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2022.06.21

「未来に女性の苦しみを残さない」女性起業家を支援する理由〈連載 ザ・ターニングポイント〉

選択の多い女性の人生に、決断は欠かせないもの。各界の第一線で活躍する先人たちは、どんなターニングポイントを迎えてきたのか。シリコンバレーで働いた経験を活かし、女性起業家支援プログラムを運営してきた堀江愛利さんにお話をうかがいました。〈第一線の女性たちもアラサーで「選んで」きた The Turning Point~私が「決断」したとき~〉

起業家 堀江愛利さんインタビュー

未来に女性の苦しみを残さないように、テクノロジーの力で社会課題の解決に貢献したい

カリフォルニア州立大学を卒業後、20代はIBMや数社のスタートアップでマーケティングの仕事をしてきました。

当時はちょうど広告がアナログからデジタルに変わる過渡期。効果が目に見えてわかるのは刺激的だったし、頑張ればさらに魅力的なオファーがもらえる。どんどん挑戦できる環境でしたね。

全力を出せないもどかしさや悔しさ。結婚・妊娠を機に起業を決意

それが、30歳で結婚して妊娠をしたら一変したんです。

全力を出し切れないもどかしさ、自分に来るはずだった仕事をシングルの男性に任される悔しさ…。

なんでこんなに仕事が面白いときに、私たち女性は産まなくてはいけないの? という怒りすら湧いてきて。しかも、養育費がすごく高いので、仕事をした分だけお金が出ていってしまう。

だったら、自宅で子供と一緒にいながら同じだけ稼げるように起業しようと、まずはオンラインの販売業から始めました。

母にがんが発覚。価値観が大きく変わり、人生がシンプルに

ただ、ふたりの子供を育てていた30代後半、同居していた母にがんが発覚。数年看病を続けた後に母が亡くなったことで、大きく価値観が変わりました。

人間、どんなに頑張ってお金や地位を手に入れたとしても、天国まではもっていくことはできない。

地位が上がることや会社に認めてもらうこと自体が重要なんじゃなくて、その力は、社会に貢献して次の世代に役立つ何かを残す手段でしかないなと思ったんですよね。

そこから、自分の人生はすごくシンプルになりました。

ビジネスの傍ら、起業家支援プログラム「Women’s Startup Lab」をスタート

やがて子供に教育を提供するエドテック事業など複数のビジネスを手がけるようになりましたが、常に資金やスピード感が求められる起業には、困難やストレスは付き物。

選んで入っていった海ですから、あまり苦労を認識したことはないものの、1年半をかけて準備した案件を、日本企業が理由も告げずに取っていったときには、さすがに堪えましたね。

夢を抱いてシリコンバレーに集まってくれた仲間の努力に報いるためにも、なんとか実現できるように奔走。人のつながりにも助けられました。

その傍らでテック系女性に特化した起業家支援プログラム「Women’s Startup Lab」を始めたのは、40歳のとき。育児や介護など女性が担ってきた領域の課題を、よりデジタルテクノロジーで解決していくべきだという思いもありました。

未来のために、まずは自分がアクセラレーターに

振り返れば、私も母の闘病中、情報伝達ひとつとっても説明が不十分とか人によって伝え方が雑とか、人間くささにかえって傷つくことが多かった。

企業ではずっと生産性を上げろと言われてきたのに、学校ではなんでこれを今どき紙で管理しているんだ! と疑問を抱くことも。

その背景には、シリコンバレーがずっと男性主体だったことがあると感じていて。

エンジニアや経営層に女性が少ないし、ピッチ(投資家に向けた短いプレゼンテーション)にいいアイディアを出す人がいても男性投資家にはニーズと可能性が理解できないから、資金が集まらない。

このまま女性が辞めていくと、私たちの未来って、ずっと苦しいことが続くんじゃないかと。

まずは女性起業家が集まって、自分のアイディアや困ってることを話して「大丈夫! わかるよ!」と助け合える場をつくろうと、自らアクセラレーターになりました。

人前で話すことさえ苦手だったけれど、インパクトを与えられるなら挑戦を続けたい

たとえば、2週間の研修を提供する場合、どの時期にどんな感情にもっていくかを計算しながらシナリオを組み立てます。

最初はみんな、「ほかの人はすごくて、自分はすごくない」と思って参加するんですよ。なので、お互いを知り、信頼関係を築くセッションから始めます。

外部からアドバイザーを呼んで、事業について良し悪しを指摘してもらうのですが、一線の投資家は辛辣。参加者は自分の人生をかけてつくってきた会社ですから、落ち込むんですね。

