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この記事のサマリー
・「既成概念」は、現在の社会で多くの人が当然とみなし、動かしにくい前提や見方を指します。
・「動かしがたい」といっても永続の意味ではなく、後から見直されることがあります。
・「固定観念」は個人の思考を拘束する考えのことです。
ビジネスシーンでは、「既成概念」という言葉をよく使いますよね。アイデアや意見などを出す際に、「既成概念にしばられることなく」「既成概念にとらわれず」のように用いることが多いかもしれません。
しかし、「既成概念」の正しい意味を把握している人はそれほど多くないかも? そこで、今一度、「既成概念」の意味や使い方を確認していきましょう。
「既成概念」とは?
まずは、「既成概念」の意味から確認しましょう。
意味をチェック
「既成概念」とは広く社会で共有され「動かしがたいもの」として扱われる性質や見方を意味します。
辞書では次のように説明していますよ。
きせい‐がいねん 【既成概念】
引用:『日本国語大辞典』(小学館)
解説・用例
〔名〕
事物に関して、すでにでき上がり動かしがたいものと一般的に考えられている性質。
*ニュース映画と新聞記事〔1933〕〈寺田寅彦〉「併しレンズとフィルムは物質であって何等の既成概念もなければ抽象能力もない」
*学生と教養〔1936〕〈鈴木利貞編〉教養としての社会科学〈蝋山政道〉六「政治学及び経済学においても、既存制度の解釈、既成概念の注釈、実証的資料の系統化に終始し」
「既成概念」は、時代とともに変化することがあります。例えば、かつては「育休は女性がとるもの」とされていましたが、今はそうではありません。「既成概念」は永続するものではないということを押さえておきたいですね。

「既成概念」の使い方
「既成概念」という言葉の使い方を見ていきましょう。まずは、使い方の特徴を紹介します。例文もあわせてチェックしてくださいね。
使い方の特徴
「既成概念」は、次のような使い方をすることが多いでしょう。
・既成概念にとらわれる(とらわれない)
・既成概念にしばられる(しばられない)
・既成概念に異を唱える
・既成概念を捨てる
・既成概念を壊す
ビジネスシーンで「既成概念」を使うのは、企画やアイデア出しの場面が多いかもしれませんね。
新たなことを生み出して価値提供するには、広く共有され前提として扱われている見方を見直す必要が出てくることもあります。それを伝える場合に、「既成概念にとらわれず」「既成概念を捨てて」というように使います。
例文
・既成概念にとらわれていると、新しいものは生み出せないよ。まずは常識を疑おう
・既成概念にしばられずに生きるのは、なかなか難しい
・チーム内の意見で多かったのは、既成概念に異を唱える必要があるということです
・「既成概念を捨てて考えろ」と言われたが、それができれば苦労しない
・彼女の作品の特徴は、既成概念を壊したいと思わせる要素が強いところです
上記の例文はいずれも「既成概念」を壊す、捨てるなどを意味しています。「既成概念」は、何かを生み出すような場面で使われる言葉だともいえるでしょう。

「固定概念」や「固定観念」との違い
「既成概念」と混同しやすいのが「固定概念」です。どちらも同じ意味だろうと思う人もいるでしょう。「既成概念」との違いについて見ていきましょう。
「固定概念」という言葉はない?
実は「固定概念」という言葉は、現時点で辞書に載っていません。「固定概念」は誤用とすることもあり、使う際は注意することをおすすめします。
「固定観念」が正しい?
「固定観念」とは、常に頭から離れず、その人の思考を拘束するような考えのこと。「固着観念(こちゃくかんねん)」ということもあります。
ちなみに「固定概念」は、「固定観念」の誤用であるとする説がありますよ。言葉の響きや漢字が似ているため、誤って覚えた「固定概念」が広まったのかもしれませんね。
「既成概念」と「固定観念」の違いも確認しましょう。2つの言葉の意味を比べてみると、「一般的なとらえ方や考え方」を表すのが「既成概念」であるのに対し、「固定観念」は「その人個人の主観による考え」を表すことがわかります。このことから、2つの言葉の意味は大きな違いがあるといえるでしょう。
「既成概念」の類語や言い換え表現は?
ここからは、「既成概念」と似た意味を持つ言葉を紹介します。言い換え表現として使える言葉もありますので、ぜひチェックしてください。
思い込み
「思い込み」は深く信じ込むことや、固く心に込めることを表す言葉です。「こうあるべきだ」「こうに違いない」「そう決まっている」というような、一定の考えや価値観にとらわれることを表す際に用いられることが多いでしょう。
「思い込みが強い」「思い込みで行動する」「思い込みが邪魔する」「思い込みを打ち破る」のように使われ、「既成概念」の言い換えに適しているといえます。
《例文》彼女は思い込みが強く、ブレることがない分、柔軟性に欠ける
先入観
前もって抱いている固定的な観念を表す「先入観」。先入観があると、自由な思考が妨げられることがあります。「先入観にとらわれる」「先入観を持つ」「先入観が邪魔する」「先入観を払拭する」のように使います。
《例文》先入観を持たずに人と接したいと常々考えているが、実際は難しい

偏見
かたよった見方や考え方を表すのが「偏見」です。ある集団や個人に対して、客観的な証拠がないのに抱く非好意的な先入観や判断を指すと考えてください。「偏見を持つ」「偏見にとらわれる」「偏見を払拭する」のように使います。
「既成概念」と同じ文脈で語られることもありますが、偏見は「非好意的な判断」の色合いが強い点で、意味が重なりきらない部分があります。
《例文》偏見を持つのは勝手だが、それを他人に押しつけるのはお門違いだ
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「既成概念」に関するFAQ
ここでは、「既成概念」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「既成概念」とは、簡単にいうと?
A. すでにでき上がり動かしがたいものだと一般的に考えられている性質のことです。
Q2. 「既成概念」の読み方は?
A. 「きせいがいねん」です。
Q3. 「既成概念」と「固定観念」はどう違う?
A. 「一般的なとらえ方や考え方」を表すのが「既成概念」であるのに対し、「固定観念」は「その人個人の主観による考え」を表します。
最後に
「既成概念」について意味や使い方、似た意味を持つ言葉などをまとめました。「固定概念」「固定観念」と混同されがちですが、意味は異なります。誤用すると相手を困惑させてしまうかもしれないので、使う際は注意したいですね。
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