します。
「促進」
「促進」は、<そくしん>と読みます。「促」という漢字が使われていることから、こちらも「物事が早くはかどるように促すこと」という意味になります。目的とする計画や運動などの進み方が早まるよう、何かしらの力を加えることを指す言葉です。速度を速めるという意味合いを含んでいるため、一般的には「ゆっくり」や「徐々に」と一緒には使われませんので、気を付けてください。
例文:「ボランティア活動促進のために、様々な世代に向けSNSで呼びかけた」
「推進」
「推進」は、<すいしん>と読み、「物事を前進させること」、「事業や活動などが達成されるよう努めること」を意味します。ここでは、比較的大きな目標を実現させるために進むことや、その努力に対し重点が置かれるため、「促進」のようにスピード感はあまり気にしないのが一般的です。
例文:「昨今、世界中でダイバーシティ推進の取り組みが行われている」
「煽る」
「煽る」は、少し難しい漢字ですが、読み方は<あおる>です。「煽る」には、「おだてたりして、相手がある行動をするように仕向ける、たきつける」という意味が含まれます。昨今、「煽り運転」があとを絶ちませんが、あれはまさに、周囲の車が対象の運転手を不安にさせ、走行を妨害する危険行為です。不安や嫉妬など、ネガティブな言葉と一緒に使われることもあります。
例文:「むやみに人の不安を煽るような発言は決してするべきではない」
「促す」の対義語にはどのようなものがある?
次は、「促す」の対義語のご紹介です。
対義語:「妨げる」
「妨げる」は、<さまたげる>と読みます。「物事の進行や遂行に支障が起こるようにする」、「妨害する」という意味。「通行を妨げる」といったように物理的に邪魔をするという意味と、「眠りを妨げる」、「発展を妨げる」なとのようにある現象を阻害するという意味も持ち合わせています。
例文:「夜中に、隣の部屋から大音量の音楽が聞こえて、睡眠を妨げられた」
「促す」の英語表現とは?
「促す」を英語で表す際は、“urge”や“encourage”が一般的。「人に~するよう促す」という意味合いがあり、“urge to do”や“encourage to do”という形で使われます。
・I urged my boyfriend to lose weight.(わたしは彼氏に、体重を減らすよう促した)
・My parents encouraged me to try again.(両親はわたしに、もう一度挑戦するよう促した)
ビジネスシーンでもぜひ活用を
「促す」の意味や使い方をご紹介しました。「物事の進行をすみやかにする」、「相手をそのように仕向ける」ことなどを表し、相手が自発的に行動するように、おし進める際に使われます。相手に強いる場合には使われませんので注意してください。ビジネスシーンでもよく用いられる表現で、「発展を促す」、「成長を促す」といったフレーズも覚えておくといいでしょう。ぜひ日常生活やビジネスの場で、活用してみてください。
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