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2025.12.01

「出藍の誉れ」の意味と活用ポイント|「青は藍より出でて」との違いを整理

「出藍の誉れ(しゅつらんのほまれ)」とは、弟子が師よりすぐれていることを示す故事成語です。この記事では、「出藍の誉れ」の意味や由来、使い方、類語、「青は藍より出でて藍より青し」との関係、よくある疑問と回答を紹介します。

この記事のサマリー

・「出藍の誉れ」は弟子が師よりも優れていることを示す表現です。
・「青は藍より出でて藍より青し」が語源です。
・自分自身に使うのは不自然で、第三者が称える際に用います。

「出藍の誉れ」は、知的な響きを持つ故事成語の一つです。日常ではあまり見かけない言葉かもしれませんが、スピーチなどで使われることがよくあります。

本記事では、「出藍の誉れ」について辞書の記述に沿って意味・由来・使い方をわかりやすく整理します。

「出藍の誉れ」とは?

この章では、「出藍の誉れ」の正確な読み方と意味、由来を紹介します。

「出藍の誉れ」の読み方と意味

「出藍の誉れ」の読み方は、「しゅつらんのほまれ」です。

『デジタル大辞泉』では、次のように定義されています。

しゅつらん‐の‐ほまれ【出藍の誉れ】
弟子がその師よりもすぐれていること。→青は藍(あい)より出(い)でて藍より青し

引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「誉れ」とは、誇りに思えるような出来事や評価を指す言葉で、「出藍の誉れ」は、弟子が師よりすぐれていることを示す故事成語です。

「出藍の誉れ」の由来|『荀子』の原文と現代語訳

「出藍の誉れ」は、中国戦国時代の思想家・荀況(じゅんきょう)が著した『荀子(じゅんし)』の「勧学(かんがく)」に由来します。学問を積み重ねることで、人が大きく成長できることを説いた章の冒頭で、以下のような比喩が並べて語られています。

「学不可以已、青取之於藍、而青於藍、冰水為之而寒於水」

「青い染料は藍草から作られるが、その色は藍草よりもさらに青い」「氷は水からできるが、水よりも冷たい」という意味です。

いずれも「もととなるものよりも、そこから生まれたもののほうが優れている」という比喩であり、学問や教育によって、教え子が師を超えて成長することを表しています。

参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』、『故事俗信ことわざ大辞典』(すべて小学館)

(c) Adobe Stock

「出藍の誉れ」の使い方

「出藍の誉れ」という言葉を、実際にはどのような場面で使えばいいのでしょうか?

この章では、教育・ビジネス・スピーチなどでの使用例を想定し、自然な言い回しや誤用を避けるポイントを整理しました。

SNSや日常の会話でも引用しやすい例文を紹介します。

「出藍の誉れ」使い方のポイント

「出藍の誉れ」は、弟子や教え子が師を超えるほど成長したことを、指導者や第三者が称える際に使う言葉です。

弟子本人が自分のことを「私は出藍の誉れです」と語るのは、自画自賛と受け取られるおそれがあり、不自然な印象を与えるため避けるのが賢明です。

また、第三者がこの言葉を用いる場合も、指導者の功績や立場を軽んじるような印象を与えないよう注意が必要です。

この表現は、師と弟子の双方に敬意を込めて使うことが大切です。

例文

【ビジネスシーン】
「部下の成果が評価されたと聞き、出藍の誉れとはこのことだと感じました」

【教育現場】
「指導してきた生徒たちが、今では私以上に活躍しています。まさに出藍の誉れです」

【スピーチ・式辞】
「この受賞は、教えを受けた者がその教えを超えて成長した証。まさに出藍の誉れです」

会話例|自然なやり取りでニュアンスを理解

A:「この前まで新人だった彼が、今やプロジェクトリーダーです」
B:「すごいね、それは出藍の誉れってやつだね」

A:「ずっと教えてきた後輩が、ついに私の記録を更新しました」
B:「それは本当に嬉しいね。出藍の誉れって言葉がぴったり」

(c) Adobe Stock

「出藍の誉れ」の類語と、「青は藍より出でて藍より青し」

「出藍の誉れ」と意味の近さゆえに混同しがちな表現について、辞書の記述をもとに整理しましょう。

類語|「鳶が鷹を生む」

「鳶(とび)が鷹(たか)を生む」は、平凡な親からすぐれた子が生まれることのたとえです。

この言葉が親と子の血縁関係に焦点を当て、親が平凡であることを前提としているのに対し、「出藍の誉れ」は師匠と弟子の師弟関係に焦点を当てています。

「青は藍より出でて藍より青し」との関係

「出藍の誉れ」と「青は藍より出でて藍より青し」は類語で、ともに『荀子』に由来する故事成語です。

「出藍の誉れ」と同じく、「青は藍より出でて藍より青し」は、弟子が学びによって師を超えることを例えた比喩的な表現になります。

「氷は水より出でて水より寒し」も同じ意味を持ちますよ。

参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』、『故事俗信ことわざ大辞典』(すべて小学館)

(c) Adobe Stock

「出藍の誉れ」に関するFAQ

ここでは、「出藍の誉れ」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。

Q1 自分自身のことを「出藍の誉れ」と言っても問題ありませんか?

A. 本人が自称するのは不自然で、避けたほうがいいでしょう。

「出藍の誉れ」は、主に第三者または師側からの称賛として使われることが多いです。

Q2 「青は藍より出でて藍より青し」とは意味が違いますか?

A. どちらも『荀子』を由来とする言葉であり、同じ意味を持ちます。

Q3 NGな使い方はありますか?

A. ビジネスの場では、上司や育成者の顔を潰す印象を与えないよう、必ず師への敬意が伝わる使い方を心がけましょう。

最後に

「出藍の誉れ」は、学びや努力を重ねた弟子が師を超えて成長した姿を称える表現です。由来や意味を正しく理解しておけば、教育やビジネス、スピーチなどさまざまな場面で活用できます。知的な語彙として備えておきたい、現代にも通じる故事成語のひとつですね。

TOP画像/(c)Adobe Stock

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