日常生活でもよく見聞きする「ニュアンス」という言葉。なんとなく使っているものの、意味がはっきりわかるという方は少ないかもしれません。そこで本記事では、ニュアンスの意味や語源、使い方などを詳しく解説します。
ニュアンスとは?
ニュアンスとは、「微妙な意味合い」や「微妙な違い」のこと。最初に、ニュアンスの意味と語源を詳しく見ていきましょう。
意味
ニュアンスとは、「言葉などに含まれる微妙な意味合い」「音色や色彩などの微妙な違い」。
まず、前者の「言葉などに含まれる微妙な意味合い」をもう少し詳しく説明すると、「言葉には出さない話し手の気持ちや意図」をあらわします。例えば、不機嫌な表情で「大丈夫」と言っている人がいたとしましょう。
この場合、「大丈夫」と言っているものの、「大丈夫ではなく、イライラしている」「腹を立てている」といった気持ちがうかがえますね。このように、言葉に含まれる微妙な意味合いのことをニュアンスと言います。
続いて、後者の「音色や色彩などの微妙な違い」に関して。絵の具の色彩や楽器の音色などは、微妙な違いが、なんとも言えない色合いやハーモニーを生み出すことがありますよね。こうした微妙な差異をあらわす時に、ニュアンスを使います。
語源
ニュアンスは、もともとフランス語の「nuance」が語源です。フランス語の「nuance」にも、「色調」「濃淡」「細かな陰影」「微妙な変化」といった意味があります。この、フランス語の「nuance」をカタカナにしたものが、日本でも使われている「ニュアンス」です。
ニュアンスの関連語を紹介
ニュアンスの意味はおさえられましたか? 続いては、「ニュアンスネイル」「ニュアンスカラー」といった、「ニュアンス」がつく言葉を紹介します。
ニュアンスカラー
ニュアンスカラーという言葉を、ファッションやメイク、ヘアカラーなどにおいて聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ニュアンスカラーとは、「さまざまな色を混ぜた、曖昧な色合い」のこと。
はっきりとしたビビッドカラーのような色味というよりは、淡くくすんだ色味のことをさします。ですのでニュアンスカラーは、くすみカラーと言い換えてもOK。少しアンニュイな雰囲気の色なので、大人の落ち着いた雰囲気やこなれ感を演出することができます。
ニュアンスネイル
ニュアンスネイルとは、あえてムラを出したり、さまざまな色を混ぜた絶妙なカラーのネイルです。曖昧な色味や曖昧なラインを使ったり、人差し指はワンカラー、中指はフレンチなど、指ごとに違うデザインを施したりと、自由度の高さも特徴。ニュアンスネイルは、おしゃれな人の間では定番になりつつあるネイルデザインです。
使い方を例文でチェック!
「言葉などに含まれる微妙な意味合い」「音色や色彩などの微妙な違い」といった意味を持つニュアンス。意味がわかったところで、続いてはニュアンスの使い方をチェックしましょう。例文を見て、使い方をイメージしてみてくださいね。
1:「形見」と「遺品」では、言葉のニュアンスが違う。
形見も遺品も、両方とも故人が残したもののことです。形見と聞くと、「故人が残した大切なもの」「故人を思い出させてくれるもの」など、なんとなく「愛着」や「愛情」を感じられますよね。
ですが遺品と聞くと、単に「故人が残したもの」をあらわし、そこには特別な感情が含まれていないような印象を受けませんか? 同じものを指していても、言葉によって印象の違いがある時にニュアンスが使えます。
2:クライアントの要望のニュアンスを汲み取ることが大切だ。
ニュアンスを汲み取るとは、相手の意図を汲み取るという意味。商品開発や広告制作などの場面で、クライアントと打ち合わせをする機会がありますよね。そうした時、クライアントは明確な言葉を使わないものの、「明るい感じに」「柔らかいイメージで」など、ニュアンスで伝えることもあるでしょう。
完成イメージを見せた時に、「イメージと違う」と言われないためには、きちんと「それはこういうことですよね?」などと、認識をすり合わせておくことが大事かもしれませんね。
3:グラデーションを加えて、ニュアンスを出してください。
この例文のニュアンスがさすのは、「色彩の微妙な違い」のこと。「グラデーションをプラスし、微妙な変化を加えてください」ということを言っています。絵を描く時だけではなく、ポスターやカタログ制作といったビジネスシーンでもニュアンスという言葉が使われますので、意味をきちんとおさえておきましょう。
類語や言い換え表現は?
ニュアンス自体が、やや曖昧な意味を持つ言葉ですよね。まだ自信を持って使えない… という方は、別の言葉に置き換えてみてもいいかもしれません。ここでは、ニュアンスと似た意味を持つ言葉を紹介します。
1:意味合い
意味合いとは、「言葉の奥に示される意図」という意味です。明確な言葉で示さないものの、それとなく示される意味や内容をさします。意味合いは、「意味合いがある」「意味合いが込められている」などと使えますよ。
2:含意
含意(がんい)とは、「表面にはあらわれない、別の意味を含み持つこと」。使い方は、「含意を読み取る」などです。例えば、「この部屋、寒くないですか?」と言われたとしましょう。言葉通りの意味かもしれませんが、「暖房をつけてほしい」といった含意がある場合も。「空気を読む」といった文化がある日本では、含意を読み取る機会が多いかもしれませんね。
3:文意
文意(ぶんい)とは、「文章が表現しようとしている事柄」のこと。文章の趣旨ともいえますね。「クライアントから送られてきたメールの文意をつかむ」といった使い方ができます。
英語表現は?
ニュアンスの英語表現は、フランス語表記と同じく「nuance」。意味も同じで、「微妙な差異」「微妙な色合い」「陰影」です。
例文: There is a difference in nuance between English and Japanese.(英語と日本語にはニュアンスの違いがある)
最後に
ニュアンスの意味は理解できましたか? なんとなく使ってしまっていた… という方は、ぜひ本記事を一つの参考にして、正しい使い方をマスターしてみてくださいね。
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