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2025.12.25

「ご教授」「ご教示」失礼にならない使い分け

ビジネスで何気なく使っている「ご教授ください」と「ご教示ください」。このふたつのフレーズは意味も使う場面も、しっかりと違いがあります。知らずに使ってしまうと、ちょっとズレた印象を与えてしまうことも…。アラサー世代が押さえておきたい「ご教授/ご教示」の違いと、実際のビジネスシーンでの使い方を解説します。

並木まき

まず知りたい!「ご教授」と「ご教示」の意味の違い

最初に押さえるべきは、言葉そのものの意味。
似ているようで、実はまったく違うニュアンスをもっています。

♦︎「ご教授」

「教授(ご教授)」とは、“学問や技芸を教え授けること”(出典:デジタル大辞泉/小学館)。
つまり、専門的な知識や体系的な学びに近いイメージです。
具体的な言い回しとしては「新しい分析手法についてご教授いただけますと幸いです」のように用います。

♦︎「ご教示」

「教示(ご教示)」とは、“知識や方法などを教え示すこと”(同出典)。
実務・運用の話に近く、日常のビジネスシーンでは最も使いやすい表現です。
よく使われている言い回しには「当日の集合場所をご教示いただけますでしょうか」などがあります。

アラサーが失敗しやすい「ご教授」「ご教示」の誤用をチェック!

(c)Adobe Stock

丁寧にしようと思って「ご教授」を使ったのに、相手からは「ちょっと違うのよね…」と思われていたら残念。ありがちな誤用を知っておけば安心です。

♦︎よくある誤用:業務連絡なのに「ご教授ください」

×「明日の進行についてご教授ください」
×「書類の提出方法をご教授願います」
これらは間違った使い方です。

「教授」は“体系立った知識・学問・高度な専門性”を教えるという意味。
そのため、社内業務や事務連絡、スケジュール調整といった日常業務では言葉の格が合わず不自然です。
本人は丁寧なつもりでも、ズレた敬語になっている典型でもあります。

♦︎よくある誤用:年下・同僚に「ご教授」

「教授」という言葉には、“上の立場から高度な知識を授ける”というニュアンスがあります。
そのため上下関係がフラットまたは目下である同僚や年下に使うと、必要以上にかしこまっているだけでなくアンバランスな敬語に。
なお、同僚や年下(部下など)には「ご教示」でも不自然な場合が多いため、別の言葉を用いるのが自然です。

♦︎よくある誤用:“ご指導”と混同している

社内でよくあるのが「指導」と「教授」を混同してしまうパターン。
たとえば「企画書の修正点をご教授ください」は一見すると正しそうに聞こえますが、修正点は“教える”のではなく“指導する”内容。したがって「ご指導ください」が適切です。

混同を続けてしまうと会話の言葉選びがズレてしまい、正しそうに聞こえるけれど不自然な文章になりがちです。

ビジネスシーンではこちらがメイン!「ご教示」の使いどころ

(c)Adobe Stock

日常的な業務やマニュアルの進め方への疑問、アポイント情報の整理などのシーンを例にとっても、ビジネスではほとんどの場合が「ご教示」の出番です。つまり「ご教授」よりも「ご教示」を使う場面のほうが一般的。
この「ご教示」を、どんな場面で使えば自然なのかを整理します。

♦︎「ご教示」が使える場面

ビジネスシーンで「ご教示」が使える場面は、幅広くあります。
主な例を4つ挙げると…

・手順を聞くとき
・スケジュールの情報を知りたいとき
・方針や進め方を確認したいとき
・メールや資料の提出方法を教えてもらいたいとき

このように、何かを「知りたい」「聞きたい」というときには「ご教示」を使うと適切です。

♦︎【例文つき】メールで「ご教示」を使うなら?

メールでも、口語と同じように「ご教示」を用いることができます。

たとえば
「今後の進め方についてご教示いただけますと幸いです」
「お手数ですが、本件の担当者名をご教示いただけますでしょうか」
などと、何かを「知りたい」「聞きたい」というシーンのメールで使えます。

「ご教授」「ご教示」のスマートな言い換え方

(c)Adobe Stock

「ご教示」や「ご教授」が正しい場面でも、連発すると固い印象になるだけでなく大げさな印象を与えかねません。
アラサー世代が使いやすい、ほどよく丁寧な言い換えも覚えておくと便利です。

♦︎「ご教授」の言い換え

「ご教授」の言い換えでは、より口語的な言い回しを押さえておくと便利です。

「ご指導いただけますと幸いです」
「アドバイスをいただけますでしょうか」
「レクチャーいただけますと助かります」

♦︎「ご教示」の言い換え

「ご教示」の言い換えは、よりやわらかな言い回しを覚えておくと使いやすいでしょう。

「教えていただけますと幸いです」
「共有いただけますと助かります」
「お知らせいただけると幸いです」
「ご指示いただけますと幸いです」

迷ったときほど自然な言葉遣いを選んで

敬語は“正しい or 間違い”だけでなく、相手との距離感や空気感に合っているかもとても重要です。
「ご教授」と「ご教示」も、まさにその代表例。
意味を理解したうえで適切に使い分け、丁寧かつ自然な言葉遣いを心がけていきましょう◎。
適切な言葉選びに迷ったときほど、自然に聞こえる言い回しを選ぶと失敗を減らせます。

TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき

ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。

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