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日常会話やビジネスシーンの中で「破天荒」という言葉を耳にしたことはありませんか? その響きから「大胆で常識にとらわれない」というイメージを持つ方も多いことでしょう。しかし、この言葉の意味は意外と多くの人に勘違いされていたりもします。
そこで、この記事では、「破天荒」の正しい意味と使い方を徹底解説します。
「破天荒」とは? 本来の意味と正しい使い方を徹底解説
言葉の持つ力は大きく、正しく使うことでコミュニケーションがより豊かになったりするものです。「破天荒」もその一つ。まずは、この言葉の読み方と基本的な意味から見ていきましょう。
「破天荒」の読み方と意味
「破天荒」は、「はてんこう」と読みます。正しい意味について、辞書で確認しましょう。
は‐てんこう〔‐テンクワウ〕【破天荒】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名・形動]前人のなしえなかったことを初めてすること。また、そのさま。前代未聞。未曽有(みぞう)。「―の試み」「―な大事業」
本来の意味は「今まで誰も成し遂げなかったことを初めて成し遂げること」です。「前代未聞」、「未曾有(みぞう)」という意味も持ちます。
「破天荒」の由来
「破天荒」の語源は、「唐摭言(とうせきげん)」「北夢瑣言(ほくむさげん)」の故事にあります。唐の時代、官吏登用試験という国家試験で一度も合格者を出したことのない荊州(けいしゅう)は「天荒」と呼ばれていました。ここでいう「天荒」とは、未開の荒地やそのような状態を指しています。
そうした中、劉蛻(りゅうぜい)が初めて官吏登用試験に合格しました。そのとき、「天荒を破った」と称されたことから、「破天荒」という言葉が生まれたといわれています。
「破天荒」の誤用に要注意
現代では「豪快な」「型破りな」という意味で使われることも多いですが、本来の意味とは異なります。文化庁が発表した令和2年度の「国語に関する世論調査」でも、65.4%の人が破天荒を「豪快で大胆な様子」を意味しているとこたえたそうです。
誤用すると意図しない誤解を招く可能性もあるため、正しい意味「今まで誰も成し遂げなかったことを初めて成し遂げること」を理解して使いたいですね。
「破天荒」の使い方を具体的な例文でチェック
言葉を正しく使うためには、具体的な例文を見るのが一番です。ここでは、「破天荒」を正しく使った例をいくつかご紹介します。
「彼はこの大会で史上最年少優勝という破天荒な偉業を達成した。」
この例では、今まで誰も成し遂げなかった偉業を達成したことを「破天荒」と表現しています。
「その科学者の発見は、業界にとって破天荒ともいえる大革命だった。」
この場合も、前例のない発見や発明を「破天荒」と表現しています。
「あのスタートアップは、破天荒なビジネスモデルで市場を席巻した。」
これまでになかった新しいビジネスモデルの創出を「破天荒」としています。「前代未聞」とも言い換えられますね。
「破天荒」な人物から学ぶ成功の秘訣
歴史や現代において、数多くの「破天荒」な人物が存在します。彼らの偉業や成功の秘訣を知ることで、自分自身の成長につなげてみませんか?
クリストファー・コロンブス(1451―1506)
コロンブスは、イタリア生まれの航海者です。誰も足を踏み入れたことのなかった新大陸を発見し、世界の歴史に計り知れない影響を与えました。その功績は単なる航海の成功にとどまらず、人類の地理的な認識を一変させ、後世にまで続く大航海時代の幕開けを告げたのです。
未知への挑戦を恐れず、果敢に航海を成し遂げた彼の勇気と行動力は、まさに「破天荒」の極みといえるでしょう。
織田信長(1534―1582)
戦国時代において、織田信長は斬新な戦術や革命的な政策を次々と導入し、日本統一への道筋を力強く切り拓きました。信長の大胆な改革は、時代の常識を覆し、伝統に縛られない独自のビジョンを持って国を導いたのです。
その先進的な姿勢と行動力は、まさに「破天荒」と称されるにふさわしいものであり、歴史に名を刻んだ天才的なリーダー像を浮かび上がらせています。
スティーブ・ジョブズ(1955―2011)
アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズは、iPhoneやiPadといった革新的な製品を次々と世に送り出し、テクノロジー業界に新たな潮流を生み出しました。単なるガジェットの枠を超え、ライフスタイルそのものを変革した彼のビジョンと手腕は、既存の常識や市場に囚われることなく、新たな価値を創造する真の「破天荒」の象徴といえるでしょう。
ジョブズの独自のアプローチは、時代の先を行き、世界を大きく変えました。
「破天荒」の精神を日常生活やビジネスに取り入れる方法
「破天荒」の精神は、私たちの日常やビジネスにも生かすことができます。新たな挑戦を恐れず、前例のない道を切り開くためのヒントを紹介します。
自分自身が「破天荒」になるための考え方
まず重要なのは、「失敗を恐れない心」を育むことです。新しいことに挑戦する際には、不安や恐れがつきまとうものですが、それを恐れて立ち止まっていては、革新や飛躍は生まれません。
むしろ、失敗を経験することこそが、自己成長へのステップであり、さらなる成功への道を切り開くポイントとなるのです。挑戦を恐れず、逆境をもチャンスに変える強い心構えこそ、真の「破天荒」への第一歩となるでしょう。
「破天荒」になるための具体的なアクションプラン
まずは、明確な目標を設定し、その達成に向けた小さな一歩を踏み出してみましょう。例えば、新しいスキルを習得することや、異業種の人々との交流を図ることは、日常生活の中でも実践できる挑戦です。
重要なのは、自分のコンフォートゾーンを超え、未知の領域へと果敢に進む姿勢を持つこと。積み重ねた小さな挑戦はやがて大きな成果を生み出し、「破天荒」な存在へと変えていくでしょう。
チームや組織で「破天荒」の精神を育む方法
まず大切なのは、オープンなコミュニケーションを促進し、メンバー一人ひとりのアイデアや意見を積極的に取り入れる風土を作ることです。自由に発言できる環境こそが、新たな視点や斬新な発想を生み出す土壌となります。
また、挑戦を奨励し、失敗を恐れずにトライできる企業文化を育めば、メンバーは自発的にイノベーションを追求するようになるでしょう。こうした組織全体の姿勢が、革新的な成果を生み出し、真の「破天荒」な成長を実現する原動力となるのではないでしょうか。
最後に
「破天荒」の本来の意味を知ることで、新たな視点が広がったのではないでしょうか? 前例のない挑戦をすることは勇気がいりますが、その先には大きな達成感と成長があります。
あなたも「破天荒」の精神で、自分だけの道を切り開いてみませんか? その一歩が、未来を大きく変えるかもしれませんよ。
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