目次Contents
この記事のサマリー
・「感性」とは物事を深く感じ取る「感受性」や外界の刺激を受け止める「感覚的能力」のこと。
・感性が豊かな人は、高い観察力を持ち、自身の価値観に基づき能動的に刺激を求めている。
・後天的に感性を磨くには、一流の刺激への接触と、感じたことの言語化が有効。
「感性が豊か」「感性が鋭い」… そんな言葉をよく耳にしますが、「感性とは何か」を説明するとなると、途端に曖昧になってしまうかもしれません。
感情のこと? センスのよさ? それとも哲学的な能力?
この記事では、辞書に基づいた「感性」の意味を軸に、使い方、英語表現までを整理します。
「感性」という言葉の正しい意味と定義
まずは「感性」という言葉の意味を確認していきましょう。
辞書が定義する「感性」の2つの側面
「感性」とは、物事を心に深く感じ取る働き(感受性)と、外界からの刺激を受け止める感覚的能力の両面を持つ言葉です。
日常語としての意味と、哲学用語としての意味がある点を覚えておきたいですね。
辞書では次のように説明されていますよ。
かん‐せい【感性】
1 物事を心に深く感じ取る働き。感受性。「―が鋭い」「豊かな―」
2 外界からの刺激を受け止める感覚的能力。カント哲学では、理性・悟性から区別され、外界から触発されるものを受け止めて悟性に認識の材料を与える能力。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「感性」の正しい使い方を例文でチェック
ここでは日常会話の中での「感性」の使い方について、具体的な場面を想定しながら見ていきましょう。
彼女は人の表情の変化にすぐ気づく、感性の鋭い人だ。
ここでの「感性」は、物事を心に深く感じ取る働きという意味で使われています。他人の感情や空気の変化を敏感に受け取る性質を表しています。
若い頃は刺激に対して感性が豊かだったが、年齢とともに落ち着いてきたと感じる。
「感性」を、時間の経過による変化として用いています。感情や印象を受け取る度合いが変わる、という意味合いです。
同じ映画を見ても、感性の違いによって受け取る印象は大きく異なる。
同一の対象に対しても、心で感じ取る度合いや方向が人によって異なることを示しています。
「感性」の類語や言い換え表現
ここでは「感性」と似た意味を持つ言葉を紹介します。
感受性
「感受性」とは、刺激を心に受け止め、深い反応を呼び起こす力のことを指します。「感性」とは外からの刺激を受け止める能力という点で共通しています。
違いを挙げるのなら、「感性」は受動的なだけでなく、センスを外に発揮するところもある点です。
センス
物事の本質を感じ取る心の働きを指します。「センスがいい」「センスが悪い」というように、物事のよさの感じ方、理解の仕方などの良し悪しを計る際にも使われる言葉です。
情操(じょうそう)
「情操」は、美しいものや優れたものに接したときに感動する、情感豊かな心のことを指します。特に道徳的・芸術的な高い価値を持った感情のことをいいますよ。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)、『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)

感性が豊かな人に共通する特徴とは?
