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「同じ釜の飯を食う」の正しい意味
「同じ釜の飯を食う」とは、同じ場所で寝食を共にした親しい間柄を意味する言葉です。共に生活した経験を、ひとつの釜からご飯を食べることにたとえています。
同(おな)じ釜(かま)の飯(めし)を食(く)・う
出典:小学館 デジタル大辞泉
生活を共にした親しい仲間であることのたとえ。「—・った仲」
「同じ釜の飯を食う」間柄は、スポーツのチームメイトだったり、寮や宿舎の仲間だったりするかもしれません。いずれにしても、互いに打ち解けた親しい仲を指す言葉といえます。
「同じ釜の飯を食う」を使った例文
「同じ釜の飯を食う」は、日常生活で以下のように活用できます。共同生活を通じて強い絆を築いた仲を指す言葉として、例文を参考に会話の中で取り入れてみてください。
・今さらそんな水臭いことを言うなよ。僕と君は、同じ釜の飯を食った仲間じゃないか
・彼とは高校時代に同じ部に所属し、同じ釜の飯を食った仲です
・同じ釜の飯を食った彼は、今でも誰より信頼できる相手だ
・同じ釜の飯を食ったチームメイトとの歳月は、今でもかけがえのない思い出として心に存在している
・初対面かと思ったが、2人は大学時代に同じサークルに所属していたらしい。どうやら同じ釜の飯を食った仲のようだ
「同じ釜の飯を食う」の類語や言い換え表現
「同じ釜の飯を食う」には、以下のような類語や言い換え表現があります。
・戦友(せんゆう)
・僚友(りょうゆう)
・盟友(めいゆう)
ここでは、それぞれの意味について紹介します。「同じ釜の飯を食う」とのニュアンスの違いも確認していきましょう。
戦友(せんゆう)
「戦友」には、戦場で共に戦った友という意味のほか、仕事やスポーツなどで厳しい競争を共にした仲間という意味合いがあります。
仲間という意味では「同じ釜の飯を食う」関係と同様です。ただ戦友では、厳しい競争や、苦楽を共にしたニュアンスが強いともいえます。
また、生活を共にした関係に限らないことも「同じ釜の飯を食う」との違いといえるでしょう。
僚友(りょうゆう)
「僚友」は、同じ職場の仲間を指します。似た言葉に「同僚(どうりょう)」がありますが、こちらは職場が同じなだけで、友人関係に限定されません。
「同じ釜の飯を食う」との大きな違いは、関係が仕事仲間に限られること。親しい間柄であっても、プライベートやスポーツなどのチームメイトとしての間柄は「僚友」には含まれない点に注意が必要です。
盟友(めいゆう)
かたい約束を結んだ間柄は「盟友」と言い表します。こころざしや主義主張を同じくする「同志」(どうし)という意味も持つ言葉です。
「盟友」の場合、「同じ釜の飯を食う」のように生活を共にした関係もあれば、そうではない関係も存在します。また、約束をしたり、同じ考えを持っていたりすることが大きな特徴です。
「同じ釜の飯を食う」のように人間関係を表す四字熟語
ここからは「同じ釜の飯を食う」のような人間関係を表す四字熟語についてみていきましょう。
・一蓮托生(いちれんたくしょう)
・肝胆相照(かんたんそうしょう)
・水魚之交 (すいぎょのまじわり)
お互いの関係性によっては、これらの四字熟語のほうが、より近い表現になるかもしれません。また、関係性を端的に表現したいときにも四字熟語は役立ちます。
具体的な使用例とともに、それぞれの意味について確認しましょう。
一蓮托生(いちれんたくしょう)
「一蓮托生」とは、仏教をもとにした四字熟語です。死後は極楽浄土へ辿り着き、同じ蓮華の上に生まれ変わるという意味があります。
それらの意味が転じて、結果の善し悪しにかかわらず、行動や運命を共にすることを指す言葉として使われています。
結果に囚われずに行動する「一蓮托生」は、相手との絆の深さを表す四字熟語といえるでしょう。日常生活では、以下のように活用してみてください。
・このチームでチャレンジできるなら、たとえ失敗したってかまわない。みんなとは一蓮托生の関係だ
・一蓮托生、どんなときも仲間と共に力を合わせ、目標に向かいチャレンジしていきます
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肝胆相照(かんたんそうしょう)
心から親しく付き合う関係は「肝胆相照」と言い表すことができます。「肝胆」とは肝臓と胆嚢(たんのう)のことで、心の底や真心のたとえです。また、2つの臓器は近くに存在することから、親密な関係を表しています。
「同じ釜の飯を食う」も親しい間柄を示す言葉ですが、より親密で心の奥底までわかりあっているような関係の場合は、「肝胆相照」の四字熟語を使ってみるのもよいでしょう。
・彼とは幼いころから家族ぐるみの付き合いで、今でもどんなことでも打ち明けられる肝胆相照な関係だ
・彼女のような肝胆相照な友人とは、今後、出会うこともないだろう
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水魚之交 (すいぎょのまじわり)
「水魚之交」とは、魚が水を離れて生きていけないように、切っても切れない親密な関係を表した言葉です。君主と臣下の関係を指すこともあれば、夫婦仲のよさを表現することも。
また、そういった関係を結ぶことは「水魚之交を結ぶ」と言い表します。
・友人夫婦は本当に仲がよく、まさに水魚之交といった関係だ
・共に事業を立ち上げた彼とは、水魚之交を結んだ仲だ
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「同じ釜の飯を食う」を日常会話で正しく活用しよう
「同じ釜の飯を食う」は、生活を共にした親しい間柄を指す言葉です。かつて苦楽を共にしたチームメイトや、同じ経験を共有した仲間などに対して用いられます。
言い換え表現には「戦友」や「僚友」などが挙げられますが、細かなニュアンスは「同じ釜の飯を食う」とは異なります。より端的に相手との仲を表したいときは、四字熟語の使用も検討してみましょう。
いずれも、それぞれの意味を正しく理解したうえで使い分けることが大切です。「同じ釜の飯を食う」の意味や例文を参考に、ぜひ日常生活やビジネスシーンでの会話に取り入れてみてください。
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