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2024.07.19

知っておきたい「ダイバーシティ」|意味や種類、注目される理由を紹介

ニュースなどにも登場する「ダイバーシティ」は、多様性を意味する言葉です。最近ではビジネスシーンで見聞きする機会が増えました。今後、さらに注目され、重視されるであろう「ダイバーシティ」について紹介します。

ダイバーシティとは

多様性という意味の「ダイバーシティ」は、働き方改革などで注目されている言葉です。この言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、明確な意味まではわからないかもしれません。働き方にかかわることですので、ダイバーシティについて把握しておきたいですね。

今回は、ダイバーシティについて、意味や特徴、関連する言葉などを紹介します。

(c) Adobe Stock

意味

まずは辞書で意味を確認しましょう。

ダイバーシティ【diversity】
《「ダイバシティー」とも》
1:多様性。相違点。
2:企業で、人種・国籍・性・年齢を問わずに人材を活用すること。こうすることで、ビジネス環境の変化に柔軟、迅速に対応できると考えられている。
3:携帯電話などで、複数のアンテナで電波を受信し、受信状況の良い方を使う技術。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用


「diversity」がカタカナ語として根付いたのが「ダイバーシティ」です。「ダイバーシティ」もしくは「ダイバシティー」と表記します。

一般的によく使われるのは「1」の意味かもしれません。価値観や人種、趣味嗜好などに関連して、よく用いられています。

ビジネスシーンでよく使われるのは「2」の意味でしょう。多様な人材を活用することで、組織の活性化を高める経営戦略の一つとして知られています。

ダイバーシティは2つに分類される

ダイバーシティは2つに分類されます。それぞれが表す内容を見ていきましょう。

表層的ダイバーシティ

表層的ダイバーシティは、外から見て判断しやすい属性に分類したものです。

・性別
・年齢
・民族
・人種
・障害の有無 など

表層的ダイバーシティは、外見や簡単に観察できる特徴に基づく多様性だといえます。

深層的ダイバーシティ

外から見て判断しにくい内面的な特徴や価値観、信念に基づく多様性が、深層的ダイバーシティです。

・能力やスキル
・職務経験や職務上の役割
・価値観
・信念
・性格 など

深層的ダイバーシティは、時間をかけて相互理解を深めることではじめて見えてくるものばかりです。

ダイバーシティはなぜ注目されるのか

アメリカで生まれたとされるダイバーシティがなぜ日本で注目されるようになったのでしょうか? その理由は多岐にわたりますが、その中から3つの要因を紹介します。

(c) Adobe Stock

人手不足

時代とともに、日本社会は大きく変化しています。特に少子高齢化は深刻な社会問題となっており、解決の糸口すらつかめていないというのが現状です。今後、さらに減少すると予想されている労働力人口(15歳以上の就業者と完全失業者を合計した数)をカバーするには、外国人や高齢者、女性など多様な人材の雇用が必要になります。

また、人手不足が加速すると、商品やサービスがスムーズに提供されなくなるおそれがあります。慢性的な人手不足が原因で、倒産や廃業を選ぶ企業も増えるでしょう。労働力不足を解消するためにもダイバーシティは今後ますます必要になると考えられています。

企業のグローバル化が加速

海外市場に進出したり、生産拠点を海外に構える企業が増えているといわれます。世界規模でやりとりをする日本企業が増え、国際競争は激しくなりました。また、消費者のニーズが多様化し、それにマッチする商品やサービスの開発が求められるようになっています。

これらの影響もあり、企業はダイバーシティの考え方を拡大しながら、人材育成に力を入れ始めました。企業のグローバル化は、ダイバーシティを広めるきっかけになったといえるでしょう。

働くことに対する価値観の変化

人々の働くことに対する価値観も多様化していますよね。会社員として働くことにこだわらず、自分のやりたい仕事をしようと考える人が増えました。また、ワークライフバランスを重視し、仕事と生活の比重を自分で選ぼうとする考え方も広まりつつあります。女性のキャリアアップが進んだことにより、家庭における男性の役割も変化しています。

価値観の変化により、従来の雇用意識や価値観がベースとなる制度やルールの見直しを図ることが急務になりました。働く環境に、ダイバーシティの要素を積極的に取り入れることが求められているといえるでしょう。

企業におけるダイバーシティの推進

企業においてダイバーシティを推進する場合、具体的に行われる取り組みには次のものがあります。

・育児休業や介護休業の制度を整備し、利用しやすくする。
・休業後の復職支援制度を設置し、充実させる。
・フレックスタイムやテレワーク、サテライトオフィスを導入するなどして柔軟に働ける環境をつくる。
・相談窓口や担当役員を設置し、相談しやすい環境を整備する。
・キャリア形成に対する支援を行い、誰もが平等に支援を受けられるようにする。
・社内全体の意識改革を実施し、ダイバーシティに対する理解を深める。

上記に加え、女性の役職登用促進や、外国人や障害者、シニア世代の積極的雇用なども、ダイバーシティの推進に貢献します。

ダイバーシティに関連する言葉

ここからはダイバーシティに関連する言葉を紹介します。それぞれの意味を把握しておきましょう。

(c) Adobe Stock

ダイバーシティー教育

ダイバーシティー教育とは、お互いの多様性(人権や性別、文化、国籍、宗教、価値観など)を理解し、尊重し合う態度や考え方、行動を促す教育のことです。これは、子供たちの多様性に配慮した教育や、子供たちに多様性に関する気づきを与えることなどを指します。

ニューロダイバーシティ

脳の神経学的な多様性のことを、ニューロダイバーシティー(neurodiversity)といいます。ニューロ(neuro)は、脳や神経を意味します。

経済産業省では、ニューロダイバーシティを「脳や神経、それに由来する個人レベルでのさまざまな特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方を指すと解説しています。

自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症、学習障害といった発達障害において生じる現象を、神経学的な障害と捉えず、「人間のゲノムの自然で正常な変異」と捉える考え方です。この概念を広めることで、発達障害のある人が持つ特性(発達特性)を生かし、活躍できる社会の実現を目指しています。

参照:経済産業省「ニューロダイバーシティの推進について

最後に

ダイバーシティは、多様な人々が互いに理解し尊重し合う社会を築くための重要な概念だとわかりました。誰もが安心して働いたり、暮らすことのできる社会の実現にダイバーシティは必要不可欠であるとされています。

ダイバーシティを導入し活用する企業は、今後さらに増えるでしょう。私たち自身もダイバーシティの重要性を理解し、日々の生活や職場で実践に努めていきたいですね。

TOP画像/(c)Adobe Stock

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