「チキる」の意味は?
10代や20代の間で使われる「チキる」という表現。若者言葉のうちの1つです。まずは意味を理解しておきましょう。
「チキる」は「チキ」をカタカナで、「る」はひらがなで表現します。そもそも「チキる」とは「チキンになる」を省略した言葉。英語で「chicken」というと、鶏肉をイメージする方が多いかもしれませんが、実は「臆病者」の意味で使うこともあるのです。
例えば、「チキンレース」の「チキン」はまさに「臆病者」を意味していますよね。チキンレースとは、相手の車もしくは障害物に向かって、衝突寸前まで走り、先によけた方を負けとする度胸試しのレースのこと。このように、臆病者を意味する「chicken」が「チキる」の語源となっているのです。
「る」は、名詞の後ろに付けることでその言葉を動詞化させる役割があります。若者言葉の中でも「事故る」「パニクる」のように「名詞+る」という形をとる言葉が多いですよね。「チキる」も「チキンになる」ということを意味しており、「臆病者になる、怖がる、弱腰になる」というニュアンスで使います。緊張している時や、怖じ気づいている時に使える表現でしょう。
使い方を例文でチェック!
では、実際に使い方をシチュエーションと合わせて見ていきましょう。「チキる」は若者言葉の中でも使用頻度の高い言葉です。恋愛で勇気が出ないシーンなどでも、使うことができるでしょう。
1:自信がなくて告白するのをチキった
「チキる」は意外と恋愛で使うことが多いでしょう。好きな子を前にすると、急に言動に自信がなくなってしまうこともありますよね。上手くアピールが出来なかったり、デートに誘いたいのに緊張して誘えなかったりした時に「チキった」と使います。
2:チキってないで早く行きなよ
例えばお化け屋敷やバンジージャンプなど、腰が引けてしまうような時にこの表現を使います。皆さんも足がすくんでしまったり、怖じ気づいてしまったような経験はありませんか? そのような状況「チキる」と表現することができます。
3:練習では出来るのに本番になるといつもチキってしまう
部活や習い事をしている人にとっては、あるあるかもしれません。スポーツであれば、いつも練習では思い切ったプレーや攻めたプレーができるのに、本番になるとミスをするのを恐れて、守りに入ったプレーをしてしまうなど…。スポーツに限らず、練習でやっていることを本番で発揮できないことはよくありますよね。私達は緊張したり、ミスを恐れるとチキってしまう傾向にあるのです。
4:もしかしてチキってるの?
自分の言動を振り返って「あの時チキったな」と言うこともありますが、他人から「チキってるじゃん」と言われることも多いです。「緊張してるの?」「怖がってるの?」という意味でもありますが、少し皮肉を含んだニュアンスで言われていることもあるでしょう。
5:ここで踏み出さないなんて君はチキりだよ
「チキっている人」という意味で「チキり」という名詞の形に変えて言うこともあります。「チキン」と同じで「臆病者」という意味で使うことができるでしょう。もし「チキりだね」と言われたら、「ヘタレ」というようなマイナスなニュアンスが含まれています。悪口になってしまうこともあるので、気をつけましょう。
「チキる」の類語を紹介
「チキる」と似たような意味で使われる言葉には「びびる」「ひよる」「芋る(いもる)」があります。それぞれの詳しい意味や使い方について解説していきますね。
1:びびる
「ビビる」とカタカナで表記することもあります。「気後れする・物怖じする・恥ずかしがる」などを意味する表現。おどかされた時など、気持ちが萎縮するような状況で使うでしょう。また「びびる」の連用形から、ちょっとしたことで怖がったり落ち着きがない人のことを「びびり」と呼んだりもします。
「びびるから驚かさないで」「急に話しかけられたからまじでびびった」などというように使うことができるでしょう。
2:ひよる
『東京リベンジャーズ』という作品のセリフから、一気に若者の間で流行した「ひよる」という言葉。この作品の中では「怖じ気づく」という意味で使われており、若者達も「びびる」と同じような意味で使っている人が多いのではないでしょうか。この使い方は間違いではなく、最近はそのような意味で紹介されることもよくあります。しかし、本来「ひよる」とは、全く違う意味を持つ言葉でした。
漢字で表記すると「日和る」となり、「日和見(ひよりみ)する」という言葉が由来となっています。「日和見(ひよりみ)」とは、形勢をうかがいながら有利な方へつこうとすること。つまり「日和る」とは、積極的に関わろうとせず、どちらかというと傍観している姿勢を意味するのです。
形勢をうかがうあまりに、大胆な行動をとらない様子を「怖じ気づく」と捉え、最近ではそのように使われるようになりました。「ひよる」を「怖じ気づく」という意味で使うことは間違いではありませんが、本来の意味も合わせて覚えておくと良いでしょう。「ひよってる場合じゃないよ。行くよ」というように使います。
3:芋る(いもる)
こちらも「怖じ気づく・おどおどする」という意味で使います。関西弁では、元々「芋」が田舎者を表す言葉として使われていたそう。しかし「芋る」という表現が一気に広まるきっかけとなったのは、荒野行動やフォートナイトなどのゲームでした。ゲームの中で、目立った動きをせず、同じ場所にずっと潜んでいるようなプレイヤーを「芋」と蔑称して呼ぶのだそう。
そこから「芋=びびり、おどおどしている」というようなイメージがついたのでしょう。「いきなり注目を浴びて芋ってしまう」というように使います。
最後に
次々と登場する若者言葉。初めて耳にした時は、意味が分からず混乱してしまいますよね。しかしよく見てみると、知っている言葉が省略されていたり、組み合わせて使われていたりと、面白い工夫があることに気づくでしょう。皆さんもぜひ機会があれば、若者言葉を使ってみてください。
TOP画像/(c) Adobe Stock