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2024.07.19

アンコンシャスバイアスとは? 意味とそのパターン、及ぼす影響を解説!

アンコンシャスバイアスとは、無意識の偏見や先入観のこと。経験則によって、自分でも気づかないうちに身につけたもので、本人が意識しないところで、行動や意思決定に影響を与えることも。本記事では、アンコンシャスバイアスの意味やパターン、及ぼす影響について解説します。

「若い人は経験が足りない」とか「子育て中の人は仕事に集中できない」などと感じたことはありませんか? これらは「アンコンシャスバイアス」と呼ばれる、偏見の一例です。

本記事では、このアンコンシャスバイアスについて詳しく解説し、その影響や克服方法を紹介します。

アンコンシャスバイアスとは?

人が無意識に持っている、偏見や思い込みを「アンコンシャスバイアス」と言います。英語では、「unconscious bias」と表記されます。「無意識の偏見」ともいいますね。これは、その人の経験から、気づかないうちに身につけたもので、本人が意識しないところで、行動や意思決定に影響を与えることが多いです。

日常生活において、何かを見たり聞いたりした時に、意識しているつもりはなくても「こうに違いない!」と思い込むことはありますよね。

たとえばビジネスシーンにおいて「定時に帰宅する人は、やる気がない」とか「事務仕事は女性社員がすべきだ」などというのは、典型的な例といえるでしょう。アンコンシャスバイアスは、円滑な組織運営を行う際に、意思決定にマイナスの影響を与えることがあります。

(c) Adobe Stock

アンコンシャスバイアスのパターンとは?

アンコンシャスバイアスにはいくつかのパターンが存在し、それぞれが異なる状況や判断に影響を与えます。ここでは3つ紹介します。

1:正常性バイアス

正常性バイアスとは、危機的な状況に直面しても、「自分は大丈夫だ」とか「私には関係ない」などと過小評価し、正常な日常が続いていると信じ込む心理的な傾向を指します。このため、危機を軽視し、適切な対応を怠ることが多いです。

異常な事態に対して、「まさか自分には起こらないだろう」と考えるため、避難や準備が遅れる原因となることがあります。例えば、大地震や津波、洪水といった自然災害が迫っている時でも、多くの人が避難せずにその場にとどまってしまうことがあります。これは、日常の安定や安全な状態を保とうとする心理的な防衛反応といえます。

2:ステレオタイプバイアス

ステレオタイプバイアスとは、特定のグループやカテゴリーに属する人々について、一律に固定されたイメージや先入観を持ち、それに基づいて判断や行動をすることを指します。このような固定観念は、しばしば根拠がないか、過度に一般化されているため、個々の違いや特性を無視してしまうことが多いです。

このバイアスは、偏見や差別の原因となることが多いでしょう。ビジネスシーンにおいては、性別、年齢、人種、職業などに基づくステレオタイプバイアスがよく見られます。

たとえば「最近の若者は仕事に対して熱心ではない」といった偏見があると、若手社員が重要なプロジェクトに選ばれにくくなることがあります。

3:同調性バイアス

同調性バイアスとは、個人がグループの意見や行動に合わせることで、自分の判断や行動を変えることを指します。個々の意思決定が、グループ全体の意見に引きずられることで、本来の正確な判断や行動が妨げられることもあります。

会議で、上司や多数派の意見に逆らうことを避け、賛同することで自分の意見をおさえた経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

個々の意見を尊重し、誰もが安心して自分の意見を言える風土や文化を育むことが重要です。

アンコンシャスバイアスが及ぼす影響は?

ビジネスにおいて、アンコンシャスバイアスがもたらすネガティブな影響について、見ていきます。

(c) Adobe Stock

1:パフォーマンスやモチベーションの低下

無意識のうちに特定の性別や人種に対して低い期待を抱くと、そのグループのメンバーは公正な評価やチャンスを得にくくなります。これにより、モチベーションが低下し、自分の能力を十分に発揮できなくなることがあるでしょう。

結果として、組織全体のパフォーマンスが低下し、多様な視点やアイデアが活用されない状況が生まれます。公平な評価やフィードバックが不足すると、社員は自分の成長やキャリアパスに対して不安を感じ、仕事に対する意欲を喪失してしまうでしょう。

2: 職場の人間関係の悪化

特定のグループや個人に対する無意識の偏見が、日常のコミュニケーションに影響を与えます。たとえば、特定の人が意見を無視されたり、重要な情報から排除されたりすることで、不公平感や不信感が生まれ、職場のチームワークが損なわれることも考えられます。

また、バイアスによって形成された対人関係は、職場内でのいじめや差別の温床となる可能性があり、結果的に職場の雰囲気が悪化し、全体の士気低下につながるでしょう。

3:早期離職が進み、人材が育たない

アンコンシャスバイアスによって公正な評価や昇進の機会が妨げられると、有能な人材が不満を抱き、早期に離職するリスクが高まります。成長の機会が不平等に提供される場合、社員は自分のキャリアパスに希望を見出せず、職場にとどまる動機を失うことになるのです。

また、アンコンシャスバイアスにより特定の人がスキルを習得しにくくなると、組織全体の成長と発展が阻害されます。結果として、組織は多様な才能を開花させ、維持する能力が低下する可能性も出てくるでしょう。

アンコンシャスバイアスに気づくには?

アンコンシャスバイアスを改善するには、どのようなことに注意すればいいのでしょうか? これを機に覚えておきたいですね。

(c) Adobe Stock

1:多様性を尊重する

職場に多様なバックグラウンドや視点を持つ人々がいることで、無意識の偏見が緩和されやすくなります。採用や昇進の際に、多様な候補者を積極的に選び、平等な機会を提供することが重要です。リーダーも多様性の価値を理解し、日々の行動でそれを示すことで、組織文化に根付かせることができるでしょう。

2:フィードバックの導入

定期的なバイアスチェックとフィードバックの導入は、アンコンシャスバイアスを持続的に改善するための重要な手段といえます。意思決定の際には、複数の視点から評価を行い、公平性を保つための仕組みを整えることが大切です。フィードバックを通じて、社員は自分のバイアスを認識し、改善の機会を得ることができます。

3:教育とトレーニングの実施

組織全体でバイアスに関する教育とトレーニングを実施することも有効です。無意識の偏見がどのように形成されるか、そしてそれが個人や組織にどのような影響を与えるかを学びます。

ワークショップやeラーニングを通じて、社員が自分のバイアスを認識することが重要です。日常の業務や意思決定において、その影響を最小限に抑える方法を習得することで、改善が期待できます。

最後に

今回はアンコンシャスバイアスについて解説しました。誰もが、日常生活や仕事の中で無意識に偏見を持ってしまうことがあります。視野を広く持ち、他人を尊重し、素直な気持ちで物事に対処していくことが大切です。

アンコンシャスバイアスに気づき、克服することで、よりよい人間関係を築いていきたいですね。

TOP画像/(c)Adobe Stock

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