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2024.08.01

知っておきたい「レピュテーションリスク」|概要や防止策などを紹介

「レピュテーションリスク」とは、風評被害などにより、企業に悪い影響を与えるリスクのことを指します。私たちの仕事や生活に関係することでもあるので、意味や内容を把握しておきたいですね。この記事で紹介します。

「レピュテーションリスク」は風評リスクのこと

「レピュテーションリスク」という言葉を聞いたことはありますか? あまりなじみのない言葉かもしれませんが、実は私たちの生活に大きな影響をもたらすことがあります。今回は、レピュテーションリスクについて紹介します。

(c) Adobe Stock

意味をチェック

レピュテーション‐リスク【reputation risk】
企業に対する否定的な評価や評判が広まることによって、企業の信用やブランド価値が低下し、損失を被る危険度。評判リスク。風評リスク。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

レピュテーションリスク(reputation risk)の「reputation」が意味するのは、評判、世評、噂などです。「risk」は、危機、危害の恐れ、危険なものなどを表します。

企業に関するネガティブな印象や評価が広まってしまうと、企業ブランドは急速に価値を失います。また、企業が築いてきた信用も著しく低下するでしょう。しかし、一度低下した価値を短期間で向上させるのは難しいことが多いため、企業はすばやく適切に対応する必要があります。

レピュテーションリスクとなりうる例

レピュテーションリスクになりうるケースを見ていきましょう。

・アルバイトがレストランの厨房の中で悪ふざけをしている動画をSNSで発信した。
・メニューに記載している食材とは異なるものを使用しているのに、それを隠していることが内部告発によりSNSで明かされた。
・ユーザーと思われる人からサービスに対するネガティブな口コミが投稿された。

悪評は、SNSやインターネットの口コミなどを通じて瞬時に拡散されます。その後、マスコミが取り上げることでさらに広まり、気づいた時には取り返しのつかない事態に発展するケースも少なくありません。

なぜ注目されるの? 背景を紹介

レピュテーションリスクが注目される背景には、インターネットやSNSの情報拡散力が大きく関係しています。インターネットが普及する以前に比べ、人々が簡単に情報を発信できるようになりました。その結果、いい評判だけでなく悪い評判も広まりやすくなったのです。

インターネットやSNSで情報が拡散されると、それを完全に消去することはほぼ不可能です。また、悪評を訂正したり否定したりしたくても、その拡散スピードに追いつくことは難しいでしょう。

レピュテーションリスクが発生すると、売上の低下や信用の失墜を招きます。その結果、企業のブランド力が低下し、深刻な場合には企業の倒産につながることもあるのです。

これらのリスクを防ぐためにも、企業はレピュテーションリスク対策を講じる必要があります。

レピュテーションリスクが生じる原因となるのは?

ここからはレピュテーションリスクが発生する原因を見ていきましょう。

(c) Adobe Stock

社員による不祥事

社員による不祥事は、レピュテーションリスクの発生原因になる可能性が高いです。具体例を以下に挙げましょう。

・顧客情報の流出
・ハラスメント行為
・製品などへの異物混入
・顧客や取引先に対する不適切な対応 など

レピュテーションリスク発生の原因になるのは、正社員だけではありません。アルバイトやパート、派遣社員が原因になることもあります。

実際、アルバイトによるバイトテロ(アルバイト中にいたずらや迷惑行為をして、それをSNSで拡散すること)がSNSやメディアで問題になった事例が多数あります。

企業の不祥事

企業による不祥事も、レピュテーションリスク発生の大きな原因です。原因となる可能性のある事柄は次の通りです。

・食品などの賞味期限や産地偽装
・業績悪化
・企業の隠蔽体質
・商品やサービスの品質低下
・劣悪な雇用環境
・クレーム対応の不備
・コンプライアンス違反 など

トラブルが発生した際、企業対応が適切でないと、さらに評判や信用は失墜するでしょう。対応のまずさが火に油をそそぐ形になり、炎上するケースも少なくありません。また、近年は内部告発により、企業の不正や隠蔽体質が明らかになるケースも多く見られます。

業績悪化も、レピュテーションリスクの一つです。「この会社、経営危機らしいよ」という憶測は、あっという間に広がります。たとえ事実でなくても企業に大きな被害をもたらすリスクがあります。

根拠のない風評被害もある

事実ではなく根拠もないのに、よくない噂が広まり、風評被害につながるケースも多くあります。個人的な感情による事実無根の誹謗中傷や口コミが深刻な事態を招いたり、ささいなジョークが誤った解釈を生み、大きな騒ぎになることもあるでしょう。

レピュテーションリスクを防ぐには

ここからはレピュテーションリスク発生を防ぐ方法を見ていきましょう。企業はどのような対策を講じればいいのでしょうか?

(c) Adobe Stock

徹底した社員教育

社員やスタッフの不祥事を防ぐためには、徹底した社員教育が欠かせません。情報漏洩やハラスメント、バイトテロなどは、知識や認識の不足により生じる可能性があります。また、不祥事が起こった場合の処罰を明確にしておくことも必要です。

情報の取り扱いに関しては、明確なマニュアルを定めるとともに、保管場所や管理方法についても周知徹底し、情報管理を厳重に行う仕組みを整えることが大切です。そのため、管理職に対する教育も重視しなければなりません。

企業による積極的な情報発信

レピュテーションリスクの対策には、企業による積極的な情報発信も含まれます。SNSで公式アカウントを開設し、正しい情報を積極的に発信するのも一つです。企業からの情報発信がないと、消費者は噂や評判を信じやすくなるでしょう。しかし、企業が積極的に情報発信することで、誤解や事実誤認を防ぐことができます。

雇用環境の改善

商品やサービスのクオリティ低下や社員によるハラスメント行為などは、雇用環境がよくないことが起因となるケースもあります。長時間労働や不適切な人員配置、コミュニケーション不足などから、レピュテーションリスクにつながるケースもあるのです。

雇用環境の改善に取り組むことで社員の満足度が向上すれば、結果としてレピュテーションリスクの防止にもなるでしょう。企業は社員などの声をしっかりキャッチし、改善ポイントを把握した上で、雇用環境改善に取り組むことが求められます。

チェック体制の強化

チェック体制の強化も、レピュテーションリスクの防止に有効です。不正を発見しても、内部の圧力により「なかったこと」にされる可能性があるからです。監視を強化するためのチェック体制を整えることで、不正行為やコンプライアンス違反の防止につながります。さらに、外部によるチェック体制を導入することで、より高い効果が期待できるでしょう。

最後に

レピュテーションリスクについて紹介しました。レピュテーションリスクが発生する原因にはさまざまなものがあります。対策を講じる企業は増えていますが、情報を取得する側のユーザーも、安易に情報を拡散することは避けるほうがいいでしょう。

TOP画像/(c)Adobe Stock

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