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「一途をたどる」ってどんな意味?
「一途(いっと)をたどる」とは、途中で様子が変わることなく、一定の方向に変化が進行し続ける様子を表す表現です。
たとえば「減少の一途をたどる」だと、ひたすら減少し続けている場合。途中で一度でも増加傾向が見られた場合には、「一途をたどる」とは言いません。
「一途をたどる」という表現が使われる場合、多くはネガティブな意味として用いられます。「新型コロナウイルス感染症の感染者数が、増加の一途をたどる」「我が社の経営状況は、ここ数年、悪化の一途をたどっている」といった言い回しに使われます。
「一途をたどる」の類語は?
激化する一方
状況がひどくなっていくという意味では、「激化する一方」と言い換えることができます。「新型コロナウイルスの猛威は、激化する一方」と表現すると、感染者数がどんどん増えている、喜ばしくない状況が想像できますよね。
とどまるところがない
一定の方向に進み続ける様子から、「とどまるところがない」も「一途をたどる」に似た表現といえます。使い方は「我が社の経営の悪化は、とどまるところがない」など。事態が悪化していくさまが伝わってきます。
ひたすら
「ひたすら増加している」「ひたすら悪化している」といえば、増え続けている、どんどん悪くなっている様子がうかがえますね。この「ひたすら」も、「一途をたどる」の類義語といえるでしょう。
「一途をたどる」の語源は仏教用語!
先ほどの項目で、「一途をたどる」は「ひたすら」という言葉に置き換えられると説明しました。この「一途をたどる」の「一途」は、もともと仏教用語です。「一途」とは、悟りを求めるための唯一の方法という意味で、ひたすら修行を続けることを表しているのです。
もともとは、僧侶が修行に励むことだった「一途」ですが、時代が進むにつれ、僧侶以外にも使われるようになります。近年では「一途」というと、恋愛において、一人の人だけを愛し続けることに使われる場合が多いですね。ひたすら愛し続けるさまが、僧侶の修行姿に似ているのかもしれません。
ちなみに、「一途をたどる」というときには「一途(いっと)」と読みますが、「一途」のみの場合は「一途(いちず)」と読みます。仏教においても「いちず」ですので、注意が必要です。
「一途をたどる」の対義語には、どのような言葉がある?
では、「一途をたどる」と反対の意味を持つ言葉には、どんなものがあるのでしょうか?
迷走する
ひたすら進むことが「一途をたどる」なら、迷いながら進む「迷走」は対義語となります。「一途をたどる」もネガティブなシーンで使う言葉ですが、「迷走する」も同様。褒め言葉には使われません。
膠着(こうちゃく)する
進行を続けることが「一途をたどる」なら、止まってしまうこと、すなわち「膠着する」は対義語です。「膠着する」という表現は、良い動きが滞る時に用いられます。たとえば「国際情勢が、あの事件をきっかけに膠着状態に陥った」といえば、それまで良好だった国際情勢が、一つの事件をきっかけに止まってしまったことを示しています。
難航する
「難航する」とは、障がいがたくさんあって物事がうまく進行しない状態をいいます。好ましくない状態であることは同じなのですが、ひたすら悪い方向だけに進んでいるわけではなく、少しはうまくいく場面もあるのが「難航」です。
「一途をたどる」の使い方
「一途をたどる」の意味と由来、類義語、対義語を説明しました。意味がしっかりつかめたところで、自分でも使いこなせるように、用例をいくつか準備しました。
彼との関係は、悪化の一途をたどった
ある男性との関係について述べています。「悪化の一途をたどった」のですから、一度もよくなることなく、両者の関係は決裂してしまったと想像できます。
我が国の財政は、悪化の一途をたどっている
「一途をたどる」という言葉は、「悪化」とセットで使われるケースが多いことを覚えておきましょう。また、この表現は人間関係のみならず、物の状態にも使うことができます。
「たどった」と過去形にすれば、そのままで終わったことが表現できますし、「たどっている」と現在進行形にすれば、今、まさに悪化の最中にある状況を示すことが可能に。
祖母の体力は、衰退の一途をたどっている
悪化とともに「一途をたどる」とセットで使われることが多い言葉が、「衰退」「減少」です。減ること、弱ることはネガティブな事柄の代表ですから当然ではありますが、ボキャブラリーを増やすために、こちらも覚えておけるといいですね。
暴動に参加する人の数は、増加の一途をたどっている
「衰退」「減少」がセットで使われることが多いと述べましたが、慣用句のように覚えてしまうのは危険。「一途をたどる」がよく使われるのは、その状況が好ましくない場合ですから、「増加」するのが好ましくないのであれば「増加の一途をたどる」と表現してもOK。「一途をたどる」という表現は、文脈をよく考えて使うようにしましょう。
「一途をたどる」は書き言葉?
「一途をたどる」という表現を日常生活で使ったことがない、と仰る方もいるかもしれませんが、この表現は、特に改まったものではありません。
書き言葉・話し言葉として、両方に使うことができます。また、「一途をたどる」と発言して「この人は難しい言葉を使うなぁ」と思われることは少ないので、自信を持って使いましょう!
「一途をたどる」の英語表現はある?
「一途をたどる」は何かが進行し続けることですから、英語だと「to continue to ○○」といった表現に。
「悪化の一途をたどる」だと「to continue to get worse」、「衰退の一途をたどる」だと「to continue to decline」となりますね。
もっと簡単な表現では「go on 〜ing」「keep(on)〜ing」も使えます。「増加の一途をたどる」であれば「go on increasing」、あるいは「keep increasing」となります。
ただ、英語だと「〜し続ける」という状態は分かるものの、ネガティブなニュアンスは含まれないため、そのあたりは文脈から判断することが大切です。
わかりやすく、使いやすい! 覚えておいて損はありません
以上、「一途をたどる」という表現についてご紹介しました。使い方はわかりましたか? 日常、特にビジネスのシーンなどでは、よく使われる言葉です。ニュースなどでも耳にする機会が多いので、知っておくといいですよ!
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