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人には相談しにくい部位「恥骨」が痛い…原因は?
「恥かしい骨」と書いて、“恥骨(ちこつ)”。恥骨は、骨盤を構成する骨のひとつです。さらに詳しく見ていくと、骨盤の左右に位置する寛骨(かんこつ)の一部であり、骨盤の前側・ヘソの下のほうにあります(※下記イラスト参照)。
ヘソの下に手を当て、そのまま下ろしていくと触れることができる硬い骨が恥骨です。
さてこの恥骨ですが、体型の変化をともなう産前や産後に痛みを感じやすい部位として知られています。しかし、「そのどちらでもないのに恥骨が痛い…」というケースも珍しくないのです。
「恥骨痛」って、どんな痛み?
恥骨の痛みは…
・歩くと痛い
・あぐらで座ると痛い
・重いものを持ち上げようと、力を入れたときに痛い
このようなシーンで出やすく、動きの中で「ズキズキ」と痛みが続いたり、「ズキン」と強く痛んだりすることが多いと言われています。
※安静時に痛むケースもあります。
過度な運動でも痛くなることがある
恥骨は、強度の高い運動やストレッチが原因で痛くなることがあります。
例えば、キックやジャンプ、長時間のランニング、無理なストレッチなど脚を大きく、激しく動かす運動です。過度な運動によって、軟骨組織で構成された恥骨結合や周辺の筋肉・靭帯が炎症を起すことで痛みが発生すると考えられるでしょう。
こうした運動をよくおこなう方におすすめの恥骨痛を和らげる方法・痛み対策のひとつが、太ももの内側のストレッチです。
太ももの内側には恥骨や座骨から始まり、大腿骨までつながる筋肉があります。筋肉の緊張を緩めてあげることで、恥骨への負担を減らす効果が期待できるのです。
優しく伸ばす:寝ながらおこなう内もものストレッチ
STEP 1:仰向けになる。
▲腕は体の横で軽く開いておき、脚は揃えます。
STEP 2:右ひざを曲げて、外側に倒す。
▲右ひざを立てたら、外側にパタッと倒しましょう。右足の裏を左内ももに添えて、姿勢を整えます。
STEP 3:右手を右脚のつけ根に添え、揉みほぐす
▲右手のひらや指を使って、右脚のつけ根周辺~内ももの届く範囲までを軽くマッサージします。力加減は、イタ気持ちいいくらいで!
反対側も同様におこないましょう。〈回数:各1分〉
しっかり伸ばす:寝ながらひざを内側に倒すストレッチ
STEP 1:仰向けになる。
▲ひとつめのストレッチと同様に、腕は体の横。脚を揃えた姿勢からスタート!
STEP 2:ひざを立て、右ひざを内側に倒す。
▲両方のひざを立てたら、右ひざを内側に倒します。かかとがお尻の横にくるように、姿勢を整えましょう。
STEP 3:左ひざも内側に倒す。
▲左右の内ももをまわし下げるイメージで、床に向けます。ひざは床につかなくてもOK! ストレッチの強度が高いので、姿勢がツラい場合はSTEP 2に戻って片脚ずつおこないましょう。〈回数:5呼吸〉
じんわり体重を乗せる:ヨガ「スリーピングスワン」
STEP 1:正座の姿勢からスタート。両手を床につく。
▲かかとは自然に開き、足を重ねずに座ります。両手を体の前につきましょう。
STEP 2:左ひざは手と手のあいだ、右脚はうしろに伸ばす。
▲左ひざをスッと前に滑らせ、手と手のあいだにセット。右脚はうしろにまっすぐ伸ばします。足の裏を上から手で押されているような感覚で、足の甲をペタッと寝かせましょう。
STEP 3:【息を吐きながら】上体を前に倒す。
▲吐く息に合わせて上体を前に倒し、左内ももにじんわりと体重を乗せます。ひじを曲げ、上体が床と水平の位置でキープ。余裕がある場合、手を重ねた上に額を乗せてもOK。
反対側も同様におこないます。〈回数:各5呼吸〉
骨盤と恥骨をなめらかに動かす:ヨガ「キャットアンドカウ」
ヨガの「キャットアンドカウ」は、四つ這いの姿勢で背中を反らせる~丸める動きを繰り返すポーズ。
骨盤の前後傾とともに恥骨もなめらかに動かすことができるので、恥骨周辺の筋肉の緊張を解消する方法として取り入れてもいいでしょう。
STEP 1:四つ這いになる。
▲手は肩幅、脚は腰幅に開き、肩の下に手首、股関節の下にひざをつきます。ヘソを引き上げて、背中を平らにするとgood!
STEP 2:【息を吸いながら】背中を反らせる。
▲骨盤から順に、なめらかに背中を動かします。恥骨は後方に向けるイメージ!
STEP 3:【息を吐きながら】背中を丸める。
▲ここでも、骨盤から背中を動かします。手のつけ根で強く床を押し、肩甲骨を高く持ち上げましょう。恥骨は床に向けます。〈回数:呼吸に合わせて3~5回〉
恥骨への負担減:腰まわしで「骨盤の歪み」にアプローチ
骨盤の歪みは、恥骨への負担になります。
ここでは、腰まわりの筋肉がほぐれて骨盤の歪み改善にもつながる「腰まわし」のやり方をご紹介。すきま時間におこなってみてください。
ポイントは、上半身はなるべく動かさずに腰だけを動かすこと。
STEP 1:ひざ立ちになる。
▲脚は腰幅程度に開き、つま先を立てて姿勢を安定させます。手は腰に添えましょう。
STEP 2:腰をまわす。
▲時計まわりに腰をまわします。骨盤の前傾(腰を反らせる)~骨盤の後傾(腰を丸める)の動きをうまく取り入れながらおこなうと◎! 立位でおこなってもOKです。
反時計まわりもおこないます。〈回数:各10周〉
最後に
今回は、恥骨の痛みについてお話ししました。
恥骨が痛いときは、まず体の様子を見て安静に。ストレッチは無理のない範囲で軽めにおこなうといいでしょう。
歩けないくらいの強い痛み、腹痛をともなうなどの症状がある場合は、激しい運動のほかにも原因が考えられるため、専門の医療機関を受診するようにしましょう。
妊娠中の方は、医師や助産師に相談のうえ、体を動かしてみてください。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。