「感性」の意味
「彼女は感性が豊かだから」「感性の豊かな人に育てたい」などと言うことがありますね。この「感性」とは具体的にはどういう性質なのでしょう。なんとなく良さそうな感じがしますが、あらためて考えてみたいと思います。まずは、「感性」の意味を押さえておきたいと思います。
感性の意味
「感性」とは一般的に、物事を感じる能力。感覚、感受性などと同じような意味だと言えます。例えば、抜けるような青空を見て、なんだか物悲しくなったり、音楽を聴いて情景が頭に思い浮かんだり…。説明抜きで、心が勝手に自由に動くさまと言えばわかりやすいかもしれません。
【感性】
(1)物事を心に深く感じ取る働き。感受性。「―が鋭い」「豊かな―」
(2)外界からの刺激を受け止める感覚的能力。カント哲学では、理性・悟性から区別され、外界から触発されるものを受け止めて悟性に認識の材料を与える能力。
<小学館デジタル大辞泉 より>
感性がある人の特徴
「感性」がある人とはどんな人のことでしょうか。画家やアーティスト、歌手などはきっと「感性」が高い人なのでしょう。具体的な特徴を挙げてみます。
想像力がある
「感性」が豊かな人は、たくましい想像力を発揮します。音楽や絵画といった芸術に関することだけではなく、「こんなことを言われたら、言われた人はどう感じるかな」「このシーンを彼が見たらどう思うだろう」などと、どんどんイメージを膨らませていきます。時には、周囲が思いつかない発想をすることも。「感性」が豊かな人の想像力はとても楽しいものです。
自分に素直
「感性」が豊かな人は、自分が感じることを大切にしています。たとえ周囲の人が気にしないような些細なことでも、自分が「いやだ」と感じたら、その感覚を重要視するのです。時にはわがままに映るかもしれませんが、いつだって自分に素直な人だとも言えます。
五感に優れている
「感性」が豊かな人は、五感が敏感です。多くの人が気づかないような色彩の変化や香りなどを敏感に察知し、想像力を働かせます。そんな姿に「この人、不思議な力があるんじゃ…」と思ってしまう場合もあるかもしれません。「感性」とは、ある種のパワーなのかもしれません。
感情表現が豊か
「感性」が豊かな人は、感情表現も豊かです。喜怒哀楽といった4つにとどまらず、それぞれの間にあるような感情も見事に表現してくれます。その表現方法も多彩。表情や言葉で伝えてくれる場合もあるでしょうし、音楽や絵にしてくれる人も。「感性」が豊かな人は、一緒にいて飽きることがありません。
感性を磨くメリット
「感性」が豊かになると、人としての魅力が増します。なぜかと言うと、あなたならでは、言い換えればオリジナリティーが明確になってくるからです。
同じシチュエーションでも、通りいっぺんの反応ではなく、情動的な感情表現をするので、一緒にいる人たちは楽しくなります。「この人といると、他の人では感じられない楽しさがある」と思われるようになるのです。
感性を磨く方法
では、「感性」を磨くにはどうしたらいいのでしょうか。
本物を見る・聞く
美術館に足を運んだり、一流と呼ばれる人の音楽を聴いてみたり。「本物」に触れる機会を増やしましょう。その時、解説文を熱心に読むのではなく、まずは「自分がどう感じるか」を自らに問いかけてみましょう。正解はありません。感じるトレーニングを積むことで、自分なりの「感性」が磨かれていくはずです。
創作してみる
例えば、俳句を作ってみてください。5・7・5で見たものを表現するのです。どこかに発表するわけではありませんから、自由に創作してみましょう。心を柔軟にすることができます。
また、物語を作ってみてもいいでしょう。朝、通勤中に見かけた何かを起点にファンタジーを紡いでみましょう。こちらも正解はありません。心を自由に動かしてみてください。
行ったことのない場所へ行ってみる
例えば、いつもカジュアルな食事ばかり、という人は、ドレスコードのあるようなあらたまった場所に出かけてみましょう。ちょっとドキドキしますが、そのドキドキを楽しみましょう。ドキドキしている時は、心のアンテナが研ぎ澄まされます。その感覚が感性につながっていくのです。
時間に余裕を持つ
忙しいと、心にゆとりがなくなり、感性を働かせることができなくなります。感性を磨きたいと思ったら、日常生活の中の予定やタスクを少し少なめにして、ひとつひとつをていねいに取り組んでみて。今まで見えなかったことが見えるように、それまで感じられなかったことが感じられるようになります。
自然に触れる
自然は「感性」を磨くのにとてもいい場です。山と一言で言っても、その表情は四季のみならず、時間や天気でもまったく違ってきます。海や川も同様。大きなものだけではありません。石や岩、苔や草木といった小さなものにも目を向けてみてください。信じられないような造形美が自然には隠れているのです。
古典文学を読む
古典には、現代を生きる私たちにはない「感性」があふれています。例えば、『源氏物語』にはたくさんの女性が登場しますが、それぞれの女性の行動から内面を推し量るには、かなりの想像力が必要です。時代を超えて伝えられた作品は奥行きがあり、想像力を働かせるゆとりがたくさんあるのです。物語の世界に浸って、たっぷり「感性」を磨きましょう。
言葉を知る
自分の中に芽生えた感情を言葉にできると「感性」が磨かれます。「かわいい」「きれい」「いい感じ」というような言葉ばかりで話をしていませんか?「かわいい」と言っても、「愛くるしい」かわいさもあれば、「キュート」なかわいさもあります。「甘い感じ」とも言えるかもしれません。言葉の数を増やすことは、「感性」のアウトプットとして重要です。
語彙力を増やすと言っても、難しい本を読む必要はありません。今私たちの身のまわりには言葉があふれていますから、それらに少し敏感になってみましょう。雑誌を読みながら「ああ、こんな言い方もあるんだ」「今度、使ってみよう」など、日常的に言葉にアンテナを張っておくといいでしょう。
感性を磨いて豊かな生活を
「感性」が磨かれると、些細なことに喜んだり、悲しんだりできるようになります。それは、日常生活に新しい色が加わったようでもあります。「感性」を磨くことで、瑞々しい毎日が送れるようになるのです。
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