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2022.05.17

「先導するより助けてもらう」マッスルデリ創業者が乗り越えた壁〈連載 ザ・ターニングポイント〉

選択の多い女性の人生に、決断は欠かせないもの。各界の第一線で活躍する先人たちは、どんなターニングポイントを迎えてきたのか。ボディメイクフードサービス「マッスルデリ」創業者の西川真梨子さんにお話をうかがいました。〈第一線の女性たちもアラサーで「選んで」きた The Turning Point~私が「決断」したとき~〉

食品D2Cサービス経営者 西川真梨子さんインタビュー

会社員として働きながら、二度の起業を経験。自分が先導するより助けてもらうスタイルに変えて成長できた

ふつうの会社員として働いて、ふつうに結婚して、ふつうの家庭を築いていくんだろうな… そう思っていた私が、初めて起業を経験したのが27歳のときです。仕事は繊維メーカーの企画営業職だったのですが、週末に飲みに行くお店で知り合った人たちとサバイバルゲームで遊ぶようになりました。行き帰りの車の中、仲間たちと「こういう事業があったらいいよね」と話すうちに、「会社つくっちゃう?」という流れに。みんなで少しずつお金を出しあってサバゲーのお店を始めることにしました。

フルタイムで会社員を続け、平日夜に打ち合わせや設営をして土日だけオープン。クラウドファンディングでも支援していただき、予約がとれないほどの人気店となりました。ありがたいことに、お客さまが運営を手伝ってくださることも。

ただの趣味から事業になって会社になって、大手との取引も始まって。すごく面白かったのですが、会社が大きくなっていく中で次のキャリアを考えたときに、一緒に立ち上げた6人のメンバーは経営経験が豊かだったので、私が副業ではなくフルコミットで入ってもたいして力になれないなと感じるように。それなら勉強を積んで、ちゃんと自分で先導してビジネスをまわしていけるような力を蓄えたいと思い、新規事業支援を行うコンサルティング会社への転職を決めました。

コンサルタントになってからは座り仕事がメインになり、30歳を前に何か運動しなくてはとパーソナルジムに通い始めました。トレーニングをきっかけに変わったのは、なんとなく自分に自信がないとか、スナック菓子を食べてしまうとか、無意識に身についていた思考や習慣を自然と選ばなくなっていったこと。そうすると、体型や体調が変わるだけでなく、自己肯定感も上がるんですね。

一方で、忙しい中でトレーニングを続け、高たんぱく・低脂肪の食事をとろうと思うと「コンビニでサラダチキン、水」みたいな味気ない食生活になってしまう。周囲も同じ課題を抱えていました。ちょうど自分も何かしら起業したいという思いでネタ探しをしていた時期でもあり、フィットネス市場の動向、競合がいないことなどを加味して、ボディメイクフードを提供する「マッスルデリ」の創業に至りました。

最初は新宿のバーを日中だけ借りて、仕出し弁当の形態でスタート。成長性を見すえて、まもなく冷凍食の宅配に転換しています。メニューは、管理栄養士のメンバーと一緒に何度も試作を重ねて改良。工場開拓する際は製造会社のつてもなく、スーパーで売っているお弁当のラベルを見て片っ端から電話しましたね。断られてもすぐに電話を切らずになんとかほかの会社を紹介していただき、50社はあたったと思います。実績のないベンチャー相手に慎重になるのは当然。だからこそ会ってくださるとなれば、念入りに調べて資料をつくり、熱意と将来性を伝えました。

2021年1月には前年同月比で売り上げが2倍に成長、その後、メンバー数は20名弱に増えました。会社は順調ですが、私自身は壁を二度味わっています。

一度目は、一緒に創業した前社長が家庭の事情で辞めたとき。お客さんがすごくついてくださっていたし、サバゲー仲間も巻き込んで手伝ってもらっていたので、自分まで辞めるわけにいかない。迷う余裕もなく「もうひとりでやるしかない!」と走り続けることにしました。二度目は、2020年にコロナ禍で外出できない状態になったときです。メンバーの退職に加え、採用もうまくいかず。だれとも会えないから悩みをすぐ相談することもできなくて。

状況を改善すべく変えたのは、メンバーとのコミュニケーションです。自分がなんでもやる、先導するポジションからメンバーを頼って助けてもらうスタイルに切り替え。そのほうがチームとしてうまく機能するだけでなく、みんな楽しそうに働いている。自由度が上がってチャレンジしやすくなったのかなと思います。採用でも、ほかのメンバーに1次面接を任せることで、応募してくださる人に会社のことをより多面的に伝えられるようになりました。「全部自分の責任」と背負い込んでしまっていたときより、心の余裕ができましたね。

数字や成果を追うだけでは得られない心が動くものを大切にしたい

会社をやっていると外部の資金を入れたり、買収のお話をいただいたり、今後どうしたいのか自分の本心と向き合う機会が折々にあります。課題解決や事業をつくることは好きで楽しいのですが、何がほしいとか、自分がこうなりたいという欲が少ないタイプ。たとえばお金が何億あったら? と想像しても、ほしいものリストが積みあがらないんです(笑)。以前は多少あったと思うのですが、振り返ると周囲の意見やメディアの情報にただ同調していたのかなと。

ずっと数字や効率、目に見えやすい成果を出すことに熱量を注いできたけれど、これからの時代は、お金ではない価値、心が動くものを大切にすることで豊かになっていくのではないかと感じています。それは、私自身がビジネス人生で後回しにしていた部分。アートや自然を見に行ったり、ムダだと思っていた雑談を増やしてみたり(笑)、まだまだトレーニング中ですが、今まで知らなかった自分の感情が動く瞬間がありますね。

結婚についても、20代のときは起業家といえば寝ずに働くものというか、事業の足枷になるイメージがあったんです。ここ数年は事業も家庭も両立させている経営者さんが増えてきたので、自分もいずれできたらいいなと変わってきました。

現在は、卓球の水谷隼選手やラグビーの中島イシレリ選手をはじめ、アスリートのサポートにも携わっています。元々営業職なので多様な業界の人にお会いして話す中で、「日本のアスリートの食事管理をどうにかしたい」という声を聞きました。日本では、欧米のスポーツ先進国のように管理栄養士さんをつけられる選手ばかりではありません。本人が専門知識を身につけ、毎日栄養バランスまで考えて調理するのはハードルが高く、パフォーマンスにも響く。私たちにできることがあるならぜひ応援したいなと。

開発中の『ユアミール』という新サービスでは、幅広い人々の食事のパーソナライズ化を進めています。サプリはあるけれど食事ではまだこれからの領域。さまざまな情報があふれる中で、その人に本当に必要な栄養素を分析しておいしいお弁当にしてお届けし、一緒に少しずつ生活を改善していけるよう挑戦したいと思っています。

2021年Oggi12月号「The Turning Point〜私が『決断』したとき」より
撮影/石田祥平 構成/佐藤久美子
再構成/Oggi.jp編集部

西川真梨子(にしかわ・まりこ)

1986年、京都府生まれ。Muscle Deli(マッスルデリ)代表取締役。関西学院大学卒業後、繊維メーカーで営業・商品開発に従事。27歳で趣味が高じてサバイバルフィールドを運営するASOBIBA(現、アカツキライブエンターテインメント)を創業し、副社長として店舗開発や運営を行う。その後、コンサルティング会社で大手企業の新規事業立ち上げを支援。ボディメイク中でも楽しく食事できる環境づくりを目指し、30歳でMuscle Deliを創業。著書に『「マッスルデリ」の超効率 美筋ごはん~脂肪を減らして筋肉を増やそう~』(小学館)。

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
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