人を優先して、つい自分を後回しにしていない?
「自分の仕事もあるのに頼まれると断れなくて、また帰りが遅くなってしまった」
「いつも子どもや夫を優先していて、自分の時間がなかなか取れない」
「希望を聞かれても遠慮してしまい、思っていることを言えない」
「自分の気持ちよりも相手の意向を汲んだけれど、報われていない感じがする」
「お願いしたら迷惑かなと思うと、頼めない」
こんなことを感じた経験、ありませんか?
『人を優先して自分を後回しにすること自体に問題があるわけではありません。人を優先できるのは、その人に対してやさしい思いを向けられるからこそで、素晴らしいことです。
ただ、人にやさしさを向けるがために自分が疲れてしまっては問題です。
もし、あなたが、「自分もそれでいいと思って始めたのに、なんだか気持ちがハッピーじゃない……」などのように感じて心が苦しいのなら、自分らしく人生を生きることができていないと言えるでしょう。』
ー-そう語るのは、心理カウンセラー・積田美也子さん。
そこで、積田さんの書籍『「つい自分を後回しにしてしまう」が変わる本』より、自分らしく人生を生きることができるようになる考え方のヒントをお届け!
※書籍では、「心の旅」と称し、7つのステップが紹介されていますが、本連載ではステップ4までの一部を掲載します。
ステップ4:自分を優先するために心を整える
抑えてきた感情を解放する
ステップ3では自分の価値を認めることを行いましたが、心の在り方が変わらなければ、いっとき自分を優先することができたとしても、いずれ罪悪感を持ってしまったり、「こんな私が……」と思ってしまったりして、元に戻ってしまいます。
ステップ4では、常に自分を優先することができるようになるための心の土台づくりを行っていきましょう。
最初に取り組んでいただきたいのが、「感情解放のワーク」です。
我慢して抑え込んできた感情が未消化のまま残っていると、気持ちを切り替えても、その影響を受け続けやすく、「自分を優先できるようになりたいと思っているのに、できない!」というループを繰り返してしまうことになります。
そうならないために、自分の中にある思いや感情にきちんと向き合い、受け止めてから消化する作業とワークを行います。
自分を後回しにしてしまう人は、人を優先しているからといって、自分の意見や考えがないわけではありません。
自分の正直な気持ちを抑圧する癖がついていて、何も感じていないかのように振る舞っているだけです。
たとえどんなに何も感じていないように振る舞っても、そのとき感じたことや、本当はこうしたいと思ったことが、心の中から消えてなくなるわけではありません。
押し殺した気持ちは、その都度、心に溜まっていきます。
自分が感じていること、思っていることをあなた自身が認めてあげないと、いつしか心は、過去の昇華しきれなかった思いで埋め尽くされた状態になり、新しいものの見方や新しい行動を試す余裕を持つことができず、今までと同じ行動パターンを繰り返すことになってしまいます。
押し殺してきた自分の思いや感情をきちんと解放し、新しい風を招き入れることのできるスペースをあなたの中につくりましょう。
モヤモヤを書き出して解放する
「感情解放のワーク」を行うときは、一人で行うことをおすすめしています。
自分一人で感情を解放できる方法としておすすめなのが、紙とペンを用意し、今の自分が感じている思いをどんどん書き出していくという方法。
シンプルですが、効果があります。
まず、自分が今、いちばん言いたいことがある人を思い浮かべます。
次に、その人に対して、いつも自分が心の中で思っていること、言いたいけれど、面と向かって本人には言えないこと、言いにくいことを思いつくままに書き出していきます。
よいことでも悪いことでも、どちらでもかまいません。思いついたことはどんどん書き出してください。
親との関係を思い出しながら、あるいは最近の親とのやりとりを思い出しながら、親に対して言いたかったことでもいいですし、職場の上司や同僚、後輩、友人などとの、なんだか気持ちがスッキリしないやりとりを思い出しながら、書き出すのでもよいでしょう。
昔のことでも、今のことでもOKです。
ポイントは、自分が我慢して相手に言えないままの思いを書き出すということ。自分の中でモヤモヤしている気持ちを、思いつくまま、言語化していくのです。
それらは言ってみれば、怒りや不満、悲しみ、寂しさといった感情であり、抑圧してきた思いです。
「あのとき、自分はこう思っていたんだ」
「本当はこうしてほしかった」
「なんで、あんなこと言ったの?」
などのように書き出していきましょう。
ただし、書き出すときに注意していただきたいのが、自分の中から出てきた言葉、内容について判断を一切しないということ。
書いている最中に「こんなこと書いていいのか」「こんなこと思うなんて、自分はひどい人間だ」「こんな感情を持っている自分は醜いし情けない」などのように、自分の中に溜まっていた感情をよくないものとか、汚いものなどと思ってしまうと、吐き出せなくなってしまいます。
また、そのような自分を責めることは、罪悪感を強めることにもなってしまいます。
自分の中に溜まっていたものを吐き出せば吐き出すほど、それらは昇華され消えていきますので、安心してどんどん書き出してください。
書き終わって、心がスッキリしていたら、解放が進んでいる証拠です。
どのような思い、感情が出てきてもOKです。
たとえば、喜びはよい感情だけど、怒りや嫉妬はよくない感情だと思いがちですが、実際にそうではありません。感情に、よいも悪いもないからです。
ただ、そのような意味づけを自分がしているだけなのです。怒りはよくない感情だと自分が思っていると、怒りを覚えたときに、その怒りを抑圧してしまいます。
自分を後回しにしてしまう人が、怒りを表すのが苦手なことが多いのも、その思い込みが原因です。
あえて溜まっているすべての思いを吐き出すために、そういう人こそ、ちょっと思い切って「あほ! バカ野郎!」など、強めの言葉を使うことで、解放の効果をより感じられます。
書き出すことは、安全に感情を解放できる方法なので、ぜひ試してみてくださいね!
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『「つい自分を後回しにしてしまう」が変わる本』(積田 美也子 著/あさ出版)
自分の意見が言えない… 相手が不機嫌になったらイヤだ… 私ばっかり損している気がする… これで丸く収まるなら… 自分のことをする時間がない…
あなたは、人を優先してつい自分を後回しにしていませんか?
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延べ3500人のクライアントの人生を変えた心理カウンセラーが、自分らしく人生を生きることができるようになる考え方とワークを7つのステップで紹介します。
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