金枝玉葉(きんしぎょくよう)の意味とは?
金枝玉葉(きんしぎょくよう)とは、天皇の一門や天子の一族、皇族を指す言葉です。「金」や「玉(ぎょく)」は高貴さ、「枝」や「葉」は子孫を表すため、高貴な人々の子孫、つまり王族や皇族を指す言葉として使われます。
きんし‐ぎょくよう【金枝玉葉】
出典:小学館 デジタル大辞泉
天皇の一門。天子の一族。皇族。
皇族や王族を指して…
金枝玉葉は、次のように使います。
・皇族や王族の方々もSNSを通して情報を発信されることが増え、金枝玉葉の存在をより身近に感じるようになった
・100年以上の長きにわたり、当店の靴を金枝玉葉の方々がご愛用なさっています
皇族や王族にたとえて…
金枝玉葉は皇族や王族を直接指して使うこともありますが、皇族や王族にたとえて使うこともあります。
・彼女の立ち居振る舞いは、まるで金枝玉葉の方々のように品がある
・あの豪華なドレスは、金枝玉葉でもないわたしに似合うだろうか
金枝玉葉と類似する表現
金枝玉葉のように皇族や王族を指す言葉や、王そのものを指す言葉としては、次のものが挙げられます。
・瓊枝玉葉(けいしぎょくよう)
・万世一系(ばんせいいっけい)
・一天万乗(いってんばんじょう)
・万乗の君(ばんじょうのきみ)
・天子(てんし)
・帝王(ていおう)
・天皇(てんのう)
それぞれの意味や使い方を例文を通して見ていきましょう。
瓊枝玉葉(けいしぎょくよう)
「瓊枝玉葉(けいしぎょくよう)」も、天皇や天子の一族、子孫に使われる言葉です。また、高貴な家の子弟を指すこともあります。
「瓊(けい)」は光り輝く玉のことで、「玉(ぎょく)」と同じく高貴さのたとえです。「瓊」や「玉」の枝葉、つまり高貴なものから生まれたものを意味するため、皇族や王族、高貴な家の人々を表します。
・彼の曾祖父はあの財閥の創立者だ。つまり、彼は瓊枝玉葉といっていいだろう
・彼女の優雅な話し方は、まるで瓊枝玉葉であるかのようだ
万世一系(ばんせいいっけい)
「万世(ばんせい)」とは、限りなく何代も続く永い世や永遠のことです。「万世一系(ばんせいいっけい)」は永久に同一の系統が続くこと、特に皇室を指して使われる言葉です。
・万世一系の由緒正しい家系だ
・我が国は万世一系の天皇を戴く国だ
一天万乗(いってんばんじょう)
「一天万乗(いってんばんじょう)」とは、天下を治める君主や天子のことを指す言葉です。「万乗(ばんじょう)」の「乗」とは車のことで、中国の周代、天子は直轄地から戦時に兵車1万台を徴発できたことから、「万乗」といえば天子を指すようになりました。
・この地は、かつて一天万乗の君が休息をとった場所といわれているよ
・一天万乗の君でも、悩んだり悲しんだりされることはあるのだろうか
なお、「一天(いってん)」は、空一面や全国、全世界の意味で使われることもあります。
・一天にわかにかき曇ってきた
・彼は一天を制覇した
万乗の君(ばんじょうのきみ)
「万乗の君(ばんじょうのきみ)」とは、一天万乗と同様、中国の周代に天子が戦時に兵車1万台を徴発できたことから天子を指す言葉です。
・権勢を誇った万乗の君だが、政治的な失脚から遠い島に流されたらしい
・彼女に対しては、まるで万乗の君であるかのように接している
天子(てんし)
「天子(てんし)」とは、天上界の人や天人の意味でも使われますが、天帝(てんてい)に代わって国を治める人や帝王、日本の天皇を指して使うこともあります。なお、天帝とは、古代中国の思想で、天地・万物を支配する神や造物主のことです。
・彼女に備わった威厳は、まるで天子の生まれ変わりのようだ
・ここは天子様がかつてお立ち寄りになったことがあるらしい
帝王(ていおう)
「帝王(ていおう)」とは、君主国の元首や天子、皇帝のことです。また、ある分野・社会で非常に大きな権力や支配力を持つ人を指して「帝王」と呼ぶこともあります。
・あの国の帝王は、国民から愛されていると評判だ
・感情を揺さぶる彼の演技は、演劇界の帝王の名にふさわしいものだった
帝王を使った言葉の中には、日常生活によく用いるものもあります。たとえば「帝王学(ていおうがく)」は、帝王として必要な態度・識見を身につけるための修養のことです。皇族や王族の修養を指すこともありますが、企業の後継者の修養を指すこともあります。
また、自然分娩が困難なときなどに選択される「帝王切開(ていおうせっかい)」も、日常生活に根付いた言葉といえます。カエサル(シーザー)が帝王切開で産まれたからという説や、「切る」という意味のラテン語「caesura」に由来するという説もあります。
天皇(てんのう)
「天皇(てんのう)」とは、日本国憲法で定められた日本国および日本国民統合の象徴のことです。その地位は国民の総意に基づくとされ、一定の国事行為を行います。国政に関する権能を持ちませんが、明治憲法では国の元首として統治権を持っていました。
てん‐のう【天皇】
出典:小学館 デジタル大辞泉
1 日本国憲法で定められた日本国および日本国民統合の象徴。その地位は国民の総意に基づくとされ、一定の国事行為だけを行い、国政に関する権能をもたない。皇位は世襲とされ、男系の男子によって継承される。明治憲法では、国の元首として統治権を総攬 (そうらん) する地位にあった。
2 その世界・分野で強大な権力をもつ人のこと。「財界の—」
3 皇帝・天子の尊称。
また、その世界・分野で強大な権力を持つ人のことを「天皇」と呼ぶこともあります。
・彼は財界の天皇だ
・ここでは彼女が天皇として君臨している
なお、同じ音の言葉として「天王(てんのう)」があります。仏教用語では欲界六天の最下天にいる四天王を指しますが、中国では天子の意味で使われるようです。
皇族や帝王の表現を覚えておこう
皇族や王族を指す表現は多数あります。多くの表現は「演劇界の帝王」や「財界の天皇」のように比喩的にも使うことがあるため、日常会話の中でも見聞きすることがあるかもしれません。
また、帝王や天子などの言葉はいずれも高貴な人を指す言葉ですが、尊大なニュアンスで使うこともあるため、状況によっては相手に対して失礼になってしまうことも。場所や状況を選んで使うようにしてください。
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