そういうときに、チームでどうサポートしていくかが問われる。さらにあえてタイトなスケジュールを組んで、思考回路が低下してきたときに課題を与えると、リーダーとしての人間性が露になる。どう対応するのかを見ながらアドバイスをしています。

スタートアップの世界は理不尽の連続です。何億というお金を投資している人の中には、もちろん心がきれいな人ばかりではありません。

個人としては納得いかないことが起きたときも、会社と社員のために自分を乱さない確固たる軸をもっておかないと、会社が潰れてしまうし、投資家もつかない。

ただ、動じてしまったとしても「あなたはダメ」というわけではなく、そこを乗り越えると本当に強くなれるし、仲間ができるんですね。

でもまさか、私たちの取り組みが広がるにつれて、世界各地で講演に呼ばれる機会が増えるとは想像もしていなくて(笑)。元々は人前で話すなんて怖くて怖くてできない人間でしたから。

ただ、スピーチでスタンディングオベーションをいただいたり、聴講者が6000人も集まってくれたりすることに私が伝えることで何かしらインパクトを与えられるなら、頑張ろうと思えるようになりました。

「You Can Be Anything(何にだってなれる)」というメッセージを伝えたい

2022年にバービー人形のモデルに選んでいただいたことも驚きですが、ひとりでは心もとないので、過去に選ばれた大坂なおみ選手とセットにしていただきたいくらい(笑)。

バービーの掲げる「You Can Be Anything(何にだってなれる)」というメッセージは、まさに私が伝えたいことなんです。

全員がすごい起業家にならなくてもいいし、大きなインパクトを生まなくてもいい。仕事や職業に限らず、ワクワクすることを見つけて、チャレンジ精神をもって行動をとる女性がより増えていくといいなと。

動いた先に、課題も仲間も新しい答えも見えてくる

私自身もビジネスの場だけではなく、日常でたまたま街で出会ったタクシーの運転手さんや店員さんなど、自分が声をかけたことで、だれかの一日がライトアップしたらいいなという気持ちで日々過ごしています。

子供たちには「うちのお母さん、なんか楽しかったな」と思ってもらえたら十分。料理には手間をかけなかったけれど(笑)、イベントはたくさん企画してとにかく子供が喜んでくれることを考えてきました。おばあちゃんになっても一緒に遊んでいたいですね。

今年はいよいよ日本でも、自治体や上場企業と一緒に女性起業家や高校生の支援をスタートします。

今は新しいテクノロジーのコストがすごく下がっているので、先行投資なくしてビジネスが始められる時代。自宅にいながら世界を相手にできます。

起業をしなくとも、会社の中で新規事業に携わるチャンスも増えていくはず。

Oggi世代の皆さんもぜひまずは一歩を踏み出してみてください。動いた先に、課題も仲間も新しい答えも見えてくるはず。私たちがそのきっかけになれたら幸せですね。

著名海外アドバイザーと成長の機会を提供!「Amelias(アメリアス)」

堀江さんが手がける女性起業家支援プログラムがいよいよ日本でも始動!

女性初の大西洋横断を成し遂げた歴史的に有名な飛行士の名にちなんで「Amelias」と命名、女性が自らの冒険心と共に未来を切り開いてほしいという願いが込められている。内容や申込方法は公式サイトから確認を。

2022年Oggi7月号「The Turning Point〜私が『決断』したとき」より
撮影/相馬ミナ 構成/佐藤久美子
再構成/Oggi.jp編集部

堀江愛利(ほりえ・あり)

Women’s Startup Lab 代表取締役。1997年にカリフォルニア州立大学を卒業後、米国IBM、スタートアップでの経験をもとに、2013年、シリコンバレー初、女性に特化したアクセラレーター〝Women’s Startup Lab〟を創業。独自の育成プログラムと強靭な現地ネットワークで、グローバルに女性起業家やベンチャーの育成支援を行い、その功績を称えられ、CNN「10 Visionary Women」など数多くの賞を受賞。2022年3月には、「境界を突破し、次世代に希望を与える女性」として、バービー人形で知られるマテル社より、『ロールモデル』シリーズで日本人起業家として初めて選出される。2022年春より、日本の女性、高校生を対象に、プロジェクト「Amelias」を始動。

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
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