枝葉末節とは? 読み方も紹介
枝葉末節とは、中心から外れた事柄や、本質的でない取るに足りない事柄を指す言葉で「しようまっせつ」と読みます。
枝葉末節:中心から外れた事柄。本質的でない、取るに足りない事柄。
(小学館 デジタル大辞泉より)
枝や葉はそれぞれ重要な役割を果たしますが、1本の枝、1枚の葉がなくなったところで、木そのものには大きな影響を与えないとされます。
物事の本筋ではないことを枝や葉に例え、「重要ではない」あるいは「本質から外れている」と指摘するときに使う傾向にある四字熟語です。
枝葉末節の使い方を例文で紹介
枝葉末節は、次のように使うことがあります。
・枝葉末節にこだわる
・枝葉末節にすぎない
・枝葉末節にとらわれる
それぞれどのようなシチュエーションで使うのか、例文をとおして紹介します。
「枝葉末節にこだわる」
「枝葉末節にこだわる」とは、本筋から外れた事柄にこだわり、物事の本質を見失っていること。次のように使います。
・枝葉末節にこだわってばかりいても、論文自体の完成度は上がらないよ
・彼は枝葉末節にこだわる。ケチをつけたくて仕方がないようだ
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「枝葉末節にすぎない」
「枝葉末節にすぎない」とは、その事柄が本筋から外れていることを指摘する言葉です。たとえば、次のように使います。
・表紙のデザインにこだわっているようだが、それは枝葉末節にすぎない。大切なのは装丁ではなく、本の内容だ
・厳しい校則は教育においては枝葉末節にすぎない。教育の本質は、多様な考えを理解することにあると思う
「枝葉末節にとらわれる」
「枝葉末節にとらわれる」とは、本質から外れている事柄にばかりこだわり、物事の本質にたどり着いていないことを表現しています。例文は以下の通りです。
・先ほどから彼の言葉遣いにばかり気を取られているが、枝葉末節にとらわれているように見える。彼の話し方ではなく、話す内容に注目してみてはいかがだろうか
・君がリーダーにふさわしくないのは、普段から枝葉末節にばかりとらわれているからだ
枝葉末節と類似する表現
枝葉末節は日常会話でも使う表現ですが、四字熟語で少し固く感じるかもしれません。類似した表現を覚えておくと、親しい間柄での会話の際に使えて便利でしょう。
枝葉末節と類似した表現や言い換えに使える言葉としては、次のものが挙げられます。
・木を見て森を見ず
・瑣末(さまつ)
・些細(ささい)
・重箱の隅
それぞれの使い方について見ていきましょう。
木を見て森を見ず
「木を見て森を見ず」とは、小さいことに心を奪われて、全体を見通さないことをたとえた表現です。1本の木ばかりに注目すると、森全体を把握できません。全体を見るほうがよいと、暗に指摘するときにも使われます。
・木を見て森を見ずにならないように、プロジェクトの全体像を把握してから、各タスクを進めてください
「木を見て森を見ず」と類似する表現としては、少し長いですが、「明は以て秋毫の末を察するに足れども而も輿薪を見ず(めいはもってしゅんごうのすえをさっするにたれどもしかもよしんをみず)」が挙げられます。
中国の古典に記された言葉で、動物の毛の先まで見える優れた視力を持ちながらも、車に積んだ薪(たきぎ)の山が目に入らないことを意味します。
どんなに優れた視力があり、細かなものまで見えても、近くにある大きなものが見えていなくては役に立ちません。細部に木を取られて、大切な事柄を見失ってしまうときに使います。
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瑣末(さまつ)
「瑣末(さまつ)」とは、重要でない、小さなことであるさまを意味する言葉です。「些末」と書くこともあります。
・君は言った言わないにこだわっているが、そんなことは瑣末なことだ
・瑣末な事柄だと思っていたが、彼女が青くなってうろたえているのを見ると、どうやら大事(おおごと)のようだ
些細(ささい)
「些細(ささい)」も瑣末と同じく、あまり重要ではないさま、取るに足りないさまを意味する言葉です。「瑣細」と表記することもあります。
・部長が気分屋なのは、すでに皆が知っている。怒鳴られたとしても些細なことだ。気にするな
・あなたにとっては些細なことかもしれないが、わたしにとっては重要なことです
重箱の隅
重箱(じゅうばこ)とは、料理を積める蓋がついた箱型の容器のことです。二重や三重と重ね、おせちや行楽のようにイベントのときに用いられることが多いでしょう。
「重箱の隅(すみ)」とは、重箱の内側の角部分のこと。非常に細かなことをたとえて、「重箱の隅」と表現することがあります。
「重箱の隅をつつく」は慣用句的な表現で、非常に細かなことまで問題にして口うるさく言うことです。「重箱の隅を楊枝(ようじ)でほじくる」も同じ意味です。たとえば、次のように使うことがあります。
・彼女は重箱の隅をつつくような質問ばかりをしている。発表者を困らせたいとしか思えない
・彼の重箱の隅を楊枝でほじくるような性格が、今回は役立ちました
また、「重箱の隅は杓子(しゃくし)で払え」とは、些細なことは干渉したり詮索したりしないで多めに見るべきだという意味の表現です。相手が「重箱の隅をつつく」発言をしたときは、「重箱の隅は杓子で払え」と反論できる場合もあるでしょう。
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本筋と末節を見極めよう
物事には、本筋と末節があります。末節も重要ですが、末節にばかりこだわっていると、本当に重要な本筋を見失ってしまうかもしれません。枝葉末節にならないように、本筋と末節を見極めることが大切です。
また、特定の事柄だけに注目していると全体像が見えにくくなります。木を見て森を見ずの状態にならないように、細部に注目しつつも大局を見渡すようにしましょう。
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