「眉に唾を付ける」の意味とは?
「眉に唾(つば、つばき)を付ける」とは、欺かれないように用心することです。眉に唾を付けるとキツネやタヌキに化かされないという俗信から生まれた言葉といわれています。
・彼の話は眉に唾を付けて聞いたほうがよい
・そんな話は信じられない。眉に唾を付けたほうがよいかもね
略して「眉唾(まゆつば)」ともいわれることがあります。また、「眉毛に唾をつける」や「眉を濡らす」「眉毛を濡らす」などと表現することもあります。
まゆ【眉】 に 唾(つば・つばき)をつける
出典:小学館 精選版 日本国語大辞典
( 狐、狸などにだまされないように眉に唾をつけるというところから ) 欺かれないように用心する。眉毛に唾をつける。眉毛を濡らす。
[初出の実例]「眉に唾付ける篠田の森見へて」(出典:俳諧・広原海(1703)一三)
「眉に唾を付ける」の由来
キツネは人間を騙す前に、眉毛の本数を数えるともいわれています。あらかじめ眉を濡らして固めておくと、キツネに眉毛の本数を数えられることがなく、化かされないといわれてきました。
また、唾には神聖な力が宿っているとも信じられていたため、眉を唾で濡らすことで邪気を追い払ったとも。なお、江戸時代に執筆された『東海道中膝栗毛』にも眉に唾を付ける話があり、広く信じられていたことがうかがえます。

「眉唾物」との違い
「眉唾物」とは、眉に唾を付ける必要があるもののことです。「騙される心配のあるもの」や「信用できないもの」の意味で使われます。
・その話は誰から聞いたの?彼から聞いたのであれば、眉唾物だ
・出所がわからない情報なら、十中八九、眉唾物だ
眉唾物を略した「眉唾」も「騙されないように用心する」といった意味を持ち、「疑う」や「信用できない」といったニュアンスで使われます。
また、真偽が確かではないものに対して「眉唾」や「眉唾物」と表現することも。文章によって「用心する」「疑う」「信用できない」などのように意味が異なるため、前後の文も考慮し、適切に判断しましょう。
まゆつば‐もの【眉唾物】
出典:小学館 デジタル大辞泉
だまされる心配のあるもの。真偽の確かでないもの。信用できないもの。「その情報は眉唾物だ」
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「眉に唾を付ける」と類似する意味で使われる慣用句
次の言葉や慣用表現は、「眉に唾を付ける」と類似した意味で使われます。
・信憑性に欠ける
・信用ならない
・疑わしい
・いかがわしい
・怪しい
いずれも類似した意味の言葉ですが、使用するシチュエーションやニュアンスが少々異なります。例文をとおして、使い方を見ていきましょう。

信憑性に欠ける
「信憑性」とは、情報や証言などに対して信用してよい度合いのことです。信用できる可能性が高い情報・証言などは「信憑性が高い」、反対に、信用できる可能性が低い情報などに関しては「信憑性が低い」「信憑性が薄い」「信憑性に欠ける」と表現します。
・情報源が彼女なら、信憑性に欠けるといっても間違いないだろう
・そんなことがあるだろうか。いくら君の話でも、信憑性に欠けると言わざるを得ない
実際のところ、信用してよい度合いというものが数値化されているわけではありません。しかし、過去の経験や言動などから「信用し難い」と判断したものに対しては「信憑性に欠ける」と表現することがあります。
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信用ならない
「信用」とは、確かなものと信じて受け入れることや、今までの行為・業績などから信頼できると判断することです。反対に、確かなものだと信じられないときや、信頼できると判断できないものに関しては「信用できない」「信用ならない」と表現します。
・彼女の言葉は信用ならない
・データは確実性が高いと判断しがちだが、現場においては信用ならない面もある
「信用」は、世間が与える評価を指すことも。たとえば「信用を失う」「信用に傷がつく」といった表現では、今まで得てきた高い評価が覆されることを意味します。
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疑わしい
「疑わしい」とは、真実かどうか疑いたくなる様子や信用できないこと、予想通りの結果になるのか不確かであることなどの意味で使われます。
・彼は「本当だ」というが、実際のところは本当かどうか疑わしい
・今のままでは目標達成は疑わしい
また「普通ではない」「怪しい」「不審だ」の意味で、「疑わしい」という言葉が使われることもあります。
・疑わしいふるまいは避けよう
・彼の行動は何か疑わしい感じがする
特に疑う部分がなくても、何かを隠しているような気配がするときにも使われます。
いかがわしい
「いかがわしい」は、本当かどうか疑わしい、物事の内容や人の正体などが怪しげだ、信用できないなどの意味で使われる言葉です。
・いかがわしい人と付き合うと、あなたもいかがわしいと思われるよ
・本物かどうかいかがわしい品物だ
「いかがわしい」は、下品でよくない、風紀上よくないといった意味でも使われます。
・いかがわしい映画なので、子どもには見せないほうがよい
・いかがわしい場所には出歩かないようにしてください
「いかがわしい」は、どちらかというと「下品」や「風紀上好ましくない」の意味で使われる傾向にあります。
怪しい
「怪しい」は、普通ではない事物や正体のはっきりしない事物に対する不可解な気持ちを表す言葉です。
・彼女の怪しい魅力にはあらがえない
・宝石が怪しく光った
また「不気味だ」「疑わしい」「よくない方向に変わりそうだ」などの意味でも使われます。
・彼の行動はどうにも怪しい。何かを隠しているに違いない
・雲行きが怪しい。嵐が来そうだ
不安な気持ちにさせる原因が明確ではないときに、「怪しい」という言葉が使われる傾向にあります。
眉に唾を付ける状況か冷静に判断しよう
「眉に唾を付ける」とは、欺かれないように用心することや信用できないことを指す表現です。慎重に行動するためにも、少しでも怪しいと感じたときは「眉に唾を付ける」必要があるでしょう。
また、「いかがわしい」や「怪しい」、「信憑性に欠ける」など、「眉に唾を付ける」に類似する表現も多く存在するため、状況に応じた言葉を選ぶことも大切です。不安な気持ちや信用できない感情などを的確に表現する言葉を選び、正確に示していきましょう。
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