「虫の息」という言葉には、命の瀬戸際というようなイメージがあります。ただ、詳しい意味や使い方を問われると、うまく説明できないという人も多いかもしれません。
この記事では、「虫の息」という表現の意味や使い方、言い換えや英語表現まで、場面に応じた使い分けの視点から読み解いていきます。
「虫の息」とは? 弱々しい表現の奥にあることばの力
まずは、「虫の息」の意味から確認していきいましょう。
虫の息 意味
辞書で意味を確認します。
むし‐の‐いき【虫の息】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
弱り果てて、今にも絶えそうな呼吸。また、その状態。
「虫の息」とは、弱り切り、今にも死にそうなかすかな息づかいだったり、状態を表します。

「虫の息」の使い方を例文でチェック
「虫の息」の具体的な使い方を確認していきましょう。例文とともに解説します。
風邪をこじらせて、数日間ずっと虫の息のような状態だった。
体調不良によって衰弱し、かすかに生きているような弱々しい様子を表しています。
植物に水をやり忘れていたら、すっかり虫の息になっていた。
人間以外の存在に対して、「虫の息」を使う例です。弱り果てた状態を表現しています。
「虫の息」の類語や言い換え表現は?
「虫の息」に近い意味を持つ言葉を知っていると、場面に応じて言葉を使い分けることができます。表現の幅を広げる手がかりにしてください。
青息吐息(あおいきといき)
精神的な余裕がなく、困り果ててため息ばかりついているような状態を指します。体の不調というよりは、追い詰められた心情に焦点をあてた表現です。

瀕死(ひんし)
生命の危機に瀕している様子を表します。命の危うさを強く印象づけたいときに使われますよ。
臨死(りんし)
生と死の境をさまようような状態を指します。瀕死と似ていますが、臨死は一旦死んだとみなされたのに再び生き返ることも意味しますよ。
消え入る(きえいる)
声や息がだんだん小さくなって、まもなく絶えそうな状態を描写する言葉です。
いまわの際(きわ)
臨終の直前を意味する言葉です。限られた最後の瞬間を表す際に使われます。
「虫の息」は英語でどう表現する?
「虫の息」という表現を英語で伝える場合、いくつかの言い回しがあります。いずれも「息も絶え絶え」「かすかに呼吸している」「命が尽きそう」といったニュアンスを含んでいます。
フレーズとともに、例文を紹介していきましょう。

be breathing very faintly(かすかに呼吸している)
例:She was breathing very faintly after the long hike.
(長いハイキングのあと、彼女は虫の息のようだった。)
be hardly breathing(ほとんど息をしていない)
例:The kitten was hardly breathing when they found it.
(その子猫は発見されたとき、ほとんど虫の息だった。)
be almost lifeless(ほとんど生気がない)
例:He lay on the ground, almost lifeless.
(彼は地面に倒れ、まるで虫の息のようだった。)
参考:『プログレッシブ和英辞典』(小学館)
最後に
「虫の息」の意味や使い方を知ることで、この言葉の持つ繊細な響きがより身近に感じられたのではないでしょうか。類語も知ることで、言葉の選び方ひとつで、気持ちの伝わり方が変わることもあるのだと、改めて気づかされますね。
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