昨今は、LINEやチャットツールで季節のご挨拶を済ませることも多くなりましたね。しかしだからこそ、正しい時候の挨拶を用い、今年お世話になった人に手紙を書いてみるのも良いかも。交友関係が深まったり、自分の違う能力が開花するなど、新しい自分に出会える可能性があります。
この記事では、ビジネスにもカジュアルにも使える、12月の挨拶のポイントや例文を紹介します。
時候の挨拶とは
時候の挨拶とは、手紙の始めに書き出す季節を表現する言葉で、季節感を表します。例えば、拝啓などの頭語の後ろに書く、「初冬の候」や「年の瀬の、寒さの身にしみる季節となりました」といった文章のこと。
季節ごとに、相手の様子や健康に心配りをする意味合いがあり、手紙では大切な表現です。時候の挨拶に使う言葉は、二十四節気(にじゅうしせっき)を基準に使い分けることが多いよう。二十四節気とは、太陽の動きをもとにして、1年を24等分して季節を表したものです。
今回は、12月の挨拶で使う言葉を、ビジネスとカジュアルな場面に分けて、紹介しましょう。
ビジネスで使える12月の挨拶のポイント
取引先や、あらたまった場合に出す手紙や文書などは、漢語調の表現を使うといいでしょう。また、漢語調は目上の方に向けた手紙にも適しています。ビジネスシーンでは「○○の候」を用いるのが無難です。
「○○の候」は、「○○の折」「○○のみぎり」に換えても使えます。また、「候」は「伺う」という意味を持ち、「時節」という意味もあります。
漢語調
漢語調は、少しかしこまった雰囲気の文章です。改まった印象があるため、文書の品格を高めることができますよ。読み方と意味も覚えておくと、ビジネスシーンで恥をかくことを避けられますね。
・師走の候(しわすのこう):師走となりました。
・寒冷の候(かんれいのこう):ひえびえと寒い季節になりました。
結びの挨拶
結びの挨拶とは、手紙の最後を締めくくる言葉のこと。12月は寒さが厳しくなる上に、年末年始の準備などでとても忙しくなりますね。そのような時期だからこそ、相手の健康や様子を気づかう言葉や翌年の幸せを祈る言葉で、手紙の最後を結びましょう。
・年末年始のご準備にお忙しいかとは存じますが、健康にはくれぐれもご留意ください。
・来年も輝かしい年となりますよう、ますますのご発展をお祈り申しあげます。
カジュアルな場面で使う12月の挨拶のポイント
親しい友人や近しい人向けの挨拶には、カジュアルな「口語調」が適しています。口語調は漢語調よりも、やわらかい印象を与えますね。季節ならではの事象を取り入れるのも良さそう。送り手の近況などを伝えると、相手もきっと嬉しいはず。
口語調
口語調は、普段の会話で使う言葉をそのまま文章に起こしたもの。相手に話しかけるような表現となるので、より身近に感じる挨拶になりますね。
・澄み渡る夜空に星の輝きがいっそう美しくなりましたね。
・猫と一緒にいつまでもベッドで寝ていたい朝を迎える今日この頃です。
結びの挨拶
カジュアルな場面の結びの挨拶でも、相手の健康や幸せを願う言葉で手紙を結ぶことが一般的です。一方で、相手の好きなことや趣味や嗜好に合わせた内容など、その人に適した挨拶で結ぶのもいいでしょう。
・大好きなスキーシーズンが到来しましたね。思う存分に満喫してください。
・忘年会シーズンですね。飲みすぎには注意して、よいお年をお迎えください。
例文でチェック
12月の挨拶は、ビジネスとカジュアルで使い分けすることが重要ですね。ここでは使い方をチェックしていきましょう。
初冬の候、○○様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
こちらは目上の人に使う場合の例文です。「初冬の候」は、12月の上旬まで使える挨拶の言葉ですよ。「慶ぶ」は「めでたいことをうれしく思う気持ち」を表現しているときに使います。
歳末の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
ビジネスで取引先などに使う例文となります。「歳末の候」は、12月下旬に使う挨拶の言葉です。「ご清栄」は、相手の無事や繁栄などを気づかう言葉として使われます。「ご盛栄」「ご繁栄」にも言い換えられます。
クリスマスのイルミネーションで街が華やかになる季節となりましたが、お元気でいらっしゃいますか。
カジュアルな12月の挨拶の例文です。「クリスマス」は12月のビッグイベントなので、ぴったりの表現ですね。街の彩が思い浮かび、想像して楽しくなる挨拶の言葉になります。
お鍋がおいしい季節となりましが、健やかにお過ごしですか。
親しい友人に向けた、カジュアルな12月の挨拶となります。こちらは12月ごろに使うのがふさわしいのではないでしょうか。「今度、お鍋を囲みましょう」と結びの言葉に入れると、「会いたいです」という気持ちも込められて、より親しみがわきます。
手紙を書く際の注意点
手紙の構成には大きく分けて4つの構成があります。ビジネスで出す文書やプライベートな手紙などを書く際、前文・主文・末文・後付の順番で構成します。意外と知られていないので、この機会に覚えておきましょう。
前文
前文は、主文に入る前の書き出しとなります。
「拝啓」や「謹啓」などの頭語、時候の挨拶、相手の健康や様子を問う言葉、お礼や自身の近況報告の順に書いていきます。
主文
主文は、手紙の一番の用件となる部分・本題です。相手に要件を伝える中心的な部分になりますので、要件を正確に伝えられるように書きます。目上の人に対してやビジネスシーンにおいては敬語を正しく使いましょう。
末文
末文は、手紙を終える部分となります。結びの挨拶、相手の繁栄や健康を願う言葉、「敬具」「謹啓」などの結語の順番に書いていきましょう。
後付
後付は、手紙を書き終えた最後に書きます。内容は日付、署名、宛名などの情報で、この順番で書くのが一般的です。日付は、手紙を書いた年月日、署名は手紙を書いた人の名前、宛名は手紙の受取人の名前を書きましょう。
最後に
12月の挨拶の使い方や結びの言葉はマスターできましたか? PCやスマホ経由のメッセージは、気軽に相手に気持ちを伝えることができる、便利なもの。スタンプやフェイスマーク、顔文字を使えば、一瞬で、気持ちが伝わる場合もあります。
しかしながら、相手のことを想像しながら、じっくりと手紙を書くのもいいもの。ビジネスとカジュアルの使い分けに注意して、ぜひ試してみてくださいね。
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