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「破邪顕正(はじゃけんしょう)」の意味とは
「破邪顕正」とは、有害で正しくないとされる説や道を打ち破り、正しい道理を明らかにすることです。
仏語のひとつですが、日常会話では不正を糾弾し、正義をつらぬくという意味で用いられます。
読み方は「はじゃけんしょう」です。「はじゃけんせい」とも読みます。
はじゃ‐けんしょう〔‐ケンシヤウ〕【破邪顕正】
引用:小学館 デジタル大辞泉
仏語。邪説・邪道を打ち破って、正しい道理を明らかにすること。
「破邪顕正」の使い方や例文
仏教用語である「破邪顕正」は、日常会話で以下のように活用できます。
・部署のトップとして公正な判断ができるよう、日頃から破邪顕正を心がけている
・いつも自分に厳しく、曲がったことが嫌いな彼は破邪顕正な人物といわれている
・責任ある役職に就いたからには、破邪顕正な精神をもって仕事に臨みたい
・あまりにも破邪顕正にこだわると、周囲と軋轢が生じる可能性がある
・破邪顕正な考えが悪いとはいわないけど、ビジネスで何を正義とするかは人それぞれじゃないのかな
「破邪顕正」のような「正義」にまつわる四字熟語
ここからは、「破邪顕正」のように正義にまつわる四字熟語を紹介します。
四つの漢字で成る四字熟語を知ると、語句への理解がより深まるでしょう。ビジネスシーンでは、自分の考えを端的に伝えたいときに便利です。
「破邪顕正」とのニュアンスとの違いなども含め、それぞれの正しい意味を確認していきましょう。

「勧善懲悪(かんぜんちょうあく)」
「勧善懲悪」とは、善いおこないを勧め、悪事を懲らしめることです。おもに、小説や映画などのあらすじを表す際に用いられます。
「勧懲」と略して使うこともできる四字熟語です。以下のように、日常会話に取り入れやすい語句といえます。
・週末に観た映画は、勧善懲悪な実にスカッとする内容だった
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「野無遺賢(やむいけん)」
「野無遺賢」は、「やむいけん」または「野に遺賢無し(やにいけんなし)」と読みます。優れた人たちによって、正しい政治がおこなわれるさまを表す言葉です。
「政府が優れた人物を官史として採用すれば、民間に賢人は残らず、国は安定する」という中国の故事に由来しています。
・政治家の不祥事のニュースを耳にするたび、政治の安定には野無遺賢が必要なのだと感じざるを得ない
「品性高潔(ひんせいこうけつ)」
「品性高潔」とは、人柄や性格が清らかなことです。「高潔」には、人柄が立派で私利私欲では動かないという意味があります。
「品性高潔」は品性があると同時に、「破邪顕正」のように、正義を大切にする人を表す四字熟語といえます。
・品性高潔で周囲への気遣いを忘れない上司は、多くの部下から慕われている
「破邪顕正」と反対の意味をもつ四字熟語
以下の四字熟語は、正義を意味する「破邪顕正」と反対のニュアンスをもちます。
・極悪非道(ごくあくひどう)
・五濁悪世(ごじょくあくせ)
正義ではなく、悪いおこないについて言い表したいときは、これらの使用を検討してみてください。

「極悪非道(ごくあくひどう)」
「極悪」とは、これ以上にないひどいおこないのことです。「非道」と続けることで、人の道から外れたさまを表します。
悪を意味する「極悪非道」は、「破邪顕正」と対極的といえる四字熟語です。
似た意味をもつ言葉には「極悪無道(ごくあくむどう)」や「悪逆非道(あくぎゃくひどう)」、「大逆無道(たいぎゃくむどう)」などが挙げられます。
・ニュースで報じられた極悪非道なおこないは、決して許されるものではない
「五濁悪世(ごじょくあくせ)」
「五濁悪世」は、「破邪顕正」と同様に仏語のひとつです。「五濁」は、この世にあるという5つのけがれを表しています。
・劫濁(天災、悪疫)
・見濁(悪い考え)
・煩悩濁(煩悩が盛んなこと)
・衆生濁(資質や果報が低下劣悪となる)
・命濁(短命になること)
「五濁悪世」は、これらのけがれに満ちた悪い世を指す言葉です。法事や法要などで読まれる、お経のなかにも登場します。
・毎日、胸が痛くなるようなニュースばかりを見聞きしていると、現代社会が五濁悪世のように思えてしまう
「破邪顕正」にまつわる四字熟語を活用しよう
「破邪顕正」は悪を打ち破り、正義をつらぬくことを意味する言葉です。四字熟語には、同様に正義を表すものがたくさんあります。紹介した例文も参考に日常会話に取り入れ、コミュニケーションの幅を広げてみては。
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