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「象徴」の意味とは?
「象徴(しょうちょう)」という言葉、皆さん正しく理解していますか? 言葉そのものは知っていても、きちんと説明できる人はなかなかいないのではないでしょうか。今日は、そんな「象徴」という言葉の意味や使い方、また類語や英語表現、「象徴○○」といった言葉のご紹介まで、丁寧に解説していきますので、じっくり見ていきましょう。
「象徴」の意味
【象徴(しょうちょう)】
抽象的な思想・観念・事物などを、具体的な事物によって理解しやすい形で表すこと。また、その表現に用いられたもの。シンボル。「平和の―」「現代を―する出来事」
<「小学館 デジタル大辞泉」より>
「象徴」とは、「目に見えない抽象的な思想・概念・意味などを、具体的な物や図形によってわかりやすく表現すること」、また「抽象的観念を具体的な物で表現したシンボル」を意味する言葉です。簡単にいうと、<抽象的なもの>をわかりやすく別の<具体的なもの>で表現したもの、そのものを「象徴」と言います。
「象徴○○」はどんなものがある?
とあるクイズ番組のようですが、皆さんは、頭に「象徴」のついた四文字の漢字、いくつ思い浮かぶことができますか? ここでは「象徴○○」をいくつかご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
「象徴主義」
19世紀後半のヨーロッパ、主にフランスとベルギーで台頭した芸術の潮流です。フランス語の「symbolisme(サンボリズム)」を語源とし、目に見えない人間の内面や観念などを象徴的に表現する事を目指す運動でした。
この運動は、詩人のジャン・モレアスにより文学界から始まり、詩の暗示的・隠喩的な表現や、音楽性の重視を提案し、近代史に大きく影響を与えました。その後、19世紀末に開花したアール・ヌーヴォーの国際的な美術運動まで広がりを見せたと言われています。
「象徴機能」
物事を何かの別のものに置き換えて、それが目の前に存在しない時にも言葉や記号によって表現する機能のこと。「象徴機能」の代表的なものが、ずばり「言葉」です。例えば、ウサギのぬいぐるみと写真のウサギを、同じ“ウサギ”と認識するといった事象です。人は1歳後半から、この「象徴機能」が発達していきます。
「象徴遊び」
目の前にあるものを、それ以外のものに見立てて何かの「ふり」をする遊びの事を、「象徴遊び」と言います。いわゆる「ごっこ遊び」や「ままごと」のことで、2歳から5歳の間で活発になり、言語能力や社会性などが身につき、子供の成長において重要な役割を担っています。
「象徴」の使い方は? 例文でチェック
では、「象徴」という言葉を使った例文をいくつか紹介していきます。
「キジは日本を象徴する動物であり、国鳥として選定されている」
皆さん、日本の国鳥、ご存じでしたでしょうか? 世界にはその国を象徴する鳥が色々いて、アメリカであれば「ハクトウワシ」、イギリスであれば「ヨーロッパコマドリ」、インドは「インドクジャク」などと言われています。その他、花や蝶、楽器や石など、各国を象徴するものが色々あり、調べてみるのもおもしろいです。
「鳩は平和の象徴だ」
平和の象徴として、オリーブの枝をくわえた鳩がよく表現されますが、その由来は旧約聖書に登場する『ノアの方舟』の話からきていることをご存じでしたか? 神の怒りにより引き起こされる大洪水から、主人公ノアが巨大な方舟を造り、世界中の動物のつがいを一組ずつ乗せ守った話です。
大洪水によって地上のあらゆる生命が息絶えましたが、後日、鳩を視察に放つと、オリーブの枝を加え帰ってきたことで、大地から水が引き、神の罰が終わりを迎えたことを知ることになります。そのことから、鳩は、神と人間の和解により訪れた平和な世界の象徴として表現されることとなったのです。
「『奇跡の一本松』は、復興の象徴であり、あの日を忘れさせぬ存在となっている」
福島県南相馬市の、かしまの一本松は、あの東日本大震災の大津波にも流されずに耐え、被災者をはじめとする多くの人たちの希望の象徴となっています。2020年7月の集中豪雨により甚大な被害に遭った熊本県の被災地に、この『奇跡の一本松』の木くずでできた布マスクが、NPO法人により送られているそうです。
「象徴」の類語にはどのようなものがある?
「象徴」と似た意味を持つ言葉にはどのようなものがあるでしょうか? 早速見ていきましょう。
「表徴」
「表徴(ひょうちょう)」には二つの意味があり、一つは「外面にあらわれたしるし」、二つ目は、「象徴・シンボル・表象」を表します。「普通選挙は、民主主義の表徴である」、「十代のニキビは思春期の表徴である」などと使うことが可能です。
「シンボル」
こちらは聞き慣れた言葉だと思いますが、英語の「Symbol(シンボル)」のこと。象徴と同じように使うことができ、「鳩は平和のシンボルです」、「奇跡の一本松は、復興のシンボル、希望のシンボルです」と言い換えることができます。
「比喩」
「比喩(ひゆ)」とは、「ある物事を、類似または関係する他の物事を借りて表現すること」を意味します。つまり「たとえ」です。「りんごのように赤い頬」などといった文章はまさに比喩を使った表現になります。ただし、あくまでも表現方法の一つです。「比喩」自体は「象徴」の言い換えになりませんので、注意が必要です。
「象徴」の英語表現とは?
「象徴」の英語表現は、先に挙げた「symbol(シンボル)」の他、「emblem(エンブレム)」という言葉があります。また、動詞の「represent」も活用が可能です。“represent~”で「~を表す」を意味するフレーズになります。
<例文>
“In this movie, rain plays a symbolic role.”(この映画では、雨が象徴的な役割を演じている)
“The maple leaf is an emblem of Canada.”(カエデの葉は、カナダの象徴である)
“The dove represents peace.”(鳩は平和の象徴です)
「象徴」の意味を正しく理解して、類語も含めて活用を
「象徴」の意味や使い方、類語表現や英語表現などをご紹介しました。普段何気なく耳にする「象徴」という言葉ですが、深堀りするとおもしろい発見があります。身の回りにある様々な「象徴」を探してみてください。
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