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2024.04.23

「飛んで火に入る夏の虫」は、自らを危険にさらすこと|使い方や類語を紹介

「飛んで火に入る夏の虫」とは、虫が火に飛び込んで死んでしまうことが転じて、自らを危険にさらすことを表します。よく知られていることわざですが、言葉の意味や使い方をあらためて見ていきましょう。類語も紹介します。

「飛んで火に入る夏の虫」とは

「飛んで火に入る夏の虫」は、CMや歌詞などで使われることもあり、よく知られていることわざと言えるでしょう。しかし、正しい意味を把握している人は意外と少ないかもしれません。「災い」を意味する「飛んで火に入る夏の虫」について、使い方や類語などをまとめました。正しい意味や使い方を知る際の参考にしてくださいね。

まずは、辞書で調べた意味を紹介します。

意味をチェック

飛(と)んで火(ひ)に入(い)る夏(なつ)の虫(むし)
読み方:とんでひにいるなつのむし

明るさにつられて飛んで来た夏の虫が、火で焼け死ぬ意から、自分から進んで災いの中に飛び込むことのたとえ。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

虫が火や照明に集まってくるのを見たことがありませんか? 火や電気の明るさに寄ってくるのは、虫の習性と言われています。電気がなかった時代、明かりとして火を灯していましたが、その火に虫が自ら飛び込んで死ぬことがあったようです。

「飛んで火に入る夏の虫」は、そのような虫の行為が転じて、自らを危険にさらす行為を意味するようになりました。忠告や警告の際にたとえとして用いられたり、戒めの言葉として使われたりしています。そのため、この言葉を使う際は、相手やタイミング、シチュエーションを選ぶ方がいいでしょう。

(c) Adobe Stock

読み方に注意

意味の中でも紹介しましたが、「飛んで火に入る夏の虫」の読み方は「とんでひにいるなつのむし」。「入る」は「いる」と読みます。「はいる」と読むのは誤りですので、特に会話などで使う場合は注意したいですね。

「飛んで火に入る夏の虫」はどう使う?

ここからは「飛んで火に入る夏の虫」の使い方を見ていきましょう。例文を用いて、パターン別の使い方を紹介します。

《例文1》上司の機嫌がよくないのに、感情を逆撫でするようなことを言うなんて、飛んで火に入る夏の虫とはあなたのことだよ

「飛んで火に入る夏の虫」は、自ら災いの中に飛び込むような言動に対して、忠告や揶揄の意味で用いることがあります。

例文は、上司の機嫌がよくないことが見て取れるのに、感情を逆撫でするようなことを言った人に向けられた言葉。忠告や注意の意味合いで「飛んで火に入る夏の虫」を使っているパターンです。

《例文2》友人がパチンコで儲けたらしいので、ごちそうになろうと呼び出した。私の思惑に気づいていない彼は、飛んで火に入る夏の虫のようだ

パチンコで儲かったと話してくれた友人を呼び出し、食事をおごらせようと目論んでいるさまを表す例文です。揶揄の意味で「飛んで火に入る夏の虫」を使っているパターンと言えるでしょう。何も知らずにやってきた友人はどんな反応をするのでしょうか?

(c) Adobe Stock

「飛んで火に入る夏の虫」の類語6選

ここからは「飛んで火に入る夏の虫」の類語を紹介します。5つの言葉をピックアップしました。それぞれの意味をチェックしてくださいね。

「鴨が葱を背負って来る」

「鴨が葱を背負って来る」は、鴨の肉に葱まで添えてあって、すぐ鴨鍋ができることを表現しています。これが転じて、好都合であることや、おあつらえむきであることのたとえとして用いられている言葉です。「かもがねぎをしょってくる」と読みます。「飛んで火に入る夏の虫」と同じ意味を表しますので、言い換え表現の一つとして把握しておくといいですね。

《例文》簡単に儲かると言うけど、そんな鴨が葱を背負って来るような話はあるはずがないよ

「墓穴を掘る」

身を滅ぼす原因を、自分から作ることのたとえとして使われているのが「墓穴を掘る」。「ぼけつをほる」と読みます。「墓穴」を「はかあな」と読むのは間違いですので、注意してください。「自らの墓穴を掘る」「墓穴を掘る人」「墓穴を掘る行為」のように使うことが多いでしょう。「飛んで火に入る夏の虫」を言い換えたい場合に用いることができるでしょう。

《例文》はっきり断れなかったせいで、結果的に自分で墓穴を掘ることになってしまった

「年寄りの冷や水」

「年寄りの冷や水」とは、老人が冷水を浴びるような、高齢に不相応な危ない行為や差し出がましい振る舞いをするのを、警告したり冷やかしたりしていう言葉です。読み方は「としよりのひやみず」。シチュエーションによっては、「飛んで火に入る夏の虫」の言い換えに使えるでしょう。また、自虐の意味でこの言葉を用いることもあります。

《例文》まったく運動をしたことがないのに、その年でトライアスロンに挑戦するなんて、年寄りの冷や水としか言えないよ

「雪仏の水遊び」

「雪仏の水遊び」とは、自分から身を滅ぼすことのたとえとして使われている言葉です。雪は、水の中に入れると解けて崩れてしまいますよね。危険が迫るのを知らずに身を滅ぼしてしまうことや、自ら災いを招いて身を滅ぼすことを表す言葉です。よみかたは「ゆきぼとけのみずあそび」。「雪仏」とは、雪をかためてつくった仏像を指します。

《例文》ビジネスをまったく知らない母が飲食店をすると言い出した。雪仏の水遊びになりそうで、とても心配している

「紙子着て川へ嵌まる」

無謀なことをして、自ら破滅を招くことのたとえとして使われているのが「紙子着て川へ嵌まる」です。「かみこきてかわへはまる」と読み、紙を着て川へ入るという無謀なことを意味する言葉です。

《例文》その軽装で山に登るなんて危険すぎるよ。そういうのを、紙子着て川へ嵌まると言うんだよ。

(c) Adobe Stock

「自分の首を絞める」

悪い結果となる原因を、自らがつくってしまうことを表すのが「自分の首を絞める」。「じぶんのくびをしめる」と読みます。自分で不利な状況を生み出してしまったことを表現する場合に用いる言葉です。

《例文》彼女は言わなくてもいいことをすぐに言ってしまって、いつも自分で自分の首を絞めているようなものだ

最後に

「飛んで火に入る夏の虫」について、言葉の意味や使い方、類語などをまとめました。忠告や警告、戒めの意味合いで使うことが多いので、使うタイミングやシチュエーションは選ぶ方がいいでしょう。

また、「飛んで火に入る夏の虫」の類語も紹介しましたが、いずれの言葉も、やはり使う場合は相手やシチュエーションを見極める方がいいですね。特にビジネスシーンやかしこまった場などでは、相手の気分を害さないよう注意してください。

TOP画像/(c)Adobe Stock

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