この記事のサマリー
・「破天荒」は、前人未到のことを初めて成し遂げるという意味を持つ言葉です。
・「豪快」「大胆」「型破りな性格」は、本来の「破天荒」の意味とは異なります。混同に注意が必要です。
・言い換えは「前代未聞」「未曾有」「前例のない」などが近い表現として使えます。
「破天荒な人」「破天荒な挑戦」など、日常でも見聞きする言葉ですが、いざ説明しようとすると少し迷うことはありませんか? なんとなく勢いのある言葉として使っていると、実は意味が違ったりしていることも…。
由来や使い方、似た言葉との違いをたどると、「破天荒」という言葉の理解が深まります。まずは身近な例から一緒に確かめていきましょう。
「破天荒」とは?
まずは、「破天荒」の読み方と意味から見ていきます。

「破天荒」の読み方と意味
「破天荒」は、「はてんこう」と読みます。意味を辞書で確認しましょう。
は‐てんこう〔‐テンクワウ〕【破天荒】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名・形動]前人のなしえなかったことを初めてすること。また、そのさま。前代未聞。未曽有(みぞう)。「―の試み」「―な大事業」
本来の意味は「今まで誰も成し遂げなかったことを初めて成し遂げること」です。
「前代未聞」、「未曾有(みぞう)」「前例のない」などが類語や言い換え表現として挙げられます。
「破天荒」の由来
「破天荒」の語源は、「唐摭言(とうせきげん)」「北夢瑣言(ほくむさげん)」の故事にあります。唐の時代、官吏登用試験という国家試験で一度も合格者を出したことのない荊州(けいしゅう)は「天荒」と呼ばれていました。ここでいう「天荒」とは、未開の荒地やそのような状態を指しています。
そうした中、劉蛻(りゅうぜい)が初めて官吏登用試験に合格しました。そのとき、「天荒を破った」と称されたことから、「破天荒」という言葉が生まれたといわれています。
「破天荒」の誤用に要注意
現代では「豪快な人」「大胆な性格」「型破りな行動」という意味で使われることもあります。しかし、本来の「破天荒」は、性格や人柄そのものを表す言葉ではありません。今まで誰も成し遂げなかったことを、初めて成し遂げることを指します。
文化庁が発表した令和2年度の「国語に関する世論調査」では、「破天荒」を本来の意味である「だれも成し得なかったことをすること」と答えた人は23.3%でした。一方、本来の意味ではない「豪快で大胆な様子」と答えた人は65.4%にのぼっています。
たとえば、「破天荒な性格」と言いたい場合は注意が必要です。単に大胆な人、自由な人、常識にとらわれない人を表したいなら、「大胆」「型破り」「自由奔放」「常識にとらわれない」などの言葉のほうが自然です。
一方で、誰も実現していなかったことを初めて成し遂げた場合には、「破天荒な試み」「破天荒な偉業」と表現できます。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「破天荒」の使い方を具体的な例文でチェック
「破天荒」は、単に大胆な行動や目立つ言動を表す言葉ではありません。使うときは、「それまで誰も成し遂げていなかったことを、初めて実現したか」を確認すると、誤用を避けやすくなります。ここでは、本来の意味に沿った使い方を例文で見ていきましょう。
「彼はこの大会で史上最年少優勝という破天荒な偉業を達成した」
この例では、過去に誰も達成していなかった「史上最年少優勝」という記録を実現したことを「破天荒」と表現しています。単に優勝したことではなく、「前例のない記録を初めて成し遂げた」という点がポイントです。
「その科学者の発見は、業界で前例のない破天荒な成果として注目された」
この例では、これまでの常識を変えるような、前例のない発見を「破天荒」と表現しています。
「あのスタートアップは、破天荒なビジネスモデルで市場を席巻した」
この例では、これまでにないビジネスモデルを生み出したことを「破天荒」と表現しています。ただし、単に新しい、珍しい、勢いがあるというだけでは「破天荒」とは言い切れません。業界で前例がない、または誰も実現していなかった仕組みを初めて形にした場合に使うと、本来の意味に沿った表現になります。
「破天荒」な人物から学ぶ成功の秘訣
歴史や現代において、数多くの「破天荒」な人物が存在します。彼らの偉業や成功の秘訣を知ることで、自分自身の成長につなげてみませんか?

クリストファー・コロンブス(1451―1506)
コロンブスは、イタリア生まれの航海者です。誰も足を踏み入れたことのなかった新大陸を発見し、世界の歴史に計り知れない影響を与えました。その功績は単なる航海の成功にとどまらず、人類の地理的な認識を一変させ、後世にまで続く大航海時代の幕開けを告げたのです。
未知への挑戦を恐れず、果敢に航海を成し遂げた彼の勇気と行動力は、まさに「破天荒」の極みといえるでしょう。
織田信長(1534―1582)
戦国時代において、織田信長は斬新な戦術や革命的な政策を次々と導入し、日本統一への道筋を力強く切り拓きました。信長の大胆な改革は、時代の常識を覆し、伝統に縛られない独自のビジョンを持って国を導いたのです。
その先進的な姿勢と行動力は、まさに「破天荒」と称されるにふさわしいものであり、歴史に名を刻んだ天才的なリーダー像を浮かび上がらせています。
スティーブ・ジョブズ(1955―2011)
アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズは、iPhoneやiPadといった革新的な製品を次々と世に送り出し、テクノロジー業界に新たな潮流を生み出しました。単なるガジェットの枠を超え、ライフスタイルそのものを変革した彼のビジョンと手腕は、既存の常識や市場に囚われることなく、新たな価値を創造する真の「破天荒」の象徴といえるでしょう。
ジョブズの独自のアプローチは、時代の先を行き、世界を大きく変えました。
「破天荒」に関するFAQ
ここでは、「破天荒」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q. 「破天荒」とは、どんな意味ですか?
A. 「破天荒」は、今まで誰も成し遂げていなかったことを、初めて成し遂げることを表す言葉です。前例のない試みや成果に対して使うのが、本来の意味に近い使い方です。
Q. 「破天荒な性格」は正しい使い方ですか?
A. 日常会話では使われることがありますが、本来の意味から見ると注意が必要です。「破天荒」は性格そのものではなく、前人未到のことを成し遂げることを指します。性格を表すなら「型破りな人」「大胆な人」などが自然です。
Q. 「破天荒」は褒め言葉として使えますか?
A. 使えますが、意味を取り違えないことが大切です。単に豪快な人を褒める言葉ではなく、これまで誰も実現できなかったことを成し遂げた場面で使うと、前向きな評価として伝わりやすくなります。

最後に
「破天荒」の本来の意味を知ることで、新たな視点が広がったのではないでしょうか? 前例のない挑戦をすることは勇気がいりますが、その先には大きな達成感と成長がありますね。
TOP・アイキャッチ画像/(c) Adobe Stock



