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2024.08.02

「ランチェスターの法則」を知っていますか? 概要や生かし方を紹介

「ランチェスターの法則」は、企業が競合に勝つために活用されています。軍事戦略をもとにしてつくられた法則ですが、現在はビジネスシーンで注目を集めているんですよ。今回は「ランチェスターの法則」を紹介します。

「ランチェスターの法則」って?

「ランチェスターの法則」を知っている人はあまり多くないかもしれません。強者と弱者の戦い方の違いを述べた法則ですが、現在はビジネスにも活用されています。企業が注目する「ランチェスターの法則」について見ていきましょう。

(c) Adobe Stock

辞書によると…

【ランチェスターの法則】
戦闘による兵士の損耗率を、敵味方の兵数と武器の性能から計算した法則。英国の自動車・航空技術者フレデリック=ランチェスターが第一次大戦の記録から導き出した。刀剣などによる戦いでは攻撃力(敵を損耗させる能力)は兵数に比例するが、銃器や航空機などによる戦いでは攻撃力は兵数の2乗に比例するとした。→ランチェスター戦略

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

ランチェスターの法則は、弱者と強者の戦略の違いを表したものであり、弱者と強者はそれぞれどう戦うべきかを示しています。

ランチェスターの法則は2つある

ここからはランチェスターの法則の内容を見ていきましょう。ランチェスターの法則は2つあります。

第1法則(弱者の戦略)

第1法則は、小規模な戦闘や接近戦で有効な戦略です。この法則では、兵力の強さは兵士数に比例します。

たとえば、5人対2人の戦いを考えてみましょう。この場合、狭い場所や1対1の状況で戦闘が行われると、各兵士の戦闘力は個別の力として発揮されます。攻撃力は兵士数に比例し、以下のように表されます。

第1法則:戦闘力=兵士数×武器効率

第2法則(強者の戦略)

第2法則は、大規模な戦闘や広域戦で有効な戦略です。この法則では、兵力の強さは兵士数の二乗に比例します。

再び、5人対2人の戦いを想定しましょう。今回は広い戦場での銃撃戦です。この場合、各兵士が敵から受ける攻撃の確率は、味方の人数に依存します。5人の軍は、それぞれが敵2人からの攻撃を受ける確率が5分の2であり、敵の攻撃力が集中します。一方で、2人の軍は、敵5人からの攻撃を受ける確率が2分の5となり、劣勢になりますね。

このような状況では、戦闘力は兵士数の二乗に比例し、次のように表されます。

第2法則:戦闘力=(兵士数の2乗)×武器効率

大規模な戦闘では、兵士数の増加が戦闘力に対してより大きな影響を与えます。

ランチェスターの法則を応用したのが「ランチェスター戦略」

第1法則と第2法則、どちらの場合も2人の軍が最終的には敗北します。しかし、第1法則の戦いでは、2人の軍が敵兵をより多く倒しています。これはつまり、兵力が劣る場合には、接近戦が有利であることを示しているのです。

一方で、5人の軍に視点を移しましょう。この軍の場合、武器が同じであれば、広域戦のほうが生き残る兵士数は多くなることがわかります。兵士数の多さが戦闘力に大きな影響を与え、集団戦でその優位性が発揮されるのです。

したがって、兵力に大きな差がある場合、弱者は強者と同じ戦略をとっても勝ち目はありません。弱者であるならば、接近戦や局所戦に持ち込むなど、自分の強みを活かす戦術を考える必要があるのです。

この考え方をビジネスに応用したのが、「ランチェスター戦略」です。

ビジネスにおけるランチェスター戦略

ランチェスター戦略をビジネスに応用する方法を見ていきましょう。まずは、ビジネスにおける強者と弱者の考え方を紹介します。

(c) Adobe Stock

ビジネスでは「シェア率」で考える

ビジネスでランチェスター戦略を応用する場合、強者か弱者かを判断する基準となるのは、マーケットにおけるシェア率です。

強者とは、その分野でもっとも高いシェアを持つ企業のこと。それ以外はすべて弱者とみなします。自社が強者か弱者かを見極める際は、シェア率を基準にするのが適切でしょう。

弱者が強者に勝つには?

弱者(シェア率2位以下の企業)は、強者(シェア率トップの企業)と同じ戦略をとっても勝つことは難しいでしょう。そのため、弱者がとるべき戦略として以下のようなものがあります。

・特定分野に経営資源を集中させる。
・ライバルより先に差別化を図る。
・自社の独自性を追求し、顧客の支持を獲得する。

対して、強者に有効とされるのは、次の戦略です。

・弱者が開拓した分野に大量の経営資源を投入し、シェアを奪う。

第1の法則は、中小企業やベンチャー起業向け

ここからは、ランチェスター戦略を企業にあてはめて、とるべき戦略を紹介します。まずは、第1の法則の活用方法について見ていきましょう。

大手企業が狙わない場所を狙う

「兵力=従業員数や資本などのリソース」と考えた場合、中小企業やベンチャー企業は、第1の法則に基づいて、戦略を立てるのが有効とされています。

中小企業やベンチャー企業は、大手企業と比べてリソースが限られています。そのため、リソースの「質」を高めることが求められるでしょう。例えば、大手企業があまり関心を持たないニッチなマーケットや、まだ成熟していない新興市場を狙って開拓することが重要です。この際、競合他社との差別化を図り、リソースを一点集中させることで、効率的に勝機を掴むことが可能になります。

第2の法則は、大手企業向け

一方、第2の法則は、豊富なリソースを持つ大手企業に適した戦略とされています。

資本力でシェアを奪う

大手企業は、そのブランド力や十分なノウハウ、資本力といった総合力を活かして、広域戦を展開することが基本戦略となります。多くの市場に積極的に参入し、広く事業展開を行うことで、競合企業を圧倒することができるでしょう。

さらに、強者の特権として、後発で市場に参入し、類似商品やサービスを展開してシェアを奪うことも可能。リソースを効果的に活用して市場を支配することが、大手企業の戦略の基本です。

ランチェスター戦略を応用するメリット

ここからはランチェスター戦略を応用するメリットを見ていきましょう。2つ紹介します。

チェンジ
(c) Adobe Stock

弱者が強者に勝てる

新規に事業を立ち上げる場合、多くの企業は弱者からスタートすることになります。新規事業開発においてランチェスター戦略を活用し、適切な戦い方を選択することで、限られたリソースを効果的に活かし、強者と戦う上での優位性を確保することができます。こうした戦略により、時間と共に市場でのポジションを強化し、最終的には強者になる可能性が高まります。

戦略立案がスムーズ

ランチェスター戦略を応用すると、戦略の方向性が明確になり、スムーズに戦略立案を進めることができます。具体的な行動計画を立てやすくなり、戦略の迷いやブレが生じることを防ぐこともできますね。戦略を効率的に実行するための基盤が整えば、企業が目標に向かって一貫性を持って進むことが可能になるでしょう。

最後に

「ランチェスターの法則」と「ランチェスター戦略」について、概要などを紹介しました。これらを事業の新規参入に応用しながら戦略を練ることが注目されています。ポイントを確実に押さえれば、強者になれる可能性が高まるでしょう。

TOP画像/(c)Adobe Stock

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