目次Contents
〈後編〉ボルダリングの動きはシンプル、Yes or No?
ヨガインストラクターの高木沙織です。
前回の「【ボルダリング】の魅力とは?“ゴールの達成感による自信が心身に巡る!”週2で通うライターが語ります〈前編〉」」に続き、ここではボルダリングをしていくなかで感じた、体の変化をつづっていきます。
どうぞお付き合いください!
ボルダリングは「全身の筋肉を総動員」するスポーツ!
クライミングウォールと呼ばれる“壁”に設置された“ホールド(石)”を頼りに、ゴールを目指して登っていくのがボルダリング。
基本的には自分の体とクライミングシューズ、必要であれば手汗止めのチョークといった最低限の道具を使っておこなうスポーツです。
さて、みなさんは「壁を登る」スポーツと聞くとどのようなイメージが湧いてきますか? 私は、どうもシンプルな動きしか思い浮かびませんでした。開く・ねじる・逆さになるなど、複雑な体の動きをともなうヨガが習慣になっているからか、ボルダリングの動き=ごく単純なもの…こんなふうに考えていました。
実際に7Q(私が通うジムでは一番簡単なグレード)のコースに挑戦してみても、「お、スイスイ登れる!」と余裕を感じたほど。
ところが、1つグレードが上がった途端…完全にフリーズ! 全っ然、単純な動きじゃない。全身の筋肉を総動員しないと登れないのです。
ひどい筋肉痛に悩まされたのは「前腕」
ボルダリングを始めてわりとすぐ、初級から1つグレードが上がった私は筋肉痛の洗礼を受けることになります。
最初に筋肉痛になったのは、前腕(ひじ~手首)。
「こんなところ…どうして筋肉痛に?」と思うじゃないですか。なんでも前腕、特に内側には手で物をつかむ・握るために使う筋肉がついているそう。
ボルダリングを始めたばかりの頃というのは、どうしても指に力が入って、手の力で無理に登りがち。その結果、前腕が強めの筋肉痛に見舞われるのだとか。
日常生活でもちょっとしたものを手で持ったり、握ったりする動作は多く、筋肉痛の最中は地味に痛いシーンが続きます。ボルダリングをした翌日~2日間はコンスタントに痛みが生じ、痛まなくなってきたのは1か月ほど経ったころでしょうか。
ちなみに、ボルダラー(ボルダリングをする人)やクライマーはこの前腕の内側の筋肉がモリモリ発達しているのが1つの特徴だそう。
例えば電車のつり革につかまっているとき、前腕の内側にムキッと筋肉の盛り上がりがある人は高確率で“登っている人”…なんて説もあるんです。私も明らかに前腕の太さが変わってきているし、握力を測定したら女性の平均値である20kg台後半+10kgほどあってビックリ。
「前もも」と「背中」は軽めの筋肉痛
続いて筋肉痛になったのは、前もも(大腿四頭筋)と背中です。
登り慣れていないときは「落ちたくない!」と、指や腕の力に頼ってしまうのですが、これは脚の力をうまく使えていないことの裏返しでもあると判明。
当たり前だけれど腕よりも脚のほうが筋肉が大きいし、強い力を発揮します。ボルダリングでも、股関節やひざの曲げ伸ばしをうまく使って踏み込んだり、ときにはつま先で小さなホールドに乗って体を支えたりしたほうが体力的にも断然ラク!
これらの動きに関係する前ももの筋肉が、見事に筋肉痛になりました。
背中の筋肉は、ボルダリング中の姿勢の維持やバランスキープ、あとは下半身の安定のために使われるのですが、前腕・前ももほど痛まず、薄っすらと筋肉痛になった程度です。
関節可動域が広く、手足が遠くまで届くのはヨガのおかげ。6Qまでは順調でしたが、もう1つ上のグレード・5Qに進むと、複雑な位置にあるサイズが小さいホールドの上で姿勢を保ったり、そこから動いたりするための腕や脚の力強さが足りません。
筋力アップのため、今年に入ってから意識的に筋トレも取り入れるようになりました。週2回(1回1時間~1時間半)のボルダリングに加えて、スクワットや腕立て伏せ、腹筋に取り組むこと数か月。
その成果が表れているのか、『Oggi.jp』のストレッチの撮影で毎月お世話になっているカメラマンさんから、「姿勢のバランスがめちゃくちゃキレイになった!」というお言葉が…! 両手、両足をバランスよく繰り出すことで体の左右差が減った気はしていたけれど、目に見えて変わったのは嬉しい副産物です。
姿勢が良くなったのはいいけれど、実はちょっとした悩みも…?
ボルダリングのおかげでマインドが上向いたり(前回参照)、姿勢が良くなったりといいこと尽くめに思える一方で、密かな悩みも生まれています。
それは、指がたくましくなったこと。
指全体というよりは、関節が太くなったと言ったほうが正しいかもしれません。
ホールドに指をかけるときは、第一関節と第二関節を曲げます。そこに負担がかかるため、今の私の手は指がゴツゴツ。
ほかにもホールドとの摩擦によって、第二関節の下に豆ができたり、手の皮が厚くなったりするのもあまり触れられていないデメリットです。手汗止めのチョークを使う場合、水分が吸収されて乾燥したり、手荒れしやすくなったりもしますが、ボルダリング終了後に保湿をしっかりすることで今のところは回避できています。
あとは、ネイル! 爪が長いとホールドをうまくつかめないし、運悪く爪がはがれてしまう…なんてこともあるのでご注意を!
ボルダリングでオシャレを楽しむなら?
最後は、ボルダリングを長く楽しむためのモチベーションの上げ方です。
「頑張っているのに、なかなかゴールできない」なんて日が続くと、やる気が低迷してしまいます。
そういうときは、お気に入りのウェアを着るのが一番!
アクセサリーや時計、ネイルを楽しめない代わりに、着るとテンションが上がるウェアを用意しておくと「これを着るためにジムに行こう!」とスイッチが入ります。
私がボルダリングをするときのウェア選びでポイントにしているのは、次の3つ。
・丈の長いボトムスを履く
ホールドに脚を擦ってしまうことがあるので、丈が長めだと安心
・足さばきがいい
脚を大きく開いたり、ひざの曲げ伸ばしをしたりするので、足さばきのよさはめちゃくちゃ大事!
・ダボダボしすぎていないこと
ダボダボだと動きにくいっ! さらに、服がホールドに擦れる&足元のホールドが見えにくくて危ない(ひもやリボンが長い服は、ホールドに引っかかる危険があります)
ボディライン(特にヒップ)が気になる方は、カーゴパンツもアリ。SNSでボルダリングの動画を見ていると、韓国人女性たちが短めのピタッとしたトップスにカーゴパンツを合わせたりとかわいいコーディネートをしていて参考になりますよ。
クライミングソックスも、鮮やかなピンクが気分を上げてくれます。
天気や気温、紫外線を気にすることなく、屋内でアクティブに体を動かせるボルダリング。新しい趣味や習い事を探している方は、選択肢の1つに入れてみるのはいかがでしょうか。
※ 写真提供『株式会社BEACH TOWN Community Park YASHIO』
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。