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2024.03.14

「お鉢が回る」とはどういう意味? 使い方や言い換え表現を解説

「お鉢が回る」とは、「順番が回ってくる」という意味。当番や役員などの順番が回ってきた時に使われることが多い表現です。良い意味で使われることもれば、悪い意味で使われることも! 本記事では、「お鉢が回る」の意味や使い方、類語を解説します。

皆さんは、「お鉢が回る」という言葉を聞いたことはありませんか? 面倒な仕事が回ってきた時に、「とうとうお鉢が回ってきた…」などと言ったりすることもありますが、実は良い意味としても使われる慣用句なんですよ。本記事では、「お鉢が回る」の意味や使い方、類語を解説します。

「お鉢が回る」の意味

「お鉢が回る」は、「おはちがまわる」と読みます。意味を辞書で確認してみましょう。

《人の多い食事の席で、飯びつが回って自分の所へやってくる意から》順番が回ってくる。「とうとう世話役の―・ってきた」

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「お鉢が回る」とは、「順番がやってくる」という意味。他の人の番が終わって、とうとう自分のところに順番が回ってきたという意味合いのある慣用句です。「お鉢」とは「飯鉢」を丁寧に言った言葉で、「おひつ」のこと。昔は、一人一人にお膳が用意されていなかったことから、炊き上がったご飯を入れた木製のおひつを順番に回してご飯をよそる習慣があったとか。

このことから、自分のところにまで順番が回ってくることを「お鉢が回る」と表現するようになったと言われています。

ちなみに、現在ではあまり馴染みがなくなった「おひつ」ですが、今でも旅館や日本料理店などで使われています。土鍋や炊飯器で炊いたお米を、檜などの木材で作られたおひつで保存することで、おひつが水分を吸収し、時間が経ってもベタつかずふっくらしたお米が食べられるのです。

(c) Adobe Stock

使い方を例文でチェック!

「お鉢が回る」は良い意味で使われることもあれば、悪い意味で使うこともあります。ここでは両方の使い方を例文で確認していきましょう。

1:とうとう私のところにも、PTA役員のお鉢が回ってきた。仕事が忙しいので断りたいが、言い出しづらい…。

辞書で確認したように、本来「お鉢が回る」にネガティブな意味合いは含まれていませんが、現代では「順番が回ってきて面倒くさい」「嫌な役が回ってきた」というニュアンスで使われることがあります。身近な例では、学校の役員や仕事の当番などが思い浮かぶ人も多いかもしれませんね。

2:よりによって繁忙期に、クレーム対応のお鉢が回ってきてしまった。

仕事の繁忙期に、順番が回ってきてしまった時にもこのように表現します。「よりによって」という言葉がついていることから、あまり気乗りしていない様子がわかりますね。特にお客様のクレーム対応は時間の予想がつきにくく、精神的にも負担が大きいかもしれません。

(c) Adobe Stock

3:勤続15年、僕にもやっと課長のお鉢が回ってきた。

「お鉢が回る」の良い意味での使い方です。「やっとお鉢が回ってきた」と言っていることから、「待ちわびた役が回ってきた!」というような嬉しい感情が伝わってきますね。

ただし、先述したように、現代では悪い意味として浸透していることもあるため、誤解が生じる可能性も。「やっと」や「ようやく」などの言葉を加えて、喜んでいることを表現してみてくださいね。

類語や言い換え表現は?

順番が回ってきたことを表す言葉は「順繰り」「順順」「出番」などがあります。意味を1つずつチェックしてみましょう。

1:順繰り

「順繰り(じゅんぐり)」の意味は、以下の通りです。

順序を追っていくこと。順番に従って、次々に行うこと。「―に席を詰める」

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

順を追って物事を行なうことを「順繰り」と言います。多くの人が順を追って同じことを繰りかえしている時に使われますね。並んでいる人が、順番に望遠鏡を覗くような場合がその例として挙げられます。

(例文)
・鶏小屋を順繰りで当番することに決まった。
・みんな忙しいので順繰りで担当することにしましょう。

2:順順

「順順(じゅんじゅん)」の意味は、以下の通りです。

(多く「に」を伴って副詞的に用いる)順序を追ってすること。順次。「―に仕事をかたづける」

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「順順」も、順番に沿って物事を行なうこと。これを終わらせたら次にこれに取り掛かるというように、仕事を順番に片付ける際にもこの言葉が使われます。

(例文)
・親族が順順に焼香をあげた。
・順順にプリントを取ってください。

(c) Adobe Stock

3:出番

「出番(でばん)」の意味は、以下の通りです。

1 仕事・舞台などに出る番。「―が近づく」
2 問題解決などのためにその人の登場すべき場面。「ここまでこじれては、いよいよ先生の―だ」
3 江戸時代、商家の奉公人が公休日をもらう番。藪(やぶ)入り、宿下りなど。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

人が登場する番が回ってくることを、「出番が来る」と表現しますよね。「お鉢が回る」は、現代ではどちらかというと面倒な番が回ってくるという意味合いが強いですが、「出番」は「あなたの出番を待っていた」というような前向きなニュアンスが強い表現です。順番が回ってきたことを前向きに表現したい時には、「出番」に言い換えるといいでしょう。

(例文)
・会長が退任して、いよいよ田中さんが実力を発揮する出番ですね。
・彼が活躍する出番が回ってきたようだ。

最後に

「お鉢が回る」とは、「順番が回ってくる」という意味。ご飯の入ったおひつが回ってくるという言葉の成り立ちから、良い意味として使われるイメージがありますが、現代では気が重い役目や当番が回ってきた時にも使われています。

「やっと」や「とうとう」などの頭につく言葉次第で、良い意味にも悪い意味にも変化するため、気をつけて使ってみてくださいね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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