「感性が豊か」な人には、どんな共通点が見られるのでしょうか? 3つの視点から見ていきましょう。
小さな違いを見逃さない
感性が豊かな人は、周囲の変化や人の表情、空気感といった細かな変化に敏感です。それは「気が利く」「勘がいい」というよりも、外界からの情報を粗く処理せず、丁寧に受信しているからでしょう。
同じ場にいても、受け取っている情報量が違うため、結果として「よく気づく人」に見えるのです。これは能力の優劣ではなく、刺激の受け止め方の差だといえるでしょうます。
感じたことを、自分の判断基準に落とし込んでいる
感性が豊かな人は、他人の評価や流行をそのままなぞるのではなく、「自分はどう感じたか」を一度立ち止まって確認します。
例えば、物を選ぶときや意見を述べるときも、外部の基準ではなく、感性によって受け取った印象を内面で咀嚼し、自分なりの判断へ変換するのが特徴です。
その積み重ねが、「この人には一貫した価値観がある」「ブレない」という印象につながります。
新しい刺激を避けず、感覚を更新し続けている
感性は、生まれつき固定されたものではありません。新しい経験や未知の分野に触れることで、受け取る刺激の幅は広がっていきます。
感性が豊かな人は、未知の体験を過度に恐れず、「感じ取る材料」を増やすことに前向きです。
新しい場所に行く、本を読む、人の話を聞く… そうした小さな行動が、感覚の引き出しを増やし、表現や判断の厚みを生み出しています。
日常生活や仕事で感性を磨く実践的方法
感性とは、才能やセンス以前に、外界からの刺激を受け取り、それをどう感じ取るかという能力です。
つまり「感性を磨く」とは、刺激を増やすことでも、考えを深くすることでもなく、刺激を受け取る精度と、その後の処理の仕方を整えることだと考えると、実践の方向性が明確になります。
刺激の「質」を意識して取り入れる
感性は、受け取る刺激の影響を強く受けます。そのため、無差別に情報を浴びるよりも、質の高い刺激に意識的に触れることが重要です。
映画、音楽、美術、文章など、長く評価されてきた表現には、それぞれに受け手の感覚を揺さぶる構造があります。
大切なのは知識として理解することではなく、「どの場面で、なぜ心が動いたのか」を自分の中で確かめること。
この確認作業が、刺激を単なる情報で終わらせず、感性の経験として蓄積されます。
感じたことを、いったん言葉に置き換える
感性は「感じて終わり」では育ちません。受け取った刺激を自覚し、整理してはじめて、次に生かせる感覚になります。
心が動いた瞬間に、
・何に反応したのか
・どういう気分になったのか
を短い言葉で書き留めてみてください。
これは感性を理屈で説明するためではなく、自分が何を感じ取ったのかを自分自身に返すための作業です。この積み重ねが、感性を一過性の感情から、安定した判断材料へと変えていきます。
日常の出来事を「受け流さない」
感性を鈍らせる最大の原因は、刺激に慣れ、考えずに流してしまうことです。
例えば、
・なぜこの広告は目に留まったのか
・なぜ今日は同じ景色が違って見えたのか
こうした小さな違和感や引っかかりを、そのままにしないこと。
答えを出す必要はありません。立ち止まって意識を向けること自体が、感性のトレーニングになります。日常を「当たり前」として処理せず、刺激として受け取り続ける姿勢が、感性の解像度を保ちます。

知っておきたい「感性」の英語表現
「感性」は英語で“sensitivity”です。「感性の鋭い人」と言いたい時には“a sensitive person”と言いますよ。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
「感性」に関するFAQ
ここでは、「感性」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1:「感性」と「感受性」は何が違いますか?
A1:外からの刺激を受け止める能力という点で共通しています。違いとしては、「感性」は受動的なだけでなく、センスを外に発揮するところもある点です。
Q2:大人になってからでも感性は磨けますか?
A2:可能です。感性は、良質な刺激を能動的に受け取り、それを言語化して整理する習慣を積み重ねることで、後天的でも「感性の解像度」を高められます。
Q3:看護や保育の現場で「感性」が重視されるのはなぜですか?
A3:言葉を介さない対象者のわずかな変化や、現場の空気感を感覚的能力によって察知し、的確なケアに繋げる「観察眼」として機能するためでしょう。
最後に
「感性」は、物事を見たり聞いたりしたときに、何を感じ取り、どう受け止めるかという「心の働き」を表す言葉です。生まれつきのセンスのように語られることもありますが、経験や環境、日々触れるものによって磨かれていく面もあります。
同じ景色を見ても、心が動くポイントは人によって違います。その違いこそが「感性」の面白さであり、言葉や表現、人との関わり方にも深く影響しますね。
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