フェーズとは、段階や曲面のこと
メディアなどでよく見聞きする「フェーズ」。特に、感染症に関するニュースでよく登場しています。しかし、フェーズとはどのような意味を持つのか、実はよくわかっていないという人も多いかもしれませんね。カタカナ表記の言葉は、意味があいまいになりがちですから…。
フェーズは、ビジネスシーンでもよく登場しますので、意味や使い方を知っておくと便利です。まずは、意味とフェーズを使うシーンについて、見ていきましょう。
フェーズとは? 辞書で意味を確認
▷フェーズ【phase】読み方:ふぇーず《「フェイズ」とも》
1:段階。局面。
2:相。位相。
《デジタル大辞典》(C)Shogakukan Inc.より引用
フェーズにはいろいろな意味がありますが、日常的に使われているのは「段階」や「局面」でしょう。物事の区切りを表現する言葉として、ビジネスシーンでもよく登場しています。
フェーズとは、どんなシーンで使われている?
メディアなどでフェーズという言葉が頻繁に登場するのは、感染症に関する報道でしょう。医療機関が必要な病床を確保するための指標を表す言葉として、よく使われていましたよね。
ビジネスシーンにおいても、フェーズはよく使われています。何かしらのプロジェクトや事業の段階を表す際に、数字と組み合わせて「フェーズ1」や「第2フェーズ」と表現したり、「次のフェーズ」というように使われたりすることが多いでしょう。
フェーズ:使い方を例文で紹介
フェーズの具体的な使い方を見ていきましょう。意味別に例文とあわせて紹介します。
「段階」の意味で使う場合
何かしらの事業やプロジェクトで段階を表す際は、次のようにフェーズを使います。
《例文》
・「該当プロジェクトの第2フェーズは、SNS運用をメインに進める予定だ」
・「フェーズ4が完了した時点で、情報公開の具体案を検討したい」
・「フェーズごとに区切り、推進リーダーを任命した」
ビジネスシーンにおいては、例文のように、数字と組み合わせて複数ある段階を表すのが一般的。事業やプロジェクトの進捗管理でよく使われています。
また、規制や臨床試験などでも、同様の意味合いでフェーズが使われています。
「局面」の意味で使う場合
事象や物事が新しい局面に移った場合にも、フェーズが使われています。
《例文》
・「感染者数から見て、次のフェーズに入ったことが予想される」
・「メイン商品が大ヒットし、自社の事業は次のフェーズに入った」
・「大きな失敗を経験したことで、今のフェーズにたどり着いた」
最近よく見聞きする「フェーズフリー」も、局面という意味合いで使われています。フェーズフリーとは、社会のフェーズ(局面)に関わらず、利用することができる物やサービスを指す言葉。たとえば、災害発生時も役に立つ日用品、災害時に避難場所として使うことを想定した公園などは、フェーズフリーに該当します。
フェーズフリーは、主に災害対策などで使われており、行政や企業などではよく知られています。
「位相」の意味で使う場合
フェーズの意味にある「位相(いそう)」ですが、この言葉自体をあまり知らないという人も多いでしょう。位相とは、次のような意味を持ちます。
▷【位相】読み方:いそう
1:解析学で、極限や連続の概念を定義できるように、抽象空間(集合)に与えられる適当な構造(部分集合)。トポロジー。
2:物理学で、振動や波動などの周期運動の過程でどの点にあるかを示す変数。正弦関数で表すときの角度に相当する部分の量。
3:地域・性別・年齢・職業・階層や、書く場合と話す場合などによって、言葉の違いが起こる現象。
《デジタル大辞典》(C)Shogakukan Inc.より引用
上記にもあるように、位相は数学や物理学で使われている学術用語です。日常生活やビジネスシーンで使われることは稀と言えるでしょう。
フェーズと似た言葉、意味や違いを紹介
フェーズと似たようなイメージのある言葉を紹介します。意味や違いを知っておくと、適切に使えるはずです。参考にしてくださいね。
1:「ステージ」
「ステージ」とは、舞台やショー以外に、「段階」や「過程」という意味を持ちます。段階を表す場合は、フェーズと同様の意味があると考えていいでしょう。
ただし、シーンによっては、この2つの言葉を使い分けることがあります。最近だと、感染症対策において、ステージとフェーズの明確な使い分けがされていました。
ステージ:感染状況に応じて、必要な対策を行うための目安
フェーズ:感染状況により、必要な病床を確保するための医療機関向け指標。ステージとは別物。
状況によっては、このようなケースが生じることを覚えておいてくださいね。
参照:
厚生労働省|新型コロナウイルス感染症対策に係る各医療機関内の病床の確保状況・使用率等の報告
長崎新聞|新型コロナ「ステージ」「フェーズ」二つの違いは?
2:「ステップ」
「ステップ」には、足運びや踏み台、足場などさまざまな意味がありますが、「目標に近づくための段階」という意味では、フェーズと同様の意味を持ちます。
だたし、ビジネスシーンにおいては、一つひとつの段階を進んで行くという意味合いで使われることが多く、手順を紹介するマニュアルなどは、ステップを使う方がわかりやすいでしょう。
3:「ターム」
「ターム」も、数字と組み合わせて使うことが多い言葉です。「第2ターム」「次のターム」のように使うことが多いですが、タームは「期間」や「期限」「学期」を表します。使い方としては、フェーズとほぼ同じと考えていいでしょう。
4:「プロセス」
「経過」や「成り行き」の意味を持つ「プロセス」は、ビジネスシーンや日常でもよく使いますよね。ビジネスシーンにおいては、「過程」「手順」を表す言葉として使われることが多く、フェーズと似ているように感じますが、少しニュアンスが異なります。
プロセスは、物事を段階で区切るというよりも、過程や流れそのものを表します。そのため、1つのフェーズの中に、複数のプロセスが含まれると考える方が適切です。2つの言葉の意味は混同しやすいので、注意してくださいね。
カタカナ表記の言葉は、意味があいまいになりがち
フェーズやプロセスなど、カタカナ表記の言葉は、その意味や使い方をあいまいにしか知らないという人もいるかもしれません。しかし、意味の捉え違いなどがあると、相手に正しく伝わらず、場合によっては、トラブルに発展するということも。
よく知らない言葉や、あいまいにしか使い方を知らない言葉と出会ったら、その都度調べて、適切に使えるようにしておきたいですね。
最後に
「フェーズ」にはさまざまな意味がありますが、「段階」や「局面」という意味で使われることがほとんどです。特にビジネスシーンやメディアなどでよく登場しますので、意味や使い方を正しく知り、適切に使えるようにしたいですね。
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