信用と信頼、正しく使い分けられる?
ビジネスマンとして大切な「信用」と「信頼」。どちらも相手を信じる際に用いる言葉ですが、その違いをご存知ですか?
◆「信用」の意味は?
信用とは「1. 確かなものと信じて受け入れること。2. それまでの行為・業績などから、信頼できると判断すること。また、世間が与える、そのような評価」のことをいいます。
信は「言行にうそ偽りがないこと。まこと」や、「まことと思う。疑わない」を意味し、用は「必要にこたえる働きのあること。役に立つこと。また、使い道。用途」を意味します。
つまり、うそ偽りのない言行が相手の求めるものにこたえる働きをした結果、信用がつくられるんですね。
◆「信頼」の意味って?
一方、信頼とは「信じて頼りにすること。頼りになると信じること。また、その気持ち」のことをいいます。
頼は「あてにする。たのみとする」ことを意味し、うそ偽りのない言行をあてにして信頼するんですね。
◆「信用」は実績、「信頼」は人柄に重きが置かれる
以上のように、信用はこれまでの行為や業績、すなわち実績や成果に対する評価から生まれるものなんです。その人自身に対する評価というよりも、その人の実績に重きを置いた評価といえますね。
一方、信頼はその人を評価するにあたり、その人自身の人柄や考え方、立ち振る舞いなどに重きを置いた評価なんです。
もちろん、これまでの行為や実績もその人物を評価するにあたって織り込まれることが多いですが、なんの実績もなくとも、信頼されることはありえるということです。
そういった観点からすると、信用は客観的であり、信頼は主観的ともいえます。
そのため、信用は例えば職業などの条件ごとに数値化することも可能と考えられており、AIがその人の持つ信用スコアを算出。この信用スコアをもとに、銀行は融資をすることができる金額を決める仕組みも生まれています。
一方、信頼は心証によっても大きく変動するものなんです。信頼関係という言葉があるのに信用関係という言葉がないように、信頼はお互いのやりとりの中で築いていくものでもあるんですね。
また、実績に重きを置いていることで、信用は過去から判断する現在の評価であるのに対し、信頼は未来への期待も加わっているといわれます。この人なら力になってくれるといった期待は、信頼から生まれるものなんですね。
いかがでしたか? 信用と信頼のニュアンスの違いを感じていただけたでしょうか。
信用の方がビジネスライクな印象があるのは、実績をシビアに評価して使われる場面が多いからかもしれませんね。
信用や信頼は一朝一夕で作ることは難しいですが、特に信頼は自身の行動の積み重ねで得られるものですので、公私共に信頼を得られる振る舞いをしていきたいですね。
言葉の意味/デジタル大辞泉
鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!