目次Contents
「産後のツラい腰痛」主な原因は3つ!
出産後のママに起こりやすいマイナートラブルのひとつに、腰痛があります。
これは、出産年齢に関係なく多くの方にみられる症状です。主な原因は、次の3つ。
1:ホルモンバランスによる影響
妊娠中は、骨盤を広げる“リラキシン”というホルモンが分泌されます。リラキシンが分泌されることで、骨盤の結合組織が緩む→骨盤が歪む→そのまわりの筋肉のバランスが崩れて、腰痛を引き起こしやすくなると言われています。
2:育児中の不良姿勢
料理、洗濯物をたたむ、掃除機をかけるなど、毎日の家事は前かがみの姿勢でおこなわれがちです。そこへ赤ちゃんのおむつ替えや抱っこ、授乳などが加わることで、前かがみの姿勢で過ごす時間がさらに増加。結果、腰にかかる負担も大きくなります。
3:筋力の低下
妊娠中に子宮が大きく膨らむと、腹筋が引き伸ばされて筋力の低下が起こると言われています。腹部の筋力が低下すると正しい姿勢の維持が難しくなり、腰や体の背面への負担が大きくなるのです。
産後の腰痛、いつまで続く?
出産から6~8週間までの産褥期(さんじょくき)は、体が徐々に回復してくる期間だと言われています。しかし、産後は自分の体を労わる時間もないまま育児生活に入ることもあり、腰痛がなかなか治らないという方も少なくありません。
また、腰痛をはじめとする体の不調の回復には個人差もあります。
そこでおすすめなのが、ちょっとしたすきま時間を使ってできるストレッチ。ただし、産後すぐに自己判断で開始するのではなく、経過が順調であることや、「いつからストレッチをしてもいいのか」を医師に確認してからおこなうと安心です。
ここからは、腰のストレッチの中でも比較的緩やかにおこなえるものをご紹介していきます。ストレッチのやり方に悩んだときの参考にしてみてください。
【寝ながら】腰痛対策・片脚の「ガス抜きのポーズ」
腰痛の緩和に効果的なヨガ「ガス抜きのポーズ」ですが、ここでは体への負担を軽くするために片脚ずつおこなっていきます。
STEP 1:仰向けになる。
▲腕は体の横にセット、脚は腰幅程度に開きます。恥骨を軽く突き上げて、お尻の上のほうを床につけると、腰が反りにくくなって◎!
STEP 2:【息を吸いながら】左ひざを胸に引き寄せる。
▲左ひざを立て、吸う息に合わせて胸に引き寄せます。両手でひざを抱えたら、手の重さを使って自然にストレッチを深めましょう。
反対側も同様におこないます。〈回数:各5呼吸〉
余裕がある場合は「4の字のポーズ」
右ひざを立て、その上に左足首を乗せます。
右脚を床から持ち上げ、両手を右ひざの裏にまわしたら指を組みましょう。
▲脚で数字の“4の字”を作ります。両手で右脚を抱えるようにしたらゆっくりとお腹に引き寄せ、腰を丸くした姿勢をキープしましょう。
反対側も同様におこないます。〈回数:各5呼吸〉
【寝ながら】腰まわりをねじるストレッチ
STEP 1:仰向けになり、ひざを立てる。
▲腕は体から少し離した位置にセットし、脚は揃えましょう。骨盤をうしろに傾けると恥骨がグッと天井方向に向いて、腰が反りにくくなります。
STEP 2:【息を吐きながら】両脚を右に倒す~【息を吸いながら】両脚を起こす~【息を吐きながら】両脚を左に倒す
▲吐く息に合わせて、両脚を右に倒します。ひざは床につかなくてもOK。腰まわりが心地よくストレッチされるところまで脚を倒します。
このとき肩は床につけたまま、上半身をなるべく動かさないのがポイント! 吸う息に合わせて脚を起こしてきたら、反対側へ。 〈回数:呼吸に合わせて3~5回〉
【両腕は前】脱力して腰まわりのストレッチ! ヨガ「チャイルドポーズ」
STEP 1:四つ這いになる。
▲手は肩幅、脚は腰幅に開き、肩の下に手首、股関節の下にひざをつきます。ヘソを引き上げて、背中を平らにすると◎!
STEP 2:【息を吐きながら】お尻をかかとに預ける。
▲お尻をうしろに引きかかとに預けたら、上体を前に倒します。額を床につけてリラックス。腕は前方に伸ばしておいたほうが、背中~腰を緩めやすくなります。
姿勢がツラい場合、ひざを軽く開いてすきまを作ると〇。〈回数:5呼吸〉
【立ったまま】すきま時間にできる骨盤の前後傾
ストレッチをするまとまった時間が取れない!そんなときは、立位の姿勢で骨盤の前後傾を。すきま時間に腰まわりの筋肉の緊張を緩めてあげましょう。
STEP 1:脚を腰幅に開いて立つ。
▲手は腰、足裏全体に均等に体重をかけて立ちます。尾骨を床に下げるようにして、腰をまっすぐにしましょう。
STEP 2:【息を吸いながら】骨盤を前傾させる。
▲恥骨を床に向け、骨盤を前傾させます。腰が軽く反るイメージです。腰痛は腰が反っているときに出やすいので、軽めの前傾を心がけましょう。
STEP 3:【息を吐きながら】骨盤を後傾させる。
▲恥骨を前に突き上げ、骨盤を後傾させます。腰を丸めるイメージで。〈回数:STEP 2~STEP 3を呼吸に合わせて5回〉
最後に
ベッドから起き上がるときや、椅子から立ち上がるとき、抱っこひもを肩にかけるときに「ピキッ」と痛んだり、寝転ぶと「ズキズキ」と痛んだりする産後の腰痛。腰を反らせる、体を前に倒すといった動作・姿勢は腰への負担になるので、できる範囲で減らし、それでも強い痛みが続くようであれば、かかりつけの医師に相談するといいでしょう。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。