目次Contents
この記事のサマリー
・「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」とは、特定の人物を憎むあまり、その人に関わる全てが憎くなる心理を指すことわざです。
・相手への強い嫌悪が周囲にまで連鎖する、非理性的な状態を表現する際に使います。
・対義語には「あばたもえくぼ」や「恋は盲目」があり、愛着が欠点さえ魅力に変える正反対の心理を表します。
「あの人の話し方がどうしても鼻につく」「持っている小物のブランドまで嫌いになりそう…」そんな、一度抱いた嫌悪感が周囲にまで広がってしまう心理を、私たちは古くからある言葉で表現してきました。
それが「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」です。
本記事では、この言葉の正確な意味や使い方、さらには知性をアップデートする類語や英語表現まで、深く掘り下げて紹介します。
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の意味や語源は?
特定の相手に対する嫌悪感が、関係のない持ち物や環境にまで広がってしまう様子を指す、この言葉。まずは、意味から確認していきましょう。
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の意味
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」は、「ぼうずにくけりゃけさまでにくい」と読みます。文字通り「その人を憎むあまり、その人に関係のあるものすべてが憎くなること」をたとえています。
辞書では次のように説明されていますよ。
坊主(ぼうず)憎(にく)けりゃ袈裟(けさ)まで憎(にく)い
その人を憎むあまり、その人に関係のあるものすべてが憎くなるというたとえ。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「相手が嫌い」という一時的な感情にとどまらず、「いったん嫌いになると、それに関わるすべての物事まで嫌になる」という、徹底した拒絶の心理状態を表しているのが特徴です。
自分の心が、特定の対象を超えて周囲のものまでネガティブに捉えてしまう現象を、この言葉は見事に言い当てています。
「袈裟」とは?
「袈裟」とは、僧侶が左肩から斜めに掛ける法衣のことです。
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」は、僧侶の象徴である「袈裟」までもが憎くなるほど、感情が深く揺れるさまを表した表現です。
この言葉の歴史は非常に古く、1638年の俳諧『毛吹草』には「ぼうずがにくければけさまでにくし」という記述が見られます。
また、江戸時代の浄瑠璃『北条時頼記』(1726年)などにも登場しており、数百年前の人々も、私たちと同じように「感情の連鎖」に頭を悩ませていたことがわかります。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)

「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の使い方を例文でチェック
この言葉を社会人としてスマートに使いこなすための、具体的で共感できるシーンを紹介します。
日常生活や職場で使える具体例
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」は、感情がコントロールできず、嫌悪の対象が拡大してしまった際によく使われます。
例文:
・「課長の厳しすぎる指導が苦手で、最近では課長が愛用しているコーヒーカップを見ただけで動悸がする。まさに坊主憎けりゃ袈裟まで憎いだ」
・「一度あのブランドの接客で嫌な思いをしてから、街でそのロゴを見かけるだけで不愉快になる。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとはこのことね」
このように、自分の心の揺れを冷静に、少し客観視して表現する際に用いるのがスマートです。
省略形や論説での引用パターン
このことわざは、会話の流れに応じて「坊主憎けりゃ」や「袈裟まで憎い」と、どちらかを省略して使われることもあります。
例文:
・「上司の言い方が気に入らないからって、業務連絡まで聞き流すのはよくないよ。坊主憎けりゃ… になってない?」
・「一件のミスで部署全体が低く評価されるのは、袈裟まで憎いになってしまっている気がする」
また、ビジネスや批評の場では、ある一部分の欠点ゆえに全体が不当に評価されないよう警鐘を鳴らす意味で使われることもあります。
例えば、以下のような具合です。
・「担当者の印象が悪かったからといって、サービス全体まで酷評するのは、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いになりかねない」
・「一部の失言だけを切り取って、その人の実績まで否定するのは、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いというものだ」
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)

対義語や類義語、英語表現も知りたい!
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」をより深く、立体的に理解するために、関連する言葉についても知識を深めましょう。
感情の反転を説く「対義語」
憎しみの連鎖とは正反対の、愛情がもたらす心の動きを表す言葉を紹介します。
あばたもえくぼ(痘痕も靨)
恋をすれば、相手の欠点である「あばた」さえも、魅力的な「えくぼ」に見えてしまう。まさに「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の正反対にある、愛情による盲目的な心理状態を指します。
恋は盲目
恋に落ちると、理性や常識を失わせてしまうことを表しています。「恋は闇」ともいいますよ。英語では“ Love is blind. ”です。

共感を呼ぶ「類義語」と「英語表現」
憎しみの連鎖という普遍的な心理は、身近な言葉や海外のフレーズにも息づいています。
親が憎ければ子まで憎い
親への憎悪が、罪のない子供にまで及んでしまうことを表しています。
私たちの心が、いかに対象の「周辺」にまで影響されやすいかを、より直接的で生々しい表現で戒めているかのようですね。
Love me, love my dog.
「私を愛するなら、私の犬も愛しなさい」という意味のことわざです。文化圏が異なっても、人間が抱く「感情の飛び火」という現象は共通であることがわかります。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)、『デジタル大辞泉』(小学館)、『小学館ランダムハウス英和大辞典』(小学館)
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」に関するFAQ
ここでは、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」に関するよくある疑問と回答をまとめました。 参考にしてください。
Q1:「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の意味は?
A1: 「その人を憎むあまり、その人に関係のあるものすべてが憎くなること」をたとえています。
Q2:「袈裟」以外のバリエーションはありますか?
A2: 似た心理を表す言葉に「親が憎ければ子まで憎い」があります。
Q3:英語で表現したい場合はどう言えばいい?
A3:“Love me, love my dog.”があります。
最後に
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という言葉をきっかけに、日々のコミュニケーションの中で生まれる感情の連鎖をスマートにコントロールしてみませんか。洗練された言葉選びは、あなたの社会人としての信頼をより一層高めてくれるはずです。
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