この記事のサマリー
・クリアランスは、除去・一掃、すきま・間隔、通関に関する手続きや許可、医療上の指標などを表す多義語です。
・販売では在庫整理の意味で使われ、クリアランスセールは処分色の強いセールです。
・建築や車では、物と物の間に確保するすきまや余裕を表す言葉として使われています。
クリアランスという言葉をどこかで聞いたことはありませんか? アパレルショップやインテリアショップなどで、季節の変わり目などに「クリアランスセール」が開かれることがあるので、耳にしたことのある人もいらっしゃるかもしれませんね。
クリアランスは「クリアランスセール」だけでなく、さまざまな業界で使われる用語です。本記事では、クリアランスの業界別の意味を紹介します。
「クリアランス」とは?
まずは、意味から確認していきましょう。
「クリアランス」の意味
「クリアランス」とは、「片付けること」「間隔や空間」「通関の手続き」「腎臓が血液中に含まれる老廃物を尿中に排出する動き」などの意味があります。
先にも述べたように、「クリアランスセール」がなじみ深い言葉として挙げられますが、建築の分野や自動車業界、医療分野や税関などさまざまな分野で用いられる多義語です。
英語では「clearance」
クリアランスはもともと英語で「clearance」と表記します。英語での意味を箇条書きで下記にまとめてみました。
・きれいに片付けること、除去、一掃、撤去
・在庫一掃セール
・サッカーで自陣ゴールから大きく蹴りだすこと
・開拓地、開墾
・空地、間隔、隙間などのゆとり
・許可、公的な承認
・通関手続き、出入港・出発に関する許可や手続き
・航空管制における、航空機の離着陸、進入、移動などに関する許可
・機密情報を取り扱うための適格性確認・許可
・清算、決済
・体内から特定の物質を除去する能力を表す医学・薬学上の指標
このように、英語でも多数の意味合いが含まれています。

業界別「クリアランス」の意味を紹介
続いては、クリアランスの業界別の意味について見ていきましょう。業界によって意味が変わってくるので、注意が必要です。
販売
「クリアランスセール(clearance sale)」は、在庫を減らしたり売り場を入れ替えたりする目的で行われるセールです。ここでの「clearance」には、商品を一掃する、在庫を整理するという意味合いがあります。日本語では、在庫一掃セール、在庫処分セール、売り尽くしセールなどと表現されます。
季節商品の入れ替え時期、売り場の改装前、在庫を整理したい時期などに行われることがあります。商品が入れ替わるタイミングに、季節外れの在庫品の一掃や整理のため、クリアランスセールとして売り出されます。
建築・製造
クリアランスは、建築の分野でも使われます。建築や製造におけるクリアランスは、部材や機器が干渉しないように確保するすきまを指します。施工や組立ての誤差、熱による伸縮、振動などを考慮して設けられる場合があります。
文脈によっては「すきま」「余裕」「逃げ」などと表現されることがあります。ただし、「遊び」は、機械部品の可動部分に意図的に設ける余裕を指すなど、クリアランスと完全には同義でない場合があります。
「クリアランスをとる」、「クリアランスがない」などというように表現しますよ。
税関
通関に関する文脈では、「customs clearance」が、輸出入貨物について税関の許可を受けるための手続き、または通関が完了した状態を指します。
船舶や航空機については、出港・出発・運航などに必要な許可や手続きを「clearance」と表すことがありますよ。

医療
医療におけるクリアランスとは、「肝臓または腎臓が1分間にある物質を完全に取り除くことができる血液量」のこと。日本語でも「クリアランス」のまま用いられることが一般的です。文脈によって「浄化率」などと説明されることもありますが、一定した日本語訳が広く定着しているわけではありません。
腎機能の評価では、クレアチニンクリアランスなどの腎クリアランスが用いられます。一方で、薬学や薬物動態の分野では、腎臓に限らない全身クリアランスや肝クリアランスなども用いられます。
このクリアランス値を測定することによって、腎臓の排泄機能をある程度、総合的に把握できるようになりますよ。
制度
「セキュリティー・クリアランス」という言葉を知っていますか? セキュリティー・クリアランスとは、機密情報へのアクセスを認めるにあたり、その人に必要な適格性があるかを確認し、必要に応じてアクセスを許可する仕組みを指します。
日本では、行政機関が保有する特定秘密を取り扱う者について、適性評価が行われる仕組みがありますよ。また、重要経済安保情報を扱う者に関しても、適性評価を含む制度が設けられています。
クリアランスの使い方を例文で紹介
最後に、クリアランスの使い方について、3つの具体的な例文にして紹介します。
「たまたま見つけた雑貨屋でクリアランスセールが開催されており、掘り出し物のワンピースを買うことができた!」
最もなじみ深い表現の一つが「クリアランスセール」です。クリアランスセールは「開催する」「行われる」などとセットで使われます。
「ヘッドクリアランスが広かったから、長いドライブも快適に過ごせた」
「ヘッドクリアランス」とは、自動車の座席に正しい姿勢で座った際の、乗員の頭部と天井との間の空間を指します。ヘッドクリアランスは、車両の全高だけでなく、床面の高さ、シートの位置、天井の形状などによって決まりますよ。頭上空間に余裕があると、乗員によっては圧迫感を抑えやすくなります。
車に関連した用語で「ロードクリアランス」という言葉もあります。これは、車輪を除く車の最も低い部分と、路面との間隔のことを指しますよ。

「クレアチニンクリアランスを測定したところ、医師から大きな問題はないと説明を受け、ほっとした」
医療におけるクリアランスを使った例文です。クレアチニンクリアランスは、血液中のクレアチニンが腎臓からどの程度排出されているかをもとに、主に糸球体ろ過機能を評価する指標です。血液と尿の検査値、尿量、採尿時間などを用いて算出されます。
「クリアランス」に関するFAQ
ここでは、「クリアランス」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q. クリアランスとは、ひとことで言うとどんな意味ですか?
A. 片付けること、すきまやゆとり、通関や出入港の手続き、医療での指標など、分野ごとに意味が変わる言葉です。
Q. クリアランスセールは、普通のセールと何が違うのですか?
A. クリアランスセールは、在庫整理や売り場の入れ替えを目的にした、処分色の強いセールを指すことが多い表現です。
Q. 建築や車で使うクリアランスとは、何を表していますか?
A. 建築や製造では、部材や設備の間に設けるすきまを表します。自動車では、頭上空間や車体下部と路面との間隔などを指します。なお、これらのすべてが直接的に「干渉を防ぐため」の空間とは限らず、乗員の居住性や走行条件への対応を目的とする場合もあります。
最後に
本記事では、クリアランスの業界別の意味や使い方について紹介しました。販売、建築・製造、通関、医療など、幅広い分野で異なる意味を持つ言葉であることが分かりました。それぞれの意味を頭の片隅に置いておくと、役に立つ場面が出てくるかもしれませんね。
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武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
ライター所属:京都メディアライン



