皆さんは「起きて半畳、寝て一畳」という言葉を知っていますか? 馴染みのない言葉ではありますが、このことわざの意味を知ることで、今までの生き方や生活習慣を見直すきっかけになるかもしれません。本記事では、使い方や類語となることわざを解説します。
「起きて半畳、寝て一畳」の意味
「起きて半畳、寝て一畳」は、「おきてはんじょうねていちじょう」と読みます。意味を辞書で確認してみましょう。
人間が必要な広さは、起きている時が半畳で、寝ても一畳あれば足りる。贅沢(ぜいたく)は慎むべきであるという教え。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「起きて半畳、寝て一畳」は、「起きている時は半畳あれば足り、寝る時には一畳あればこと足りる」という意味。そこから転じて、必要以上の富やお金を望まないで、満足を知ることが大切だという教えとして用いられます。身の丈にあった暮らしや、質素な暮らしの良さに気づくことができれば、心が豊かになれるという解釈もできますね。
つづけて、「起きて半畳、寝て一畳、天下取っても二合半」ということもあります。
使い方を例文でチェック!
「起きて半畳、寝て一畳」を会話の中で使う場合、どのように表現したら良いのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。
1:「起きて半畳、寝て一畳」というのだから、人間あまり欲深くなるものではない。
「起きて半畳、寝て一畳」は、欲を出す人に対して、「必要以上に欲しがらないこと」を教え諭すような場面で使われます。清く正しく生きることの象徴のようなことわざですね。あまりに口うるさくいうと、説教臭くなるので気をつけたいところです…。
2:そんなに広い家に住んでどうするのだろう。「起きて半畳、寝て一畳」という言葉もあるのに。
「起きて半畳、寝て一畳」には、どんなにお金持ちであっても、人である以上、起きたら半畳、寝て一畳ほどのスペースがあれば充分だ、という意味も含まれています。どんなに広いお屋敷に住んでも、所詮寝るのに必要なスペースは貧乏と同じ、というようなやや皮肉めいた例文です。
3:歳をとってから、物欲がなくなり、「起きて半畳、寝て一畳」の生活が心地よく感じられるようになった。
若い頃は、洋服や時計、車などいろいろなものが欲しいと思っていたけれど、歳を重ねることで考えが変わることもありますよね。物への執着心がなくなり、生活するのに必要最低限のものさえあればいい、というシンプルな考えに落ち着いた、という人も多いのではないでしょうか? 「起きて半畳、寝て一畳」は、身の程をわきまえる大切さを教えてくれます。
類語や言い換え表現は?
「起きて半畳、寝て一畳」のように、贅沢を戒めることわざはいくつもあります。ここでは、「足るを知る者は富む」「千畳にも一畳」「足ることを知れば福人」などを紹介しますね。
1:足るを知る者は富む
「足るを知る者は富む」は、「欲を捨てて満足することができる者は、豊かである」という意味です。人は、1つものを得ると、次はこれが欲しいなどと願ってしまいがち。しかし、そのような欲望には限度がありません。「もっと欲しい」という欲を捨てて、今あるものに感謝できる人は、幸せだという教えが込められています。
(例文)
・「歳をとってからようやく、足るを知る者は富むという言葉の意味を理解することができた」と祖父は言った。
2:千畳にも一畳
「千畳にも一畳」は、「せんじょうにもいちじょう」と読みます。「千枚の畳を敷くほどの広い部屋であっても、起きたり寝たりするのには一枚の畳でこと足りる」という意味。転じて、欲深く多くのものを手に入れても、何の役にも立たないことのたとえとして用いられます。「千畳敷で寝ても畳一枚」とも言いますね。
(例文)
・大金を使って、多くのブランド品を手に入れたが、結局は千畳にも一畳であった。
3:足ることを知れば福人
「足ることを知れば福人」は、「たることをしればふくじん」と読みます。「自分の身に適したもので満足していれば、誰でも裕福な心を持てる」という意味です。自分の身の丈にあったもので満足できれば、その時から幸せになれるといった解釈ができるでしょう。ちなみに「福人」とは、「お金持ち」「裕福な人」のこと。
(例文)
・そんなに高級なものはいらないよ。足ることを知れば福人だ。
4:千石万石も米五合
「千石万石も米五合」は、「せんごくまんごくもこめごごう」と読みます。たとえ、千石も万石も俸禄を得ている人も、食べる米の量は普通の人と同じであるという意味。「どんなに豊かになっても、1日に食べる飯の量は変わらないよ」と、お金持ちを皮肉る時などに使われます。
(例文)
・千石万石も米五合とはいうけれども、やっぱり贅沢がしたい。
最後に
「起きて半畳、寝て一畳」は、必要以上の贅沢を戒めることわざであることがわかりましたね。忙しい日々を過ごしていると、ついストレスから必要のないものを買ってしまったり、情報に流されてより高価なものに手を伸ばしがちです。自分らしい生き方を見失っている時ほど、この言葉を聞くことで、初心に立ち返ることができるでしょう。
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