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2023.03.09

「三十六計逃げるに如かず」の意味とは? 兵法三十六計もわかりやすく解説

「三十六計逃げるに如かず」とは身に危険がせまり、不利な形勢に陥った時はとにかく逃げるのが一番であるという意味です。一度は耳にしたことのあることわざなのではないでしょうか。中国の歴史が由来となったのだとか。本記事では意味や由来、類語などを解説していきます。

三十六計逃げるに如かずの意味は?

「三十六計逃げるに如かず」は「さんじゅうろっけいにげるにしかず」と読みます。まずは意味から確認していきましょう。

走っている足
(c)Shutterstock.com

「三十六計逃げるに如かず」ということわざを聞いたことがありますか? 相手に到底敵わないと思った時や困った時は、あれこれ考えるよりも逃げることが一番の得策だという意味です。一見、無責任なことわざのように思う人もいるかもしれません。しかし、この言葉はあくまでも、不利な形勢になった際には自分の身の安全を最優先するべきだということを教示したもの。

つまり機会を見て身を引き、後日再び行動を起こせば良いという意味なのです。同じ意味で「三十六計逃げるが勝ち」「三十六計逃げるに手無し」「三十六計も走るが一の手」などと言い換えることもできますよ。ところで、この「三十六計」は何のことなのか疑問に思ったことはありませんか? 何かを表す数字なのでしょうか…。

実はこれ『兵法三十六計』という兵法書のことを指しているのです。ここからは、この兵法書について詳しく見ていきましょう。

『兵法三十六計』について解説!

『兵法三十六計』とは一体どのようなものなのでしょうか。わかりやすく解説していきますね。

本を積み上げる
(c)Shutterstock.com

『兵法三十六計』は中国の兵法書で、魏晋南北朝時代に壇道済(たんどうせい)という武将によって書かれたものだと言われています。戦いに勝つための戦術や戦略が6系統・36種類記載されているのだとか。その6系統とは、勝戦計、敵戦計、攻戦計、混戦計、併戦計、敗戦計というように戦いの形勢によって分類されています。かなり周到に準備された兵法書ですね。

6系統のうちの敗戦計には「走為上(走るを上とする)」という項目があります。つまり、自チームが劣勢になったのであれば、逃げることでリスクを避けるというのも一つの戦略として記載されているのです。日本ではあまり親しみのない『兵法三十六計』ですが、現代の中国では人気が高い書物で、ビジネスだけでなく日常生活においても参考にしている人が多いのだそう。

三十六計逃げるに如かずの原文や語源を紹介

さて、『兵法三十六計』について解説しましたが、実は「三十六計逃げるに如かず」の語源は他にあるのです! 由来について、原文も合わせて紹介していきますね。

クエスチョンマークがいっぱい
(c)Shutterstock.com

「三十六計逃げるに如かず」の本当の由来は、中国の斉について書かれた歴史書である『南斉書』の「王敬則伝」からきています。中国南北朝時代に、南朝の王敬則(おうけいそく)が斉王父子に攻め入ったものの、斉王父子は遁走したのだそう。そのうわさを聞いた王敬則は、壇道済が唱えた36策のうち「走為上」を引用して斉王父子を嘲ったのです。その結果「王敬則伝」に残されたのが「敬則曰、『檀公三十六策、走是上計』」という一文であり、これが「三十六計逃げるに如かず」の原文となります。

この原文が意味するのは、「壇道済の書いた兵法書にはいくつもの戦略が記載されているが、その中でも走って逃げることが一番の得策である」ということ。もとは、敵を前にして逃げることは卑怯だと考えられていました。しかし次第にこれが転じて、身の安全を考え逃げることが善作として考えられるようになったのです。日本の戦国時代にもこの考え方が取り入れられていたのだそう。

状況が悪い時には無理をせず、後日改めて再挙をはかることが賢明な判断だと捉えられるようになったのですね。現代においても、ビジネスや日常生活のどちらにも示唆するメッセージなのではないでしょうか。

類語にはどんなものがある?

不利な場合や、困った時は逃げることが得策だという意味をもつ「三十六計逃げるに如かず」。では、このことわざの類語表現にはどのようなものがあるのでしょうか。以下では例文とともに類語表現を紹介していきます。

1:逃ぐるが一の手

「逃ぐるが奥の手」とも言います。意味は、戦術や作戦は色々あるけれど困った時はとりあえず逃げて、身の安全を確保することが一番だということ。現代では面倒なことを避けるという意味で使われることも多いでしょう。「不機嫌な上司への対応ほど厄介なものはない。こんな時はひとまず、逃ぐるが一の手ということで他の人に任せよう」というような例文が挙げられます。

2:君子危うきに近寄らず

君子とは、人格や学力が優れている人、または高位な立場の人を指します。つまり「賢人は身をつつしみ、自らリスクを冒すようなことはしない」という意味のことわざ。自分にとって不都合なことや苦手なことを敬遠したい時に、冗談混じりに言い訳として使われるケースも多いようです。例文として「君子危うきに近寄らずというように、彼はいつも中立な立場をキープしている」などが挙げられるでしょう。

3:負けるが勝ち

「負けるが勝ち」とは、「無意味な争いは避け、その場の勝利を相手に譲る方が賢明だ」という意味です。その場の感情や体面にこだわらず、将来を見据えることが大切であり、それが最終的な勝利につながるということですね。「永遠と言い合いするよりも、早めに切り上げて他のことに時間をあてる方が良いだろう。負けるが勝ちだよ」というように使うことができるでしょう。

最後に

今回は「三十六計逃げるに如かず」の意味や語源、類語表現について解説してみました。皆さんはビジネスや日常生活において、責任を背負いすぎてはいませんか? 逃げることや他の人に任せることは決して卑怯なことではありません。無理をせず周りを頼りながら進んでいきましょう。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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