目次Contents
この記事のサマリー
・「ありますでしょうか」は二重敬語です。
・「ありますか」「あるでしょうか」に言い換えた方がいいでしょう。
・ビジネスやフォーマルな場面では「ございますか」を使うのが適切です。
敬語は相手への敬意を示し、円滑な人間関係を築く上で欠かせないものです。そのため、「この表現で本当に合っているのかな?」と迷って立ち止まることもあるでしょう。
例えば、「ありますでしょうか」という表現。丁寧な言葉遣いを心がけているからこそ、「なんだか少し、くどいような…」と違和感を覚えた経験がある人もいるかもしれません。
この記事では、そんなあなたの不安を解消するため、「ありますでしょうか」の正しい使い方と、適切な言い換え表現を紹介します。
「ありますでしょうか」は正しい敬語? 誤用とされる理由
ここでは、「ありますでしょうか」の構造と二重敬語について整理します。
「ありますでしょうか」が二重敬語とされる理由
「ありますでしょうか」は、一見とても丁寧ですが、文法を確かめると二重敬語にあたります。動詞「ある」に、丁寧語の「ます」と、丁寧な断定の助動詞「です」の未然形+推量の助動詞「う」の連語「でしょう」を重ねており、同じ種類の敬語を二重にしているためです。
『デジタル大辞泉』(小学館)では「二重敬語はふつう誤りとされる」と説明しています。文化庁『敬語の指針』には、「『二重敬語』は、一般に適切ではないとされている。ただし、語によっては、習慣として定着しているものもある」とも記されています。
丁寧さを強調したい気持ちから使いがちですが、かえって不自然な印象を与えるため注意が必要です。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)、『敬語の指針』(文化庁)

「ありますでしょうか」の言い換え表現
「ありますでしょうか」の使用を避け、言い換えることができる表現を紹介します。日常的に使える形から、フォーマルな場面に適した表現までを、例文と共に見ていきましょう。
「ありますか」と「あるでしょうか」
「ありますか」は「ある」に丁寧語の「ます」、疑問の助詞「か」を添えたシンプルな形です。
必要な丁寧さを備えながら、気軽に尋ねたい場面に適しています。ただし、取引先や目上の人へのメールではやや軽く響く可能性があるため注意が必要です。
一方「あるでしょうか」は、「ある」に丁寧な断定の助動詞「です」の未然形+水量の助動詞「う」の連語「でしょう」と疑問の「か」を加えた形です。「ありますか」よりも柔らかい響きがあり、丁寧な印象です。
例文:
「この商品の在庫はありますか?」
「来週の土曜日、午後の枠に空きはあるでしょうか?」
「ございますか」
「ございます」は「ある」の丁寧語で、『デジタル大辞泉』(小学館)には「あります」より丁寧な言い方と記されています。ビジネスメールやオフィシャルな案内、取引先や上司にも使える表現です。
例文:
「ご不明な点はございますか?」
「本日ご都合のいいお時間はございますか?」
「おありですか」
「おありですか」は、動詞「ある」に尊敬を表す「お」を添え、丁寧語の「です+か」で丁寧に尋ねる形です。これにより、相手の所有物や予定に対して敬意を示すことができますよ。
少し改まった響きがあるため、ビジネスやフォーマルな場面で配慮を示したいときに適しています。
例文:
「来週の日曜日はご予定がおありですか?」
「その件について、何かご意見がおありですか?」
「ありますでしょうか」と混同しやすい表現
「ありますでしょうか」と同じく、日常やビジネスでよく見聞きする敬語の中には、二重敬語があります。迷いやすい表現を整理し、適切な使い方を確認しましょう。

「ございますでしょうか」との違い
「ございます」は「ある」の丁寧語で、『デジタル大辞泉』(小学館)には「あります」より丁寧な言い方としています。
しかし、これにさらに推量の「でしょう」を加えた「ございますでしょうか」は、丁寧語を重ねた二重敬語になります。
フォーマルな場面では「ございますか」を使うのが適切です。
例文
✕ 「ご希望の商品はございますでしょうか?」
〇 「ご希望の商品はございますか?」
「おりますでしょうか」の注意点
「おります」は「いる」の丁寧語で、「います」より改まった響きがあります。
ところが、これに「でしょうか」を加えた「おりますでしょうか」は二重敬語になります。
電話で「担当者はおりますでしょうか」と尋ねることがあるかもしれませんが、正しくは「担当者はいらっしゃいますか」などが望ましいです。
習慣で使ってしまう人も少なくない言葉使いですが、相手に違和感を与える可能性があるため、言い換えを心がけましょう。
例文
✕ 「担当の方はおりますでしょうか?」
✕ 「担当の方はいらっしゃいますでしょうか?」
〇 「担当の方はいらっしゃいますか?」
「ありますでしょうか」に関するFAQ
ここでは、「ありますでしょうか」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。

Q1. 「ありますでしょうか」は正しい敬語ですか?
A. いいえ。
代わりに「ございますか」などを使うのが望ましいです。
Q2. 代わりにどんな言い換え表現がありますか?
A. 「ありますか」「あるでしょうか」「おありですか」などを使います。
Q3. 「ございますでしょうか」も誤用ですか?
A. はい。
「ございます」自体が丁寧語なので、「でしょうか」を重ねると二重敬語になります。正しくは「ございますか」が適切です。
最後に
「ありますでしょうか」は、丁寧な言葉に聞こえますが、文法的には二重敬語にあたります。
「ございますか」や「おありですか」といった言い換え表現を使えば、相手への敬意を保ちながら、よりスマートに伝えることができますよ。日々の会話やメールでのやり取りに役立ててくださいね。
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