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「ご武運を」という言葉を聞いたことはありますか? 戦や戦争など、歴史物のドラマや映画で耳にすることが多いセリフですが、最近では『キングダム』や『鬼滅の刃』など、人気漫画やアニメでも登場し、若い人や子どもたちもよく知る言葉となりました。
「ご武運を」とは?
アニメを見ていた子どもたちから「“ご武運を”ってどういう意味?」 と聞かれたら、とっさに答えられますか? 改めて考えたことがなかった方も多いのでは。まず初めに、「ご武運を」という言葉の意味から確認しましょう。
意味
「ご武運を」とは、もともと、戦や戦争に出陣する人に対して「勝ってください」「生きて帰ってきてください」という意味で使われていました。そこから、現代では、大きなプロジェクトや商談、試験の前に「頑張ってください」「成功を祈っています」という意味で使われることも。
使う際の注意点
現代でも使われているとは言え、あまり日常生活やビジネスシーンで頻繁に耳にするセリフではありませんよね。使う時には、どのような点に注意する必要があるのでしょうか? 確認しておきましょう。
読み方に注意
まず、読み方ですが「武運」は「ぶうん」と読みます。「むうん」や「たけうん」ではありません。「武運」には「戦いの勝ち負けの運命」や「武士・軍人としての運命」という意味があります。お金の運命を金運、仕事の運命を仕事運などと言ったりするのと同様ですね。
TPOは適切か?
そもそも戦や戦争に出陣する人に対して贈った言葉ということもあり、「ご武運を」は命の危険や死を連想させてしまうこともあるかもしれません。しかし、現代では武器を持った身体的な「戦い」は身近なものではなくなり、「戦い」と言えば、もっぱら議論の場ではないでしょうか?
前述したように、現代では、仕事で大きなプロジェクトや商談、受験などの試験に臨む時にも、「ご武運を」という言葉を使うことが可能です。しかし、ビジネスシーンや日常生活で使う時は、相手との関係性やその場の状況など、「ご武運を」という言葉を使うことが適切か、一度考えてから使うように心がけましょう。
返事の仕方は?
「ご武運を」を言われた場合、どのように返事をするのが適切なのでしょうか? 堅い表現で返すのであれば、「恐悦至極に存じます」という言葉があります。「きょうえつしごくにぞんじます」と読み、意味は、目上の人などに関して、かしこまりつつもこの上なく喜ぶこと。
しかし、「頑張ってください」「成功を祈っています」というニュアンスで「ご武運を」という言葉を贈られたのであれば、素直に「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えれば十分です。相手も、自分と同じタイミングで勝負事を控えている場合は、同じように「ご武運を」と返してもいいでしょう。
使い方を例文でチェック!
「ご武運を」を使った言い方には、他にどのようなものがあるのでしょうか? いくつか紹介します。
1:「ご武運を祈ります」
「ご武運を」は、後ろに「祈ります」という言葉をつなげることができます。より丁寧に言いたい時は「お祈り申し上げます」とすると、なおいいですね。
2:「ご武運を願います」
「祈ります」だけではなく「願います」と続けることもできます。「祈ります」と同様、「お願い申し上げます」とすれば、さらに丁寧。
3:「どうか、ご武運を」
「ご武運を」の前に「どうか」とつけることもできます。より強く気持ちが伝わりそうですね。
類語や言い換え表現は?
「ご武運を」という言葉を、他の言葉で言い換えることはできるのでしょうか? この機会に、様々な表現を確認しておきましょう!
1:「ご健闘をお祈りします」
「健闘」とは、困難に屈せずに頑張って闘うことです。「ご武運を」よりも、勝利という結果にこだわらず、いい闘いができるよう過程に重点を置いている印象があります。
2:「武運長久をお祈りします」
「武運」という言葉はそのままに、「武運長久をお祈りします」という言い方もあります。「長久」とは、長く続くことで、永久や永遠と同義です。平安時代の元号になっていたことも。「武運長久をお祈りします」と言えば、武運が長く続くことを、つまり、「戦いの中で幸運が長く続きますように」という願いが込められています。
逆の意味は?
「ご武運を」と逆の意味を持つ言葉は「武運拙く」。「武運拙く敗れ去る」「武運拙くして戦に負ける」「武運拙く戦にたおれる」のように使います。スポーツで負けた時に使うことも可能。ただし、縁起のいい言葉ではないので、「ご武運を」のように挨拶的には使いません。
英語表現は?
「ご武運を」というと、古風な日本語というイメージがありますよね。「武運」という漢字も堅いですし、歴史的なドラマや映画でよく聞くセリフという印象も。しかし、もちろん同じような意味を持つ英語があります。最後に、「ご武運を」の英語表現も確認しておきましょう。
1:good luck
「グッドラック」とカタカナ英語にもなっており、誰でも一度は耳にしたことがある身近な英語ですね。使う時は「Good luck!」とシンプルに。「I wish you good luck.」とも言えますよ。
2:I wish you the best.
「the best」を使って表現することもできますよ。相手がベストを尽くせるよう願い、「成功を祈っています」「いい結果が残せますように」と表しています。
『キングダム』や『鬼滅の刃』でも使われた?
漫画を原作とした人気アニメ、『キングダム』と『鬼滅の刃』。この2作品で、物語の中の登場人物が「ご武運を」というセリフを言ったことで、最近若者や子どもたちにも「ご武運を」という古風な言葉が知られるようになったとか。どんなシーンで使われているか、気になる方は作品をチェックしてみてくださいね。
最後に
「ご武運を」という言葉について意味や使い方、言い換えや英語表現を解説。古風で堅いイメージもあり、使う時は注意が必要な場面もありますが、人気アニメや漫画でも使われる「かっこいい」セリフでした。
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